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竜達の旅団≪ドラゴンズ・ブリゲード≫ 【呪詛の鐘の章】  作者: 中一明
ジャパン・クライシス
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ノアズアーク 4

立体駐車場での戦いってロマンがあると思います。

 レクターの激しい一撃で病院の壁が吹き飛んでいき、その際に生じる埃や塵からアラウが飛び出してきて、レクターも追いかけるように飛び出していく。

 病院の壁を駆け抜けていくアラウとそれを追いかけるレクター。

 そんな彼らの視線の先、病院の隣のマンションの上ではソラが新たな敵であるイザークと交戦しているようにも見え、二人はそのままの勢いで病院の立体駐車場の中へと突っ込んでいく。

 駐車場の規模は縦に六階、一階毎に三十台の車を収容できる。

 多くの車が突っ込まれている駐車場の三階に入るとアラウはそのまま車の車体を足場に変えてそのままレクターへと突っ込んでいくが、レクターは空中で体を強引に捻る形で回避しそのままアラウの横っ腹に拳を叩き込んだ。

 アラウの体が駐車場のコンクリートに何度も打ち付けながら転がって行き、レクターも無茶な回避でそのままコンクリートの上で転がってしまう。

 二人の間に絶妙な距離感が開き、息を整えながらツッコんでいくタイミングを計ろうとしていた時、駐車場の中に大きな炎の柱がいくつも突き刺さり、二人は同時に隣のマンションに視界を移すが、二人の居場所では残念ながらソラとイザークがどんな戦いをしているのかが分からない。

 アラウが上に行こうとするのをレクターは天井や床、柱を上手く使った立体戦法を駆使してでも止める為に腹を蹴りつける。

「鬱陶しいわね。柔軟な身体つきやそれを生かすための反射神経、戦闘に特化した能力と言い。あなた………馬鹿でしょ?」

 アラウは経験で分かる。

 レクターは良くも悪くも馬鹿であると。

「馬鹿だよ?だから何?」

 そして、レクター自身も又自覚している事でもある。

「あなたみたいに本能で戦う人は大っ嫌い」

「俺もあなたみたいに他人に依存してばかりで自分からは絶対に動かない人は大っ嫌い」

 二人は再び睨み合うとそのまま地面を強く蹴り、二人は駐車場のど真ん中で拳と拳をぶつけ合う。

 そのまま蹴りつけ合いに移行し、至近距離での叩き合いに移行するが、素早さをひたすら高めたアラウと瞬発力と反射神経で戦うレクターでは互角に見える。

 天井を蹴ってかかと落としをレクターへと向けて叩きつけようとするが、レクターは体を捻って回避しつつ肘鉄をアラウの頭に叩きつけ、アラウはそれを左腕で受け止める。

(反射神経と瞬発力だけで戦うなんて……一瞬でも判断を誤ればカウンターを決められてしまうのに!?ありえない。なんでこんな危険な戦い方が出来るの!?)

 アラウからすればレクターの戦い方は異常と言っても良い部分があり、一歩でも判断ミスが命取りになるような戦いなんてアラウには出来ない。

 本能のままに攻撃し、本能のままに回避する戦い方は想像するだけで背筋が凍る思いを抱く。

 実際今もアラウの攻撃を体を仰け反らせるだけで回避し、そのまま拳を容赦なくアラウの胴体目掛けて叩き込もうとする。

 視認するよりも体が先に動いており、攻撃も的確に叩き込まれている。

 天井や柱を縦横無尽に使いこなしながら立体的な戦い方をしており、移動方法も決して頭のいい方法とは言い難い。

 どうしても腰が引けてしまい、同時に一撃一撃を叩き込む際の足の踏み込みも弱くなっていく。

 逃げ腰になっているのが自分でもよく分かり、同時に前でなければ勝てないという思考から焦りが生まれる。

(勝たなければ殺される。もっと前に出なければ殺される……でも、前に出ても勝てるかどうか?でも………でも)

