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1章:3AMPHITHEATRUM

今回は早めの更新のはず。

いよいよ軍部との本格的な衝突、戦いになります。

本当の敵である悪魔もまだ登場せず、身内との戦いOTL

大まかな構想しか持っておらず、毎回即興で書き上げる為、矛盾する点があれば御勘弁を。

7月18日午前9時38分―――


「ちょ、山久さん、マジ雨宮助けなくていいんすか!?あいつらあれですよ!?映画ターミ〇ーターに出てきそうな感じの奴らですよ!?」


溢れる魔力に危険を感じ取った山久と香奈芽によって6人はホールの反対側へと退避させられていた。


「んん??大丈夫じゃ。心配なのは寧ろあの儂のかわいい作品達じゃ・・・ああ、心配じゃ、儂の作品達・・・」

「作品?かわいい?」


島が疑問を問うが山久は既に一人の世界にトリップしていた。


「山久さんは、生物学の権威で、サイボーグ工学の第一人者なんです。彼らのように戦場で身体の一部を失った方々に手術を施して、新たな身体を授けているんですよ?この施設の義体化を行っている方は皆山久さんが直接手術しているんです」


美伶達と同じく心配そうな視線でみていた香奈芽が矢継ぎ早に語る。


「え!?山久さんてスゲェ人だったんすか!?ただのエロい人だと思ってました」


エロい人には間違いない。

でも実は色んな分野で国際的にも物凄く偉かったりする・・・エロいけど。


島が視線を京に戻すと、背後にいた一人が刃物に置き換えられた右腕で切り掛かるのが見える。しかし京は気付いていないのか、その場から動かない。

その光景に聖と紗耶香が

「キャッ」と小さく悲鳴をあげ、島が

「ヤベッ」と心配そうに呟く。


ガギィン!


しかし皆の心配を他所に、刃は京に直撃するかしないかという時に、突如金属音と共に弾かれ、男は大きく体勢を崩す。

しかし京自身はその場から全く動いておらず、その異様な現象に周りの男達がどよめき、騒ぎ出す。


「うぉお!?マジびびったぜ・・・」

「カッカッカ。いや、心配はしておらなんだ。いやはや、京のやつ、儂にも分からぬ事をするとは、また新しい技法か魔法を編み出したらしいな」


かなり事態を楽観視している山久に非難がましい視線が大量に突き刺さるが、本人は気付かない。


ブォン、ガゴォン!


今度は京達の周囲に薄い紫のドームが現れたかと思うと周囲を囲んでいた男達が一斉に地面に倒れ凄まじい音がする。

一人佇む京の周りに動く者はいなかった。

少しして結界が解除されると、京がしゃがんで何かしていた後、ゆっくりとこちらへとやってきた。

ショックで山久と島以外誰も物を言わなかった。


10時、雨宮 京―――



その後、駆け付けて来た治安部隊によって男達が運ばれて行く時に京も連行されそうになったが、そこに山久が介入して事態は事無きを得たと共に皆の山久のエロい人という認識はエロくて偉い人と改められた。

