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竜達の旅団≪ドラゴンズ・ブリゲード≫ 【呪詛の鐘の章】  作者: 中一明
ジャパン・クライシス
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ノアズアーク 5

ジャパン・クライシス編前半戦を彩る最初のお話です!あの人物が再登場するお話になりますのでお楽しみに!

 イザークという人間を理解することは非常に難しい。

 それはイザーク自信がよく分かっている。

 自分の趣味趣向が人一倍変わっていることも、それが他人に理解されていないことだってよく分かっていた。

 それでも殺したいという殺意衝動だけは押さえることが出来ないのは初めての殺人をもいだすからだろう。

 初めての殺人。

 妹と幼馴染を殺そうと思ったのは本当に偶然、目の間に訪れたチャンスと言ってもいい状況は本当に偶然で、その時助けようとする感情は訪れなかった。

 目の前で悲鳴を上げていきながら死んだ状況を見ていると自然と高揚していき、同時に「もっと見たい」という感情が襲い付け、同時にどうやればバレずに殺すことが出来るのかばかりを考えるようになった。

 そして、ある結論に至った。

 思考し続けることが、勉学に集中し続けてもっと殺す方法ばかりを調べるようになった。

 その内ネットサーフィンでも調べるようになると、ある音楽サイトにだどり着いたのが彼が能力に目覚めたきっかけだった。

 音楽サイトに存在した怪しい音楽を近所の女性に使った所自分の思った通りに動く事を知った。

 家事をしている最中に火をつけて殺す手段を思いつき、実行した時彼は自分で炎を操ることが出来る事に気が付いた。

 試したいという気持ちと共にイザークはこの音楽を利用すればもっと多くの人間を殺すことが出来るはずと試行錯誤を繰り返した。

 そして、一度に多くの人間を殺してみようと思い行ったのが故郷を焼き払ったあの事件だった。


 バイクを走らせて俺は真直ぐ奴を追いかける事にした。

 闇雲に走ってもどうにもならないが、奴が飛び去ったところを見た人間がたった一人だけいた。

 マリアが唯一イザークと言う人間が旅立ったところ見ており、それは俺の故郷の方が下った。

「間違いないと思うぞ。奴はお前さんの故郷である集落へと向けて移動しておった」

 そう言ったマリアは病院での手当てのために残り、俺自身は三人を救出する為にそのまま故郷へと向かう中、それを見てしまった。

 多くの人が悲鳴を上げる方向をじっと見ていると故郷の方向から火の手が上がっていくのが俺からでも見えた。

「あいつ……あの辺の山全部燃やしているわけじゃないよな?」

 あの炎の量は異常と言ってもいいだろう。

 あの辺の山全てが奴の手によって燃やされているとみてもいい、なんなんだ?

 あいつの行動原理は何なんだよ。

 そう思いながら俺はバイクの矛先をまっすぐ故郷へと向けようとするが、故郷の方向から多くの人が逃げ延びてくる。

 俺はバイクから降りるとそのまま逃げる人の一人、若い男性を捕まえて「何があったんですか?」と尋ねると男性は「あの辺の山一帯が同時に山火事を起こしたみたいなんだ!あんな山火事見たことねぇよ!」興奮気味で答えた。

