前編
私は乙女ゲームなるものをあまりしない。
一回プレイしてみた乙ゲーがあまりに死亡フラグ満載どころか、私は死亡フラグ回収のプロにでもなったかのごとく死亡フラグを回収しまくった。
あげく、めっちゃ死んだ。
なんでだ。乙ゲーでイケメン美形美少年とキャッキャウフフするゲームじゃないの?
え?なんで?
なんていうループから抜け出せないこと多々有り、ちょっと病んでしまったのでそれから一切していない。
だがしかしRPGや育成ゲームなどは大好きだ。
だって死亡フラグとかあんまり立たないし、むしろ皆無に等しい。
その辺のものならプロだ、なんでも聞いてくれと大船に乗れる。
なので、隣の我が友が乙ゲーキャラが逆トリしてきたとか言われてもさっぱりなのである。
事の始まりはそう、なんでもないいつも通りの電話からだった。
ちなみに初めわたしはコタツに入りながら読書していた。
携帯はちょうど充電中で、コタツから出なければならないほどの遥か彼方に置いてきていたので無視した。
「・・・・。」
無音の中、暖かいコタツに入りながらする読書は最高だと思う。
また携帯が鳴り始めた。無視した。
「・・・・・・。」
小説の中で雪が降っていた。
ちなみに今日、窓の外は豪雪だった。どうりで寒いわけだ。
また携帯が鳴った。無視した。
「・・・・今読書中だから10分後にかけ直せ。」
4度目、さすがに煩かったので出た。
さすが私、時間まで指定してあげるとかなんて親切なんだ。
と自画自賛し、10分で読み終わるであろう本に再び目を通し始めた。
『やっと出たね!』
「時間まで指定してあげてどこに責められる要素があるだろうか。」
ホント白々しいね!という叫びは無視した。
「でなに?明日になれば学校で会えるのにわざわざ電話したってことは何かあるんだよね?」
『え、怒ってる?』
「よく聞かれるけど怒ってないよ。でなに?」
『大変言いにくいんですけど・・・』
「じゃ言わなくていいよ。」
『言う!言う!言わせてください!申し訳ございませんが家まで来てくださいお願いします!』
「え、嫌だ。」
『際限なくひどいよね!』
コタツから出るだけでも苦痛なのに、いくら隣とは言え、五分もかからないとは言え外に出るなんて嫌すぎる。
外を見てみろ、豪雪だよ。
まぁ外といってもマンションのお隣さんだから豪雪は関係ないけど。
「でなんなの?直接来て欲しいほど困ったことでもあった?ゴキ?」
『いやそれよりももっと困った事態で・・・』
「なに?」
『プリズムキャラが逆トリしてきたの!!』
「・・・・。」
プリズムとは、乙女ゲームのタイトルだ。
確かこの前こいつが買ってきて、どハマリしたとかなんとか・・・まぁ、それはいいんだけど。
「大丈夫、病院は怖くない。怖くないんだぞ。」
『病院行き決定かよ!違うよ!真実だよ!!』
「じゃぁ警察に通報しといてやるよ。」
『不審者の不法侵入とかでもないから!』
なんでも急に、それはもう突然に、何もないところからぱっと現れたそうだ。
これが別の友人なら悪ふざけ決定だけど、こいつは純粋培養だから、無碍にもできないなぁ。
『とりあえず来て!』
「はいはい。」
とりあえず、行くだけ行ってあげよう。
それからのことはそれから考えればいい。
短編で投稿するはずが長くなったので前編後編でわけます。