先程一騒動あった場所から離れた位置に再び陣取ると程なくして料理が続々と運ばれて来た。

京4品、島5品で量は島の方が多かった。

因みに一品一人前の量がある。

別の場所に並んでいた山久達は中華、他は皆洋食だった。


「それにしても隆雄は凄い量を注文したな!?一流のハンター並の量を頼みよる」

「いやいや、朝はこんぐらい食わないと。それに雨宮もいい勝負ッスよ」


食べながら話す二人、少し下品だ。


「重ねて言うが、俺はパフォーマンス維持の為しょうがないのだが?」


急に話を振られ、ピザを切り分ける手を止め返事をする。

ふと周囲を見回すと確かに皆1、2品しか頼んでおらず、自分と島だけで他の全員の倍近く頼んでいることに気付き、苦笑する。

女性にはパン食がトレンドのようで、バケットやクロワッサンが比較的多く見られた。

ふと、クロワッサンを小さくちぎって口に運ぶ聖に目が止まる。

一応2品頼んでいるが、クロワッサン2つにヨーグルトだけというのは実質オムライス1品の紗耶香より摂取カロリーは低いだろう。

あまりの小食ぶりに心配になってくる。

ここで切り分けたピザを口に運ぶ。

4種類のチーズが織り成す芳醇な味と香りはなかなかの物だった。

素早く食べ終え、スパゲティーアラビアータに移ると、既に島は炒飯と餃子の2品を食べ終えていた。

比較対象を出すと、舞はやっと厚切りのバゲット2切れを食べ終えたところだった。


朝食後、特にすることもないので山久の研究室を見せてもらう事になりそちらへ移動。


研究室は最下層にあり、閉鎖的なフロア全体を占領していた。

もっともそのフロアは他のフロアの4分の1程度の広さしかないが、それでも研究室には十二分のスペースだった。

研究室にはカプセルに入った例の怪物やその臓器などがサンプルとして展示されていた。

それを見た紗耶香が

「ヒエッ」と叫び、聖の背に隠れる。

美伶は気分が悪そうに口を手で覆っていたがそれもすぐにおさまる。


「安心せい、皆死んでおるわい。・・・皆をここへ連れて来たのはこの感染者について説明するため。皆色々と聞きたいことがあるだろう?」



18日午前11時施設内医務室―――


「グゥゥウ!あのガキ、今度見たらぶっ殺す!」

ベッドに寝かされ、医師に回復魔法をかけられながら毒づく。

右義手前腕部に仕込まれているほぼ前腕と同じ長さの刃渡り35センチの真新しいブレードを苛立たしげに出したり格納したりを繰り返している。

先刻、食堂で17〜8歳ぐらいの男にやられ、その時にこちらから攻撃したら何故か逆に刃が中程まで断ち切られたのだ。

魔法の心得があったようで、知らない魔法を使っていた。

恐らく最初に刃をやられたのも得体の知れない魔法でも使ったのだろう。

同じく魔法をくらって運ばれた同僚の中には完全に前後の記憶が飛んでいる者もちらほら。

その時、医務室のドアが開き、左眼がロボットアイ、四股がサイボーグ化された屈強そうな男が入って来た。


「隊長・・・」


魔法をかけられている男が呟く。


「どうだ?動けるか?」


隊長と呼ばれた男がブレードの飛び出した義腕を観察しながら問い掛ける。


「はい、自分は大丈夫です」

「そうか。それより刃が新しくなっているようだが・・・?刃を殺してない、こいつは訓練用じゃないな?」


対魔法用にコーティングされた実戦向けの刃を凝視しながら再び問う。


「はい。実は例のハンターに破損させられまして。どうせもうすぐテストということで面倒なので対魔族用に換装しました」


「そうか。で、どうだったんだ?」

「どうやら生粋の魔法使いのようですね。非常に強力で一撃で皆気絶させられました」


先程の交戦は実は赤嶺に雇われたというハンターに対してテストと称した戦いを仕掛ける上での情報収拾として斥候になったのだった。

が、たいした事は出来ず、手札を開かせることは出来なかった。


「そうか・・・ご苦労だった。では昼過ぎまでテストに備えて休んでくれ」

「あ、それと隊長・・・」

「何だ?」

「あのハンターと一緒に連れて来られた6人、やつの同業者というわけではないようです。」

「ほう?」

「本当にただ保護された一般人のようでどちらかというと足手まといになってました」

「そうか」


最初はハンターのチームが雇われたのかと警戒していたが、たいした魔力も感じられず、魔力計測器の数値もせいぜいD級といった所でどうやらそのかぎりではないようだった。


こいつは益々やりやすい。

魔法さえ封じてしまえば、後は遠距離レンジから狙い撃ちすればいい・・・



18日午後3時過ぎ―――


あれからQBウィルスについての話や、京が受けた任務について話が山久から6人にされ、波紋を呼んだ。

話に聞けば聞く程危険な魔界。

しかし京はそこに赴くと言う。

だが実は魔界ではこちらから移住していったりした結果、人が住んでおりこの世界とは異なる独自の生活を営んでいる。

ならば、わざわざ自分達で魔界へ行かないで彼等に頼めば良いのでは?と皆思ったが、このようなミッションには政治的な意味合いが強く、解決した勢力が組織を動かせる求心力を得られるため、外部には任せられないらしい。

