2.大勉強時代でも削除を休ませたくない男...2幕目
後半にサッカー部をサッカーで削除します。
<追記>
忌引を採用しました。これで主人公は思う存分、動けますね
中学2年生1月...。担任の先生にお弁当を差し出された日...。
俺は気づけば保健室のベッドで眠っていた...。腹はいつの間にか満たされていた...。あの後...俺はクラス担任の差し出したお弁当を食べ...疲れが一気に来て...それから...。
天井を見る。染み一つすら...ない。...無い。
ああ...俺は...『虚無』だ...。心は常に夜に染まっている...。
サッカー部を返り討ちにしても...。
直哉に...育児放棄をネタに...ジャーナリストを...けしかけても...。
北見川に...あの時の真実を...告げられても...。
ただ...何も...感じない...。
◇◇◇
中学2年生12月...。西山光葬式の夜...。
「世の中はクソだ。俺に馬鹿みたいな才能だけを詰め込んで愛情を注がれなくした神は滅べばいい...。俺はもう...1人で生きていく。見守っててね、お母さん...。早く年取ってそっちに行くから...。」
3種の愛情、『親愛』、『友情』、『恋愛』を省いた後に残ったものは...非情だ...。当然の帰結...。
お母さんとバイバイした俺は...動いた。
「病院への落とし前はお母さんがつけてくれた。それ以外の落とし前は俺がつけないと...。勉強の環境を整えないと...。それから...受験勉強をして高校に...一人で...。
総ての裏切者に...死を...。」
俺は葬式の翌日、学校を休んだ。葬式の直後ということもあり、すぐに欠席を...いや、休みを承諾してもらえた...。
「今日を含めて1週間は忌引ですから、欠席扱いにはなりませんよ...。」
優しい雰囲気の声で、電話の主はそう答えた。
だから俺はある場所へと向かった。その場所は...銀行。現金を全て引き落とすためだ...。でなければ、残りの資金が全て持っていかれる可能性があるからだ。...あの直哉に。
無事に生活費を保護した俺は次の場所に向かった。その場所は...『週刊阿澄』。俺は、サッカー部の非道な仕打ちをネタとして...提供することにした。
学校にはもう期待できない。問題解決中?嘘だ。俺の周りは...変わっていない。9月も...10月も...11月でさえも...。そんなのは行動していないのと同義だ。成績が全て。結果が...全て...。
俺は情報提供窓口にネタを提供した。それも嘘偽りなく...真実を語って...。
謝礼とか取材費はどうでもいい。結果を示せれば...それでいい。
俺はネタを提供し、マンションへと帰った。そこで俺は勉強へと取り掛かった。やる気なしはユルサナイ...。睡眠時間ギリギリまで勉強し、1週間分を終わらせた。
◇◇◇
中学2年生12月...。西山光葬式の2日後...。体に鞭打って起きた俺は学校へと向かった。今日も相変わらず...俺を見る目は...。だが、そんなことはもうどうでもいい。落とし前さえつければ...。
「おっと、足が滑った。」
突如、後頭部に衝撃が走った。サッカーボールか...。手間を早速、削除出来る。後ろ盾は出来ている。俺は落とし前をつけるべく、放課後のグラウンドへと彼らを呼びつけた。
関わったことを...後悔させないと...。どうせすぐに...廃部になるから...。残存している今のうちに...。
◇◇◇
放課後。俺とサッカー部全員との決闘が行われた。1VS7。相手はゴールキーパー(GK)1人、ディフェンダー(DF)2人、ミッドフィルダー(MF)2人、フォワード(FW)2人。各ポジションはほぼ当時のままで、変わった点は最近入った転校生か。俺とは違って女性受けするルックスが特徴だ。ただ、それに伴う実力かどうか...。
「最近のお前を見てると滑稽なんだよなぁ~。あの時の威勢がガラリと消えてただの雑魚にしか見えなくてさぁ~。」
「ぎゃははは。言える言える。だって落書きとか悪口を言っても仕返しすらしないんだぜ。あーあ、哀れだなぁ。南海にあんなことを言われてすっかり...。」
「挑発をするな...。」
「ッ!生意気な口聞いていられるのも今のうちさ!元エースと聞いているけれど、1人でこの人数を捌ききるなんて有り得ないと思うよ!」
攻撃的ミッドフィルダー兼転校生エースがそう言い、試合は開始。俺が以前のように立ち回ろうとするが...。
相手は左右非対称になるように陣取る。前までは左右対称で敵チームと...。
ああ、成程。これも一つの戦術...。変わったか。より劣化して。
「お前が抜けてあの転校生が入ってきた後に組み立てられた新たな戦術だ。アシンメトリー戦術と言うんだぜ。修正も簡単で立て直せる無敵の戦術で...。」
「未熟...。隙だらけ...。」
「ああっ!?」
戦術は変わっても人が変わらない限り、動きの癖も以前のまま...。視線でボールの先が...腰とか足を見れば...フェイントが甘々で無駄が多すぎる。
そしてなにより...戦術的理解が低い。
俺は相手のがら空きな所を攻めてボールを奪い、トランジションで選手が混乱するように選手と選手の間の隙間を縫う。
この戦術は...諸刃の剣。シンメトリーに慣れすぎているせいで、追いついていない。
そして俺はそのまま、自分の呼吸、肩、腰、膝、足首、爪先を全て正確にして、元エースによる超ロングシュートを放つ。
前は周りの味方や敵に遠慮していた...。でも今はその遠慮も存在しない。存分に弾丸シュートを放てる。
「バーニング...うわあああ。」
キーパーはあの時と変わらずだった。ボールの勢いを殺しきれず、そのままネットにボールとともに吸いこまれた。
「せ、千国先輩!」
エースがキーパーに駆け寄って...。ポジションに戻る時間を生じさせるな。こっちは早く終わらせたいのに。
「再開だ...。戦術を組み立てさせる時間も惜しい...。静止は...削除...。」
この後、俺はこのまま試合を支配し続けた。ある時は...。
「これで確実だ。」
「弱い...。」
向こうのエースがシュートしたボールを打ち返して弾丸倍化シュートを決めた。蹴った時に生じるボールへの力のムラを相手の体裁きから予測し、特に弱い所に瞬間的な力を180度の向きにかけて押し返せばよいだけ...。この打ち返しは去年の全国3位の他校サッカー部の観戦で見て盗んだ技術...。
ある時は...。
「前後左右から攻めれば...。」
「甘い...。」
リフティングでボールを上空に飛ばし、空中でサマーソルトキックで弾丸シュートを放った。キーパーが前に出過ぎているから、キーパーとゴールネットの間にボールを射しこめる...。このサマーソルトキックは去年の全国2位の他校サッカー部の観戦で見て盗んだ技術...。
ある時は...。
「シュートは...こうする...。」
相手チームの戦術が乱れてセットプレーへと突入。フリーキックでゴールキーパーとの駆け引きに有効な技、捻回弾丸で得点を取った。これは身体のブレを極限まで減らして寸分の狂いなく捻って打ち出す集大成。これを会得するには時間がかかってしまったが、それでもこれで2年生の県大会を制覇した...。本当の無駄になってしまったが...。
そして試合は終了。得点は15-3を示していた。
お読みいただいてありがとうございます。次回から、サッカー部の真相...。キーワードは才能の差、SNS、父親...。
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