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竜達の旅団≪ドラゴンズ・ブリゲード≫ 【呪詛の鐘の章】  作者: 中一明
ジャパン・クライシス
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ノアズアーク 2

戦闘回ですが今回は実際に存在する兵器が出てきますのでお楽しみに!

 ベースはフランスに本社を置く企業が作り出した最先端AIとして開発を受け、何年もかけて成長を遂げたAIだったが、本人はAIであるという点をどうしても許せないAIだった。

 ベースという名前も自分で名付け、自分の行動に制限を持つことを許せずに行動し、そんなベースの目の前に現れたのがイザークだった。

 ベースからすれば人間の区別など顔や性別など多く存在するが、目の前に現れる人間はどれも似たような考えかたを持っていた。

 研究者や開発者などは基本的に同じような思考回路をしており、ベースからすれば面白みも無い毎日だった。

 そんなベースの前に現れたのがイザークと言う狂気の人間だった。

 研究所をぶっ壊し、一人一人を拷問しながら殺していく姿はベースにも異常な存在として移り、同時に自分が初めて確認した違う人間だったのは事実だ。

 彼に惹かれ、心の無い自分の思考回路に踊る何かを見付けだしたベース。

 心を見付けたい。

 そんな気持ちでイザークと共について来たベース。

 ベースの目の前に現れたソラは他の人間とは違う何かを持っている。

「どうしてこんなに温かく感じるの?私はどうしてこの少年が気になっているの?」

 乱される環境に置かれたままでベースとソラの戦いは屋上へと向かって行った。


 ベースとソラが屋上に向かって行く過程で、ソラはレクターに内部にいるイリーナの救出を頼み込み、壁を走って登る。

 ベースは足をスラスターに変換し、飛ぶように屋上へと移動して、そのまま両手に内蔵されている熱線の弾丸をガトリングのような勢いで連続照射する。

 ソラはその攻撃を肩の剣で受け止めながら小さく回避、剣を抜き取ってそのまま屋上の手すりに足を掛けて一気に斬りつける。

「あなたの行動は理解不能です。あそこで戦えば勝率はもっと上がったはずです。何故一人で戦う道を選んだのですか?先ほどあなたはわざと私を上に追いやろうとしましたね」

 ソラが屋上にうまく着地すると振り返りベースを視界に捉えておく。

 ベースは給水タンクの上に着地し、ソラを見下ろす。

 ソラは黙ったまま立ち上がりもう一方の剣を腰から抜き取り二刀流に戦い方を変える。

「アンタの戦い方は周囲の人間を巻き込むみたいだし、俺一人で戦った方が被害が少なくて済む」

「それは、あなた一人でも私に勝てるという意思表示でアンサーですか?」

「おかしな言葉遣いをするんだな。でも、そう言うわけでも無いよ。俺一人で勝てないなら頼るさ。でも、勝てるなら一人の方が被害が少なくても済むだけって話だろ?命に変わり何て無いんだし」

「あなたの言葉には理解できない部分が多いです。命を懸けた戦いをする以上は成功確率の高い方の作戦を選ぶべきです」

「やっぱり機械なんだな。ちなみに聞くけど。あんたの体に搭載されているコンピューターが破壊されたら再現は不可能?」

「………再現は不可能です。なのであなたは私のコアプログラムの場所を探し出し破壊すればいいわけです」

「なら、俺の本当の勝利は………コアプログラムを取り出すことってわけだ」

 ソラは右手に握る剣を真直ぐベースの方へと向け、堂々と宣言する。

「俺の勝利はあんたを殺さないことだ」


 ベースの両足から姿を現した降雨周波ブレードの斬撃を左の剣で受け流しながら、右手の剣で攻撃を繰り出すソラ。ベースへの攻撃はベースの左腕目掛けて伸びており、ベースはそれを閃光弾で動きを一旦ストップする。

