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序章:9FAMILY BUSINESS

あぁ、長いな。

文章を飛ばすことが出来ない。

まだ序章だしw

序章で60分以上てwww

17日午前7時、某地方都市、―――


「ステルスシールド」


車から降りると同時に自分の周りにさらに秘匿結界を形成し歩き出す。

しばらく進んで車の位置を悟られないよう十分距離を取ってから結界を解く。


グギャァァアア!


こちらに気付いた怪物が興奮したして歓喜に狂いながら70メートル程先を6車線ある大通りを広がってこちらとの距離を詰めて来る。

邪魔な道を塞ぐ車等を乗り越えたり、吹き飛ばしたり、通りやすいよう破壊したりしながら。

真ん中の2車線の敵が若干動きが早く、意図していないだろうが、ちょうどファランクスのような陣形を取っていて攻めにくい。

感じる、興奮した敵の個々の動きを。

広い道を圧倒的な数が通り、狭いホースの中を無理矢理進んでいるような状態で密集しているだけで統制がとれているわけではない。寧ろ、仮に周囲を同じ獲物を狙うライバルと認識出来る程の知能を有していたとすれば率先して周りを攻撃するだろう。


『嬉しそうだな?』


心に語りかけてくる声。

彼もまた戦いを喜んでいる。

声色が明るい。


「そりゃ久々に運動出来そうだからな。この様子じゃ街の被害を気にせずに存分にやれる」

『確かに。・・・して京よ、今回の依頼、地方都市すらこの様子では、また過去に飛んで事象を歪める事になりそうだな。厄介なことにならなければよいが・・・』

「あぁ、俺もそうならないよう願うよ。さぁ、いくか」


既に怪物との距離はおよそ20メートル程。

体術のみでは時間がかかるか・・・

そう判断し右手を広げ、下に向けて前に出した。


「召剣――グラム」


声に魔力を込め、そうつぶやくとちょうど京の手の辺りの空間が揺らぎ、黒い大剣が現れた。

刀身1.8メートル、柄が30センチ程のやや大型のツヴァイハンダーのような形状。鍔は無く、刀身は異常に肉厚で、暑さ20センチ程。

切っ先からまで柄まで中心に装飾と軽量化を兼ねたスリットが入っているがそれでも異常な重量、強度がある。

形状からして圧倒的な強度と重量で刀剣というよりは鈍器に向き、敵を薙ぎ払うのに有利な作りをしている。

刀身はアジーンとシンクロし、竜になった京の尾の槍のようになっていた先端を魔界で加工したもので(もちろん異常な再生能力で直ぐに再生した)見た目よりも重く、硬い。

元は自分の身体の一部なので普段は自分しか開けない波長の合った特殊な異次元においてあるが、こうして呼べば直ぐに呼応して現れる。

そしてその柄を右手で軽く握り、左の掌を刀身に刻まれた文字にあてがい、右手で剣を引きながら刀身に刻まれた術式を起動し、一気に魔力を注ぎ込むと刀身が赤い光を帯びて剣に付与された仮想意識が覚醒し、京のサポートを始める。

剣が光り出したのを確認し、右手の地力だけで剣を振り回し調子を確かめる。

―――いける!!


「さあ、始めようか」


剣を右脇に構え右足で地面を蹴り様に魔力を放出し、一度の踏み込みで物凄い速度にまで達する。

地に左足が着くと同時に左足で魔力を放出しながら踏ん張り、勢いを殺さず左足を軸に右足を綺麗に弧を描くようにスライドし、そのまま慣性を利用して上体を捻り、右腕に一気に力を込め、バックブローの延長のようにして切っ先を敵に叩きつけるようにして薙ぎ払う。


ブシャァァッッ!


切り付けられた先頭にいた怪物達は何が起こったか認識するまえに上半身と下半身を切り離され、アスファルトを真っ赤に染めて絶命した。

さらに同時に魔力で発生した鋭利な衝撃波を維持し、飛ばす。


シャァァァッ!


