4.夜の食堂でも手を休めたくない男...1幕目
誤字報告してくれる読者様、ありがとうございます!!!
日間現実世界〔恋愛〕ランキングが1位になってしまいました...。どうしよう?
22時。それは、未成年が警察に見つかると補導されてしまう禁断の領域であり、社会の荒波にもまれ続ける成年が1日の振り返りと締めを行う大人の時間。会話からは企業の情報とかも取り入れられる...まさに宝が生まれる魅力的空間。
まさに...
I can't stop the efficiency!!!(訳:無限効率編)
Keep your uselessness burning!!!(訳:無駄を燃やせ)
そんな大人の癒しの空間に、どうしてお前たちがいるんだ?補導願望でもあるんか。未成年な俺も大概だが...社会の荒波にもまれている分だけまだまだマシだからな!!!
むしろ、どうやって親を説得したのか小1時間ほど説明していただこうか!聞いたって現状は変わらないだろうがな。
「知らないの、スマホタク?ここは学生マンションの食堂だよ?店の奥と私達のマンションは繋がっていて、私達でも入ることができるんだよ?まあ、懇親会は終わったばっかりだけどね...。」
ソウデスカーオツカレサンデシター。効率低下の要因は奥にしまっちゃおうねぇ~!?
「しかもちゃんと奥の扉はマンションキーでしか開かないし、それ以外の人が潜ろうとすれば防犯装置が鳴る仕組みになっているんだからびっくりものよねぇ~。」
じゃあ今すぐ鳴らしてやろうか?効率保護のための防犯ブザーを...。
「まぁ、22時以降に食堂から外に出ようとしても補導されちゃうから実質、外には出られないんだけどね...。」
じゃあ22時以降の外に冒険でも出かけようか...。警察に出会ったら即終了のS級冒険者が挑むくらいの難易度だがな...。
「まぁ、いいじゃねぇか。夜に小腹とかすいたらここに来れるんだし。むしろ俺はそれ目的でここに入ったんだしな!」
そうか。取りあえず、お前が勉強に関心のないことは分かった。
「「「ははははははっ!」」」
ははははは、じゃない!スマホタクというのはアレか?スマホとオタクを化学反応させて得られる生成物のことか?なんと不名誉なあだ名だろうか...。せめて効率とオタクを融合させて欲しかったよ...。
俺がいつも通っている時間帯に制服姿を1度も見ていなかったから気づかなかったよ...。この食堂はどこに向かって走っているんだ!?
そんな店に俺は二度と...来てやるよ...。
俺はこういう、少数派の意見を取るような営業スタイルは嫌いじゃないし、食わしてもらっている恩があるからな...。鞍替えは俺の嫌いなことの一つだし...。
それはそうと...。
「帰れ!帰れ!さっさと帰れ!今はお前達みたいな遊び人が遊んでいい時間帯じゃねぇんだよ!俺みたいに、腹を限界まですかせながらも夜遅くまで働ききった栄誉ある者達が楽園に入り浸る時間帯なんだよ!!ゼェ...ゼェ...。」
ああ、どんどんHP(頭)のバーがすり減ってきている。HP(腹)もすでに限界だ。雑魚敵の攻撃1発で残機が1つ減るだろう。
だから、俺は大人しく空いている席に座っておばちゃんに注文をする。
「すみません。いつものメニュー下さい。」
「あいよ...。特々盛りいくかい?残したりしたら承知しないよ...?」
「そっちこそ、量減らしたりしたら承知しないぜ?」
「言いよるわ。しっかり腹の中空っぽにしとけよ!残したら...とある未成年が22時に外出していた案件を警察に言いつけるよ?」
「それは手厳しい。お手柔らかに頼むよ...。」
さあ、始まったぞ。1日の効率を左右する一大イベント、その名は食事。いかに食事に費やす時間を短縮できるかがこのイベントの肝である。ただ俺が頼んだメニューは日替わり丼...。テーブルに来るまでその内容は分からない!
これは緊張だ。ビックリ箱であると分かってでも開けなければならないビビり芸人ぐらいに心の中には静けさがある。
早食いと大食いを融合したフュージョンフードファイター、早大食いである俺は今回、どんな戦いを見せるのか?
早食いVS特々盛りVS無駄ー喰らい...。1日中仕事と勉強をし尽くした者にとって数少ない癒しを!さて、料理が運ばれるのを待つ間に本日の振り返りと計画作成を...。
「それじゃあ。選手が待機している間に質問しましょうか?」
いつの間にか紙の束を束ねた女子高生、通称『浪人アナウンサー』が俺に話しかけてくる。周りを見れば、実況もどきが俺を取り囲むように設置され、今か今かと様子を見守っている。
「おい。これは何だ?懇親会は既に終わっているだろう。早く奥の扉からgood nightしたらどうだ?」
「質問に対して質問で答えないで下さい。そんなことはこの際放っておきましょう...。」
「話を聞け!」
なんだコイツ!?さっきから話を切り上げようとしてもグイグイ来やがって...。後、そこのボードで何しているんだ!?
『特々盛りを食べきるかきれないか?食べきると思う人は左に、食べきれないと思う人は右にそれぞれ1000円を!』
賭け事するな。俺を遊びの道具にするな。見せ物じゃないんだよ、俺の至福はよ!
「それではいくつか質問します。まず、あなたの誕生日は?」
「ノーコメント!」
「あなたの血液型は?」
「ノーコメント!」
「あなたの好きな人のタイプは?」
「スーパーノーコメント!!!」
無視してもグイグイ来るので『ノーコメント』攻撃を俺は仕掛ける。そもそもなんで見ず知らずの人に個人情報をばらさなければならないんだ...。パソコンを乗っ取られたらどう責任取るつもりだよ...。
「ちゃんと質問に答えて下さい!あなたの自己紹介カード、『名前』しかまともに答えてなかったですよね!?どうして『名前』以外全部、『非公開』と書いたんですか!?あなたが猛ダッシュ退室した時、皆で首をかしげていましたよ!」
「だったらお前はスマホの『非通知設定』の相手に誕生日を聞かれたら素直に明かすのか?」
「えーっと、明かしませんね...。」
「そういうことだ。俺は、自分で信頼に値する相手にしか情報を公開することはない!むざむざと個人情報を明け渡す者は現代の情報社会の中では『敵に背を向ける』のと同義!!もし俺のプロフィールが知りたければ、俺の信頼を勝ち取ることから始めよ!!!」
俺は気づけば席を立ちあがっていた。どうやら少し熱が入ってしまったようだな...。皆はそんな俺を見てポカーンとした顔をしている。そんな皆をかき分けて、遂に俺の料理がその姿を現した!
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