 当初こそ『星屑の鎧(鎧は元に戻した)』を着ている人間に驚く者などがいたが、どうやらここ数日で俺の噂が街中に広がったらしく。

 俺ならこの事件を鎮圧出来るという期待が出てきていた。

「頼むよ!あの辺には集落があるんだ。あの規模なら集落全体に被害が出て居るはずだ!」

「分かりました。皆さんは周辺の人達を病院やホテル周辺のガイノス軍が集まっている場所まで避難してください」

 俺は避難誘導を一旦任せてそのままバイクで集落入り口までバイクを走らせた。


 酷いというのが素直な意見で、実際木々は燃え盛り道は燃えた木々で塞がれている。

『ここから先はバイクでの走行は不可能です』

「ここまででいい。お前はこのまま安全な場所まで避難しろ」

 そう言ってそのまま燃えた立木を乗り越えながら足場の炎を気にする暇もなく、道なりに進んで行くと集落が一望できる場所まで出てくる。

「あたり一面が炎の山になっているじゃないか………野郎!何を知るつもりだ!?」

 俺は集落の中を走り出すと、俺の家を中心に炎が接近できない場所が出来ており、そこに多くの住民が集まっている。

 そして、そこを襲おうとイザーク、そこを守ろうとイリーナと呼ばれている少女とジュリが二人係で戦っているがまるで相手になっていない。

 炎を操る人間相手に、真っ当な手段が通用出来るわけが無く、家の周り炎が入ってこれないのもシャドウバイヤの結界だろうが、あれもそんなに持つとは思えない。

「イリーナ!お前が邪魔しなければもっと早くに『呪詛の鐘』が見つかったのに!?お前だけは絶対に許さん!この街ごと殺してやるよ!」

「させません!あなたをこの国に連れてきてしまったのは私の責任です!あなたの殺人衝動はここで阻止します!」

 イリーナという少女は長い金髪の先が周囲の炎の光を反射してより輝いており、ジュリも体中にやけどの跡が見受けられ、それを見るだけで俺の心の奥に怒りが炎のように燃え上がる。

 右手に緑星剣を握りしめ、全身を震わせるとそのまま全身の力を剣に乗せてそのまま斬撃と言う形でイザークに叩き込もうとする。

 緑星剣に淡い光が集まっていき、俺は両手で緑星剣を握りしめつつそれを右腰から後方に剣先を向ける形で構える。

 すると、淡い光は強い光に変わっていき、そのままの勢いで斬撃と言う形でイザークの胴体を真っ二つにするような気持で斬りつける。

「止めろォ!」

 斬撃はイザークの胴体に直撃する寸前でイザークの一撃とぶつかり合い、周囲に熱風と言う形で霧散する。

「来たか!?忌々しい子供が!」

「アンタより忌々しくなったつもりも無い!大体、なんでこんなことをするんだ!?あんたになんの得があるんだ!?この街の人達が何をした!?」

 炎に燃える畑を挟んで俺とイザークは対峙する形になり、俺の家から見守る人達は俺達をじっと見守っている。

 イザークの表情が狂気の表情に変わり、いっそ高笑いでもすればイメージ通りの行動だったかもしれないが、ひたすら表情を歪ませて俺をじっと見ながらまるで当たり前のように告げる。

「殺された時の絶望、殺されるとわかった時の表情がたまらないんだよ!特に燃える中苦しみ悶える姿は溜まらない……」

 狂気100%の表情と言うのを俺は見たことが無い

 ジャック・アールグレイは商売という意味では最悪の人間だったが、それでも奴はそれを商売の為という理由があった。それが絡まない限りは奴は俺の天敵でも最悪の敵ではなかったはずだ。

 俺のライバルであり最大の天敵であるジャック・アールグレイより最悪で最低な人間がいるとは思わなかった。

「お前は最低の人間だ……俺が知る限り一番最低な人間だよ。お前……人殺しを楽しんでいるんだな!?」

「最低な人間と言うのは珍しい事じゃないが……こいつに関しては同意だな」

 俺は聞いたことのある声を聴いた。

 最悪の天敵。

 後ろを振り返ると精悍な顔立ちやスーツが嫌と言うほどにあっていて、どこにでもいる男性なイメージがあるが、俺やジュリからすれば3年間戦い続けてきた相手だ。

「ジャック・アールグレイ………生きていたのか?まさかと思うがこの男を庇うつもりじゃ?」

「まさか……この男が最近私が手を出したビジネスの邪魔をしているようなのでな。落とし前でもつけてやろうと思ってこの街にやって来たんだがな。まさかこの街に来てでも機竜の邪魔をされるとは思わなかったが」

 やれやれとジェスチャーをわざとらしくしながら俺の隣に近づいてくる。

「一緒に戦ってやるよ。こいつに生きていてもらっても困るしな」

「信じてもいいだよな?」

「勿論だ。こいつ相手には色々と手こずっていてね。お前の力が必要だと考えていた」

 俺は意識をイザークに向けなおし、緑星剣を握り直す。

 ジャック・アールグレイも細剣を真直ぐ相手に向けなおし、右手に装備した魔導機を弄り真直ぐな視線をイザークに向け。

 イザークは体中を炎に変えながら狂気と口を上へと持ち上げ、悪魔のような表情になっている。

 村人が見守る中たたかの予断の許るさぬ戦いが始まろうとしていた。


感想は次のお話で!では二時間後に!

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