蛇の音のような音色と共に突き進む衝撃波は触れる者を容易に、無差別に切り裂き、命を奪って行く。

たった一撃で第一波と二波の敵はほぼ全滅。

残ったのは瀕死の苦痛に喘ぐ者と身体能力が低く、出遅れて後方にいた第三波の怪物のみ。

第三波の怪物は一瞬にして自分達よりも強い者が一気に屠られ、少し知能のある者は脅えて立ち往生していたが、元が獣の知能が低い者は目の前の道が開かれ、これ幸いとばかりに死した仲間の屍を乗り越え、踏み付けやってくる。

だが行程の半分も進まずに足元の屍と同じ運命を辿ることになる。


「コンプレス エクスプロージョン」



左手の掌の上に炎塊が現れ、徐々に小さくなり、回りの空気もどんどん圧縮され、吸い込まれていく。

高度な炎属性の爆発、割と簡易な風属性、闇の力操作を操れて初めて扱える高度な魔法。

その威力は圧縮する空気の量で大きく変わり、高位な闇の魔法使いが使えば燃焼する酸素の量によっては街一つ消し去ることが出来る。

炎塊は今や直径1センチ程の球体になり、その周囲を圧縮された空気が覆い、全体としては直径5センチ程になっている。


「さぁ、吹き飛べ」


上に向けていた掌を前に押し出すと炎塊が手から離れ、前に飛んでいく。


「リベレーション」


十分に炎塊が離れてから圧力から解放し、一気に解き放つ。


ドゥッ


鈍い爆発音と共に圧縮されていた酸素が燃焼し、その爆発領域にある全てを飲み込み。

仲間の死体と血で動きにくい足場を喜々として進んでいた者も後ろで立ち往生していた者も全て飲み込まれ、一瞬で塵になる。


「終わったな・・・」

『ああ・・・・・お前は日に日に魂の質が高まっているな。魔力の質、一度に使える量もまだまだ我には敵わんが、魔力のコントロールは我と遜色ない』

「そう言ってもらえると嬉しいよ。」

『さぁ、そろそろ皆の元へ戻ろうではないか。もうじき待ち合わせの刻なのだろう?』

「あぁ・・・」


戦闘体勢を解除し、力を抜くと剣はまた異次元へと戻り、ゆっくりと歩みを進める。

車に近付くにつれ何故か徐々に小走りになっていく。

別にそこまで急ぐ必要も無く、ましてや普段は他人のいる場所へは足を運ぶことすら嫌がる自分故、今の自分の状態に違和感を感じる。

ドアに手を掛ける時、何故か胸が苦しく、それでいて幸福な不思議な感覚に捕われたが、今まで経験したことのない感覚に戸惑ったが努めて無視した。

いつもは落ち着くはずの座席に座ってもまだ気分の高揚は収まらない。

キーを捻りエンジンを掛ける。

その時、乗車時には気付かなかったが、後方から興奮した眼差しが向けられている事に気付いた。

今まで同業者からすら畏怖と羨望の眼差しが向けられていることがあり、そういった視線には慣れていたが、単純に興奮しただけの眼差しは初めてで、少したじろいでしまう。

バックミラーを覗き込むと島と視線が合った。


「・・・何だ?」


つい苦々しげな声になってしまう。


「何だって・・・雨宮、あんなスゲーことしといて興奮するなってほうが無理だって」


瞳を輝かせて話す島に合いの手を入れる舞。

このあたりは息の合った熟練のコンビのようだ。


「そうそう、怪物も一瞬で爆発に巻き込んじゃったし、めちゃくちゃ強いよ」


あのぐらいは嫌でも出来るようになってもらわねば困る。

それより今は目の前の障害物をなんとかしよう。

爆破するのもいいが、焼け跡を突っ切るような事をしてタイヤを傷めたくない。

かといって風魔法でトレーラーが動くような突風を起こせば、それこそ台風レベルの威力で回りの建物が破損してさらに走りづらい道になるだろう。

そうとなればやることは1つ。

均一に力を掛ける為集中する。


「ヘヴィ グラヴィティ」


一気に横転していたトレーラーが見えない力によって圧壊し、平坦な鉄塊と化す。



―――ヘヴィ グラヴィティ

闇属性の結界型の魔法で重力を操作する魔法グラヴィティの発展型で、グラヴィティは効力の及ぶ範囲の重力を小さくしたり、大きくしたりできることが出来るのに対し、こちらは重力を大きくすることしか出来ない。また、掛けた魔力に対して増大する重力の大きさはグラヴィティに比べ10倍で、さらに、一度重力を操作したフィールドには破られたり、自ら解除しない限り半永久的に作用する。