京も外部の人間と言えるが、山久の個人的なつてでの依頼と言うことで大丈夫らしい。

勿論、日本の支部以外からも多数のエージェントが派遣されるだろう。

アメリカは本部としての威信をかけ実質的な権威で劣っている日本支部を越えるため(ハンターの質、魔界の研究共に日本がずば抜けている)。

他の支部は自らの支部の発言力を高めるため、今回のような事例は上手くいけば一躍トップに踊り出る事が出来るかもしれない。

とにかく力が強さが全ての世界だ。

その後遅い昼食を取り、軽い運動でもしようと地表に出ようとしたところで食堂で絡んで来た男達を含む一団に拿捕された。


「ふむ・・・何用じゃ?先刻の騒ぎの礼参りにでも来たか?」


毅然とした態度で集団の隊長格のサングラスを外した左眼がロボットアイの男に問う。


「それ、何てシュ〇ちゃん?」


舞に殴られ、地に沈む島。

山久がここまで強気に出れるのは彼等全員に恩があるからである。

その類い稀な技術で失った身体を再び再生させてみせたのだ。

確かに定期的なメンテナンス程度なら専門の技師でも出来るが、本格的なオーバーホールや、改修作業は山久にしかできない。つまり彼等のほぼ正常な人としての生殺与奪の権を完全に握っている。


「いえいえそのような不躾な用件ではありません。先の件では部下がとんだ非礼を働いた事をお詫び申し上げます。・・・」


ターミ〇ーターもといシュ〇ちゃん並の恐持てのサイボーグのような隊長格が完全に山久に遜った態度を取る。


「ほう・・・では一体何の用じゃ?」

「部下が敵わなかったと言うその客人達の力、我々軍部の人間を差し置いてこの国の未来を背負うに値するか確かめたいのです」


不敵に笑いながらそう告げた男。

その目は澱みなく、京をなめ回すように観察している。


「いいだろう。しかしあなた方は何か勘違いしているようだ。依頼を受けたのはこの俺、雨宮 京、だけだ。後の皆は関係ない」


穏やかな笑みを浮かべながら隊長格の男に告げる京。

しかしその表情と丁寧な言葉遣いとは裏腹に、全身からは異様なまでの殺気を発していた。


「ちょっと待って雨宮君。貴方正気なの?相手は常日頃から鍛練を積んでいる人達なのよ!?何もそんなに危ない事することないじゃない!?」


先程、山久からサイボーグの装備や、その驚異的なポテンシャル、はたまた、軍部の魔法使いについてしっかり聞いていた聖は狼狽した様子で必死に辞めさせようとする。

舞や香奈芽も同じく心配そうな様子で止めようとする。


「辞めて雨宮君!聖の言う通りよ!?この人達、目が本気よ!」

「そうですよ雨宮様。いくら雨宮様でも戦いを生業とする軍部の1個小隊相手では無事では済みません!!」


英司と紗耶香も心配そうに見ているが、恐怖のあまりに動けないようだ。


京はそれには答えずにただ力無く首を横に振る。

その様子を傍観していた島は突如口を開く。


「よっしゃ!!じゃあ俺も戦うぜ!!!」

「「なっ!?」」


この意表を突いた発言に誰もが驚かされた。


京日く、何を馬鹿な!?

山久日く、何と無謀な!?

香奈芽日く、何て危険なことを!?

舞達日く、この馬鹿は空気が読めないのか!?

