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エルフの住む森


 何かのテレビ番組で、原始に近い格好でジャングル生活をする民族を見たことがある。


 助けてくれたエルフ──ダーウィンとその彼女に連れられてやってきた小さな村は、まさにそんな感じの人々が暮らす村だった。


 俺とリーリンは物珍しげに周囲を見回す。


 高い木の上に作られた木造の家々。

 見上げれば、高い位置の木と木の間に縄梯子(はしご)が張られていて、その梯子を生活の道として住民が行き来していた。

 地上に目を向ければ、人馴れしたスライムが駆け回り、それをエルフの子供たちが棒を手に追い回して遊んでいる。

 他にも洗濯物と一緒にゲテモノの干物が吊るされていたり、狩りに使う弓とか矢を作っていたり、焚き火の上に鍋を置いて夕食の準備がされていたりと、人々の生活がそこにはあった。


 ふと、リーリンが怯えるように俺の腕の服をちょっとだけ掴んできた。

 俺は安心させるように彼女の手を握る。

 すると彼女は一瞬だけ驚いた表情を見せた後に、少し頬を染めて安堵の笑みを浮かべた。


 おっちゃんが俺の頭の中で言ってくる。

『あーぁ。やっちまったな』


 え?


『いや、なんでもない。こっちのことだ』


 はぁ? なんだよ突然。独り言かよ。


 ダーウィンとその彼女が村の中心で足を止める。

 俺とリーリンも同じように足を止めた。


 ダーウィンが連れの金髪美女に声をかける。

「リラ。お前、この人間を長老のところへ案内する。我、討伐団のリーダー連れてくる」

 彼女──リラさんは頷き、俺たちに声をかける。

「私、お前たち案内する。ついて来い」

 俺たちはただ身を任せるようにしてリラさんに黙ってついていくしかなかった。



 ※



 長老は古い大木の根元に鎮座していた。

 仰々しい飾りっ気も威圧もなく、ただ疲れた爺さんが杖を片手に木の根元に腰掛けて休憩している。そんな感じの人だった。


 ある程度の距離を置いて、リラさんが足を止めて俺たちに言ってくる。

「お前たち、長老と話す。私、一緒に行けない。ここで待つ。わかったか?」


 え? 俺たちだけで行けっていうのか?


「そうだ」


 話すって何を話せばいい?


「この村、人間来る。長老に挨拶する。許可もらう」


 あぁなんだ。つまり俺たちがここに居る為には許可が必要ってことか。


「そうだ。お前たち敵じゃない。この村のみんな、誰も知らない。知らない奴、攻撃して追い出す」


 そういうことか。部外者に厳しい村なんだな。

 まぁ俺はどうせすぐ消える存在なんだが、リーリンのこともあるし、一応許可は取っておくか。


「お前、わからないこと言い出した。頭の治癒、長老できる。やってもらうといい」


 きれいな人に面と向かってそう言われると、何かこう心にグサリとくる。


 俺のその言葉にリラさんが急に顔を真っ赤にして飛び退く。


「この村、『きれい』は求愛。私、無理。夫いる」


 ご、ごめん。そんなつもりで言ったんじゃないんだ。

 俺も火を噴くように火照った顔で慌てて謝った。

 

 リラさんは言った。

「でも嬉しい。人間の求愛、初めて受けた。これお礼」


 俺の不意を突くようにして、リラさんが俺の頬に軽くキスしてくる。

 簡単な挨拶のキス。

 俺も嬉しい。

 すると隣でリーリンが俺を見てムッとした顔をする。

 そしてすぐに俺の腕をぐいっと引っ張ってリラさんに言う。


「この人は私の大切な連れなんです。変なことしないでください」


 え、ちょ、待っ──それって


 リラさんが言葉を続ける。

「お前たち、悪い人間じゃない。それわかる。だから長老、挨拶する」


 うん。わかった。

 俺は早々とリーリンを連れて長老のところへと歩き出した。



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