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1 安美麗、今世はアヴィジェ

(ああ、またか)


薄暗い檻の中で安美麗はそう思った。

ここは圧政を敷いているクズ国家の研究所。安美麗はそこの実験体だった。


そして数分前に前世までの記憶を思い出したのだ。


安美麗の1番初めの人生はただの一般人JKだった。

幼馴染達と出かけた桜の祭り。そこで殺人鬼に襲われ全員命を落とした。


それこそが幸福で地獄な転生ライフの始まり(スタート)だった。

悪魔。死亡、転生。ヒーロー。死亡、転生。魔法使い。死亡、転生。


永遠にそれを繰り返した。


そして今世はこんなとこに閉じ込められてしまっている。


(ここから抜け出したいなぁ…。今、わかってる幼馴染、兄貴(ヴォル)しかいないもんなぁ。)


安美麗の隣の檻で半ば気絶するように眠っているヴォル。

ヴォルとは今世の名前で前世までの名前は(うる)


そして、安美麗の今世の名前はアヴィジェ。



ここの研究所は給料が高く、望んで実験体になったものには主にその家族に高額な金が支払われる。


ここで一番位が低いのは雑用、その次には食事係、見回り、監視員、補佐、研究員、各部の部長、そして研究長。

実験体にも強さや忠誠心で位がつけられて上の位となれば成程戦場や研究の手伝いに駆り出され高い金が支払われる。


自らここにとびこんできた人は嬉々として上を目指すのだ。


しかし、アヴィジェとヴォルの兄妹は望んでここに来たわけではない。


数年前、2歳になる少し前の時にヴォルと一緒に遊びに出かけた森でここの研究員に攫われたのである。




それから戦争に使う兵器としての実験を受けてきた。ヴォルの方は戦闘に特化した能力が実験により発現し、戦場にかなりの頻度で駆り出されている。


自分も能力の発現があった。



そこからは地獄だった。かなりの頻度で戦場に駆り出され負傷者の手当て。

帰ってきたら実験、投薬、ご飯にも毒が盛られていて。


こんなとこに居てもいずれ死ぬだけである。ここから逃げ出さないと行けない。


でも、逃げ出したとしてこの国では生きていけない。圧政のせいで国民の住む街はスラムとなり、衛生も整っておらず餓死者が毎年大量に出ているのである。


さらには国から逃げようとした人は反逆罪で処刑される。


底知れぬ絶望。抗っても抗わなくても待っているのは死。

それなら精一杯抗って革命でも起こしてやろう。


そうアヴィジェは考えた。


今までの言動から見てヴォルは記憶を持っている。2人ならなんとかなるかもしれない。


そんな彼女が数分後耐え難い苦痛を突きつけられるのはまだ誰も知らなかった。

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