シュ〇ちゃん隊長率いる一団日く、実は他の6人は伏兵だったのか!?

らしい。


「おいおい、まさか卑怯だなんて言わないよな?」


空気が読めないのか、隊長に向かって問い掛けた島。


「いえいえ、こちらは別に結構ですよ」


流石と言うべきか、新たな敵の台頭に部下達よりも早く立ち直り、頭の中で必死に算段を謀るシュ〇ちゃん。


「ちょっとタカ!?あんた何言ってるのか分かってるの!?」


ヒステリックに島に詰め寄り詰問する舞。

やはり他の皆は賛同するが、若干1名、若気の致りで突っ走る馬鹿を煽り立てる馬鹿、山久 上一郎。


「ウホホ、面白いやつじゃとは思うておったがこれほどとは!!!喜べ!京!!」


笑いながら京の背中をバンバン叩く。

それに合わせ京の機嫌が徐々に悪くなる。


結局島は聞き分けないところを舞によって負傷させられ参戦を断念したが、勘違いした軍部は敵は1人ではないと勘違いして、京1人に対して戦う算段をつけていただけなので、思わぬ所で伏兵の出現というどんでん返しに、もしや戦いの途中からでも参戦するのでは?と心理的なプレッシャーがかけられた。

通常、鍛えられた一流のB級ハンター1人の戦力は軍部の1個小隊に匹敵すると言われている。


補足までに・・・

〜S級→伝説的英雄クラス

A級→超一流

B級→一流

C級→一人前

D級→半人前

E級→見習い

F級→一般人並

とハンターのランクは分類されている。

ランク分けの基準は魔法、身体能力を含めた総合戦闘能力、任務遂行能力、実績を踏まえ、総合的に審査した結果で分けられる。

通常1ランクで倍以上の実力の開きがある。


軍部は赤嶺が雇う程の者だということでAランクの者を片っ端から調べたが、該当者は見つからず、楽観的に京の年齢からしてせいぜいB級だろうと高を括っていたのだが、それが大きな間違いで、実際にはその4ランク上のSSS級の最高ランクだったりする。

流石の軍部もA級以上の人間は調べられず、Bランク以下は数が多過ぎて調べることは出来ないし、その程度なら問題無いだろうと判断していた。


故に島1人が加わろうと、そうでなかろうとたいした差は無い。


「ではその会場とやらに案内して貰おうか」


行き先は最初に行こうとした目的地と同じ場所で、施設から500メートル程の場所にある整備された軍部のお偉方の趣味らしいコロッセウムを模倣したアンフィテアトルム(円形闘技場)で、途中危険だから、と理由を付けて京以外は引き離され、仕切られた観客席へと隔離された。

模倣しているのは外観だけらしく、内部は近代的な闘技場で、中央には石造りの巨大な円形の舞台があった。



18日午後3時48分、雨宮 京―――


敵は散開し終わり、周りを囲まれた。

舞台の4隅には何やら魔力石が、小隊の中心には何やら得体の知れない大きな機械がある。

敵の中には迷彩服を着ていない、明らかに外部のハンターのそれと判る恰好の2人の男女が加わっていた。


まぁいい、やることは変わらん。


「さて、そろそろそちらの準備はよろしいかな?」


余裕だと言わんばかりの笑みを浮かべ小隊長が問い掛けてくる。


随分と余裕しゃくしゃくだな?

どちらかというと俺の台詞のはずだが。


「いつでも」


こちらも笑みを返す。


「では山久博士、試合開始の合図をお願い出来ますか?」


山久が頷いてスタンドにあったマイクを手に取るのが見える。


「では、これより雨宮 京対須藤小隊の試合を始める。試合はどちらかが戦闘不能になるまで続行とする。では―――試合開始!!!」

いや〜いよいよ交戦ですね。

戦闘シーンは書いていて楽しいです。

読んでくださる皆様が面白いと感じるかはわかりませんが…


感謝!

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