僕。いい子だよね
目が覚めると部屋は真っ暗で、ぼくはベッドにひとりぼっちでいた。ぼくは泣いていた。
夜の暗さに恐さを感じた。ぼくはあわててベッドを抜け出して、急いで階段を降りて、明かりの点いている居間のドアを開けた。
お父さんとお母さんが居間の椅子に座っていた。
「どうしたの?」
お母さんはぼくに近付いて言った。
「怖い夢をみたんだ。」
と、ぼくは泣きながら言った。
「そう。もう大丈夫よ。」
と、お母さんは微笑んで言った。そして、抱きしめてくれた。おなかの赤ちゃんの体温を感じたように思った。
「ぼく、お父さんとお母さんの子供だよね。」
とぼくは泣きながら言った。お母さんは驚いて、言った。
「ええ。あなたはお父さんと私の子供よ。」
「ぼく、いい子だよね。」
と、お母さんに言った。
「ええ。あなたは世界で一番いい子よ。」
お母さんはぼくを抱きしめながら言った。
「遊園地に連れて行ってくれる?」
と、お父さんの方に向かって言った。
「ああ。お母さんから聞いたよ。明日、みんなで遊園地に行こう。」
と、お父さんは優しく言った。
「喉、かわいた。」
と、ぼくが言うと、お母さんが冷蔵庫からペットボトルの水をだして、コップに注ぎいれてぼくに渡してくれた。ぼくは一気にそれを飲み干した。涙をお母さんは拭いてくれた。
やっと、ぼくは安心した。
「今度、生まれてくる赤ちゃんは女の子だよ。」
と、ぼくは、お母さんに言った。
「あら。女の子がいいの?」
と言って、お母さんは笑った。お父さんも笑っていた。ぼくも笑った。