ライクユー
・ライクユー
想いを告げるなんて実はすごく単純なコトで
ソレを複雑に考えている『自分自身』が一番ヤッカイだったりするワケで・・
「うおっ寒っ、何、雪降ってるべさ。」
「そりゃ冬だし雪も降るよ。」
ケイちゃんの家で暖房という文明機器にお世話になっていたウチらには厳しい寒さ。
「やっぱいいよケイちゃん。寒いからおウチ入ってなよ。」
ゴーホーム。手をシッシッと振る。
コレでハイ、そうですかと言うようなケイちゃんじゃない。
「何言ってんだ、送ってくっての。」
「また風邪ひいちゃうからダメだってば。」
ついこの前インフルエンザでヒーヒー言ってたクセに。
白い息をはきながらダダこねるケイちゃん。小学生かっての。
「ユッコはオレのコトがキライなのかよぉ。」
いじけた目でコッチを見てくる。
ソレが可愛かったりするワケでして。
「うー・・。」
ココで問答していてもラチは明かないみたいで。
ケイちゃんと付き合って2年と少し。
一つ年上の彼をたまたま図書館で見かけた。で、一方的にヒトメボレ。
同じ高校に通っているコトを知って嬉しくて何かキッカケを探した。
―で結果的に今に至る。幸せな今に。
「どうした、呆けちゃって。」
「へ、あ、うん。」
真っ暗な雪道を歩いている最中だった。
「別に、何でもないよ。」
そっか。と一言呟いくケイちゃん。何だか嬉しそうな顔しているのがわかる。
「暗いね。」
ポツリポツリと頼りなさそうな街灯たちが明かりを灯している。
「雪は冷たいけどスキだ。」
へへへ、とケイちゃんは笑って言う。犬は喜び庭駆け回る、多分そんな感じだ。うん。
「ウチはあんまスキじゃないな、冷え性にはキツイです。」
とかグチってみる。ならこんな日にミニスカはくなよ、ってツッコミがきた。
傘に積もった雪が時折ドサッと地面にダイブする。
ふたりで歩く、歩く、歩く。
ちゃんとケイちゃんはウチの手握ってる。
何でもない時間。
だけど
幸せすぎてニヤけそう。
ポツポツ住宅街の明かりが見えてきた。
「うわ、何かイイ匂いがするべさ。」
「ケイちゃんハシャギすぎ。」
苦笑しながら少しずつ積もっていく雪道を歩く。
通り過ぎる家々、キレイな電飾で彩られた家もある。
「うわ、あの家スゲェ。あ、あの家のピカピカ超ゴーカだッ。」
これじゃあウチより年下みたいじゃん。
ニコニコしてるケイちゃん。確か去年もこんな風な光景を見たような・・。
もしかして、ケイちゃん単にコレ見たいから送ってくれてるだけ、とか。
うわぁ、リアルにありえる。
ま、いっか。
本格的に雪は積もりそうな雰囲気。
あとちょっとでウチの家に到着する。ヤダな。
「ケイちゃん。」
「ん、どした。」
家に着く前に言っておきたくて。
立ち止まると一緒に立ち止まってくれる。
「何だかね。」
頷くケイちゃん。
白い雪。
キレイなイルミネーション。
「何だかね、めっちゃ幸せなんですケド。」
はにかんで言っちゃった。
さすがにケイちゃんでもヒク、かな・・。
どんな返事返ってくるかな。
さぁケイちゃん、ウチをカンドーの渦に巻き込んでちょうだい。
この、幸せモン。
あとがき:季節限定モノ。いかかでしたか、よろしければ感想聞かせて下さいね。
では、また次の作品で。