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夢見が悪い錬金術師  作者: kiki
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3

受付孃が出て行ったあと、


「改めましてゼノス様、私はアルタと申します。家名はありません以後お見知り置きを」

「クハァ、止めろ!止めろ!虫酸が走る、丁寧に話すな!」


ガキが眉間をしかめる、


「だって、ゼノスさんが求めたんですよ!」


「ウルサイ、てめえはなんだ?只のガキがなんで貴族の礼儀を知る?」


俺の質問に不思議そうにガキが答える。


「…常識ではないですか?また失敗しました?」


「なんだ?」


「俺は非常識らしいです。どうやら?」


なんだ?なんでそこで疑問形?なんか、常識が違う?会話が噛み合わない。


「話がズレるので、俺の依頼について説明して良い?」


「おう、」


仕方ない、違和感は凄くするが、話していく間に分かる事もあるだろう。


「ダンジョンに入り、ダンジョンマスターを一緒に見て欲しい。

取り合えず、俺の護衛かな?」


「はい?」


なんだ?それ?

思わず、不信の目を向けてしまった。

この辺境のダンジョンは肉が美味しいオークの固有種がいる為、ダンジョンコアを魔方陣で管理し、保護してある中級ダンジョンだ。

ダンジョンマスターは厄介だが、A級ならチームで、相性が良ければ単独S級で攻略出来る。


それも、ダンジョンマスターの素材獲得ではなく、一緒に見る?なんだそりゃ?


「期限は10日間、それが過ぎたら流石に体力的にも無理だし…」

「はい?ダンジョンマスターを見に5日間でダンジョンを潜るだと?」


ここのダンジョンは地下に20階あり、普通のパーティーで往復約1ヶ月必要とする。

S級で罠を力業で無視しギリギリ行けるかもしれないが、年齢的にもまだ初心者のF級であって当たり前くらいのこいつを抱えてなんかムチャだ。


「期限は10日間で大丈夫では?あれ、無理かな?でも大丈夫なような…」


もしかして、見かけとは違いエルフやドワーフの混血で見た目の年齢とは違う?


「すまん、ランクと年齢は?」

「D級で、11才です。錬金術師の卵です。」


違うんかい!なんだ?このアルタの揺るぎない瞳は?10日間以内にダンジョンマスターに会う自信がある?


「帰る時間を考慮して、ダンジョンマスターに会わなくても、帰還で良いんだな?」

「はい、俺が払える金貨20枚で10日間の護衛です。取り合えず二人で行く事になりますが、よろしくお願いいたします!」


ここのダンジョンマスターを見るとは、最下層まで行き、ダンジョンコアを保護している魔方陣を無効果しないと無理だ。上級の魔法使いでもキレイに無効果するのは難しい、俺が出来ると思っている?S級だとしても力業しかできない。

日数的にもおかしいし、話をすればするほど、違和感が募る。


「ギルドマスターとは話せるか?」


「うん、大丈夫」


アルタはそう言うと、部屋の扉に近づく。


「あっやっぱりいた。おかえりなさい」


扉を開けると、苦々しい顔をした壮年の男がいた。


「失礼する。俺がギルドマスターのダートだ」


ダートは木の義足を感じさせないしっかりした足取りで部屋に入ってきて、ドガリと向のイスに腰かけた。

ダートの気配を部屋の前に感じなかった時点でゼノスは苦笑いを浮かべる。


「なんだ?こりゃ?最初からギルドが噛んでたのか?」


ダートはそう思われて仕方ないなと思ったのか、顎をポリポリと掻いて言った。


「イヤ、イヤ、ギルドとしては、相談は受けたが、無理だと断っている。

俺がここにいるのは、こいつの、アルタの変さを確認しにここに慌てて帰ってきた所だ。」


「へ?」


ギルドマスターのダートが入ると、受付孃が後ろから飲み物とサンドイッチを持って入ってきた。

話が長くなるのか?


「こいつの、話しを聞いて分かったか?」


「いや、全然」


ダートが俺の前に座ると、受付孃が部屋を出る。


「こいつは、簡単に言うと変だ。言葉も足りない。こいつの中では当たり前過ぎるのか…こいつと話していると、常識が狂う」


「こいつは、なんだ?」


「アルタ、お前の2つ名は何個あった?悪魔つき?ラッキーボーイ?ふざけた生還者?だっけ?」

「えーと、他にはグリフィン付きにゴブリンチキンに悪食錬金術師もどきかな?多分6個です。」


ガキのあだ名にしては悪意を感じイラッときた。


「なんじゃそりゃ?ほとんど悪口じゃないか!そんなにやたら2つ名なんか付かないもんだぜ!」


「ほとんど事実なんで、否定も出来ず…今に至るんです。一番定着しつつあるのは、ふざけた生還者です。前は悪魔つきと、よく呼ばれてたので良くなった方ですよ?」


アルタはケロリと答えると、ヘラヘラ笑った。

事実?意味が分からない。


「全部ちゃんと言ったら、日が暮れる。聞くか?」


「聞きたいが、言えるだけの内容がこいつにはあるって事か…」


ダートは真剣な顔でうなずく。


「今の段階で金貨20枚でS級なんて呼べるわけないだろ?ギルドとしては動けない、こいつが変な事を言っているのも認める。

しかし、無視も出来なくてな…まさか、カウンターでアルトが普段とは違い喧嘩をしていると聞いて、ヤバイ事が起きたのかと念のために帰ってきたら、本当にS級のゼノスさんがお見えになるとは…」


俺がここにいるってギルドとして本当に把握してなかったのか?




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