 何度も考え、何度も何度も壁にぶち当たる度イザークに殺されるという考えが心を押しつぶされそうになる。

 攻撃を捌くだけで精一杯で、まともに攻撃できそうにない。

 体の軸を維持しフェイント含めた攻撃、足払いからの蹴り上げなど様々な攻撃方法に翻弄されていき、上から攻撃が来たのかと思えば下からも攻撃がやってきて。攻撃方法や手段が全くつかめず防御の隙をつき形で攻撃が当たりだす。

 心が負けている。

 イザークへの恐怖心で戦うアラウ、仲間を守る為に戦うレクターでは戦いに対するスタンスが違う。

 前に出るための感情でレクターに大きく負けており、その上アラウにはスピードでついて行ける人間がおらず、今まで互角の戦いが出来なかった事も押されている理由の一つでもある。

 レクターのストレートパンチがアラウの鳩尾に叩き込まれたことでアラウは完全に両膝を地面につけた。


 負けたのかなんて言う気持ちがイザークの頭をよぎった時にはアラウも又必要のない人間だという判断が下った。

 だからだろう。

 前の前で戦っているソラへの警戒心よりアラウと処理しようと炎の弾をニ十個作り出し、アラウとレクター目掛けて射出する。

 ソラが素早く反応しイザークの攻撃を捌こうとするが、一度に射出される弾の数が多すぎて撃ち落とすことが出来ない。

 三発ほどがレクターとアラウの方へと向かって行き、レクターとアラウが反応した時には既に目の前まで弾が迫っていた。

 アラウは殺される恐怖を抱き、レクターはアラウを助けようと両手を伸ばすが、それ以上の速度でヴァースが間に入り込み、レクターとアラウを守る為に壁になった。

 大きな爆発音とヴァースの体が燃え上がる中、ソラがヴァースの炎を打ち消し、イザークは周囲に炎の斬撃を無数に分けて飛ばすまくる。

 ソラは三人を守る為に斬撃を二本の剣で打ち消しながら守りに徹するとイザークの視界にある人物が入り込むのが見えた。

 ジュリは病院から出てきた奈美とイリーナを安全な場所に連れていこうとする姿で、イザークは目的の人物を見つけ出し、ソラにはまだそこまで把握できていない。

 イザークは体中から炎を作り出し、その炎は病院の窓を割り建物を飲み込もうとする。

 外に出ていく患者や病院関係者が逃げ延びていきながら悲鳴を上げていく。

 ソラは炎の巨人へと突っ込んでいき、ど真ん中に剣を突き立てるがまるで手ごたえが出てこない。

「一部分を消しても意味がないのか!?だったら!!」

 ソラは一歩後ろに引き、両腕に一本ずつ、二本の剣を更に浮かせて合計四本の剣を炎の巨人に向ける。

 脳の思考速度を最大限まで引き上げ、一気に突っ込んでいく。

 アラウはその姿を「無茶だ」と言いながら見ており、レクターはダメージで動けそうになく、ヴァースに関しては二人を守るだけで精一杯の状況だった。

 ソラは大きな咆哮を挙げながら四本の剣を連続で、何度も何度も切り刻んでいく。

 空自身が学んだガイノス流剣術と武術を併用した今できる最大の攻撃方法。


「ガイノス流終極其の一!黑き渦」


 四本の剣から繰り出される連続攻撃は一種の竜巻のように大きく炎の巨人を大きく飲み込んでいく。

 多くの人の視線にその姿が写り、黒い渦は炎の巨人を飲み込むとそのまま完全に姿を消す。

 ソラは膝から崩れおり、大きく息を吐き出す。

「何とか形になったけど………」

 周囲を見回して安堵の息を吐き出すと違和感を抱き始める。

 何度も、何度も見回してある人物達がいなくなっており、同時に何度探してもジュリ達がいない。

「さっきの攻撃は………囮?」

 攻撃してからさほど時間が経っていないはずだと思考し、高台に上がろうとするが両足に力が入らない。

 多くの人がそれどころではないこの状況で「救出と捜索をお願いします」なんて言えなかった。


どうだったでしょうか?次回でノアズアーク戦も終わり、取り敢えず前半戦は終了となります。このままの勢いで後半戦に向かう事になります。取り敢えず次回は折り返し地点となるお話です。お楽しみに!では次回!


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