京にとってはかなり使い慣れた魔法で、高負荷で対象を破壊したり、圧死させるのによく用いる。


・・・さて、行くか。

勢いよくアクセルを踏み込もうとした途端、聖の制止で止められる。


「ちょっと待ってよ。貴方は何者なの?これから会う人達は何者なの?それと、世界は今どうなっているの?」


周りの会話が止む。

その場にいる誰もが疑問に思っていたことだが、聞いたらもう日常には戻れない気がして、心の奥底に閉まっていた疑問だったが、聞いてしまった今は恐怖心より好奇心が勝り、皆注意をこちらに集中している。


さて、どう答えたものか・・・?


答える言葉を選んでいる間静寂な空間にはエンジン音以外に音はない。


「これから会う人間は・・・政府のAEIOと言う機関の役人で、俺の今の仕事の依頼主だな。」

「AEIO?」

「あぁ、対魔族侵略機関と言う国連の極秘機関だ。さっき説明のVTRを・・・って石崎は見てないのか。・・・奴らは主に魔族の侵入を未然に防いだり、侵入された場合は撃退、事後処理を仕事としている。が、今回の件は・・・いつもとは何か違う。今回は魔族の気配を感じない。襲ってきたのはこちらの世界の者だった。通常、魔族はこちらの世界に侵入してきても器を持たないため、力を維持出来ず、かなり弱体化する。力の弱い魔族にいたっては形状を維持出来ずに自然消滅する。弱体化した魔族の撃退はたやすいが、今回のような身体能力がフルでまた圧倒的な数には対抗出来ずに失敗したのだろう。世界は今、恐らく混沌に陥っているだろうな。多分知り合いももう生きていないだろう。詳しい説明はこれから会う人間に聞け。話し好きで好色の爺だ、よろこんで話してくれるだろうよ。最後に俺についてだが・・・端的に言うと殺し屋だな」

「・・・!?」


目の前にいる人間に急に

「私は殺人者です」と言われても普通は相手にしないだろう。

だが今は状況が普通ではない。

ましてやあの異常な身体能力に魔法を見せつけられた時点で・・・


「一応言っておくが、俺は殺し屋だが・・・殺人犯ではない。そこのところを間違えるなよ」


そうは言われても素直には受け入れられない。


「殺し屋って犯罪者じゃねぇかよ!?」


事情も知らないで喚く島を一瞥してまた口を開く。


「犯罪者ではないと言っただろう?・・・俺の家系は代々政府の依頼で対象の討伐を行うハンターと言う傭兵家業をしている。ハンターにはランクがあってE〜SSS級まであるんだが、対象は普通は魔族だが、S級以上からは人間も狩る」

「人間を狩るって・・・どういう意味だよ!?」

「・・・例えば、さっき俺が出したような力を持って悪行の限りを尽くす人間がいたらどうする?・・・手の出しようがないよな?仮に捕まえても牢屋も枷も意味が無い。だからS級からはそういった人間の討伐も任務になる。拒否は出来ない。世の中には契約者と言う人間がいて文字通り魔族と契約し、その力を行使する者の事だが、俺もその一人だ。俺のランクは最高のSSS級だが、狩るのはたいていがその契約した魔族の力で暴走する元ハンターだ。今の日本にはSSS級の俺一人しかいない。まぁそんな依頼は滅多にないが。もちろん魔族の討伐も受けるが、俺を雇う程の事は滅多に無い」


「あくまでも罪人を殺す訳ね」

「あぁ・・・分かってもらえたかな?」


「一応はね」

「まぁ詳しくは後でまた説明する。今は目的地へ急ぐぞ」


そういってアクセルを踏み込み、盛大にタイヤに悲鳴をあげさせた。

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