 ソラは肩の剣を相手に向けて飛ばし、ベースは飛んでくる剣をミサイルで受け流す。

「なるほど。大きな口を叩くだけの事はあるようですね。ですが……これならどうですか?」

 プロペラのまわる音とそれに相応しい風が空を襲い付け、ソラの視界に軍用タイプのヘリが姿を露に知る。

「昔テレビで見たことあるな。確か………コブラだったか?」

「詳しいですね。こちらはコブラの『AH-1S』です。自衛隊基地から拝借させていただきました」

 操縦席には人が乗っておらず、ソラはコブラの座席下に付いている20㎜機関砲の攻撃を回避するためひたすら走る。

 病院の屋上の床を破壊しながら照準はソラへとひたすら向けられる。

 Towランチャーが空の方を向くとさすがの空でも焦ったような声を出す。

「ふざけるな!対戦車用の兵器だろ!?そんなものこんな所で使ったら屋上が吹っ飛ぶわ!」

 容赦なく照準を向けられるのでソラは給水タンクより上に移動し、飛んできた攻撃を両手で持っていた二本の剣で攻撃をよそへと弾く。

 飛んでいく攻撃はまっすぐに少し遠くの通信塔へ当たると大きな爆発音と大きな光を放ちながら根元から折れて倒れる。

 ソラは肩の剣をコブラのプロペラの付け根目掛けて飛ばし、ベースはそれを打ち落とす為両手の銃口を剣へと向け撃ち落とす。

「なんな兵器何度も使わせるわけにはいかない!悪いが落とさせてもらうぞ!」

 ソラは二本の剣をより強く握りしめ、屋上から別の屋上へと靴が焦げそうな勢いで走り出し、コブラの照準機能が追いつかない速度で裏に回り込み、大きく跳躍する。

 ベースはそれを邪魔しようと立ちはだかるが、ソラは大きな声を発しながら周囲に影を伸ばす。


「陽炎!!」


 周囲に暗い影が忍び寄り、ソラの姿が少しだけかすんで見えたベース。

 ベースは恐ろしさから両足の高周波ブレードをソラの方へと伸ばし、ソラは決して攻撃を受け止めようともしない。

 ベースの攻撃は虚ろなソラの体を突き抜けるが、刺したという感触がまるで訪れない。


「蜃気楼!」


 虚ろなソラは周囲に広がっていき、コブラとベースを包んでいく。

「な、なんですか!?こんな力は人間が持つ力ではありません!」

「これは竜の力だよ。コンピューターじゃ処理できないだろ?でも、これも人間だからこそできる事だ」

 コブラに斬撃傷が広がっていき、尾翼から座席まで至る所に傷がついて行き大きな爆発音が屋上中にコブラの破片をまき散らす。

 ベースはどうしてコブラが破壊されたのかがまるで理解できず。

 コンピューターの処理能力では追いつくことが出来ない。

「お前が純粋なコンピューターならきっとこの力の正体に気が付けたはずだ。でも、お前は人間を目指すあまり人間らしくない部分をなるべく排除したかった?違うか?」

「そ、それは!?」

「戦うための力は必要から、それだけを残したお前は人間の体に全てのシステムや機能を集約してしまった手前、どうしてもそぎ落とさなくてはいけない部分が出てきたはずだ」

 それこそがベース自身の弱点だった。

「弾丸の反射の計算、高周波ブレードやビーム兵器の搭載、全身のバランスを維持するためのバランサーなどあまりにも高スペックな機能の数々。やり過ぎだ。なら、バランスを取る為に必ず欠点が存在すると思った。お前は温度センサーなどのセンサーの類を排除しているんだろ?」

 機械としては致命的な欠点。

 センサーと言えば機械にとっては目と言ってもいい部分。

「アンタはその両目のカメラのみで戦っているんだ。だから、本来の機械なら俺の位置を把握できるのに、お前は把握できない」

 ベースは足場なのか、それとも空を浮いているのかすら判断が付かなくなっていき、次第に不安で処理しきれなくなり、同時にコンピューターの発熱でおかしくなりそうになる。

 ベースは足元に感覚得て自分が膝をついて座っていると気が付いた。

 ベースの後ろから首筋を経緯して一本の剣が伸びる。

「全ての武装を放棄し降参してくれ。出ないと四肢を奪うしかなくなる。たとえ機械でも女性の四肢を奪うなんてしたくないんだ。これ以上暴れないなら俺も乱暴をしない」

 ベースは初めて感じる敗北の感覚。

 しかし、勝てない相手だと気が付き、自分の体に搭載されている武装を完全に放棄する。

「ありがとう」

「何故、あなたがお礼を言うのですか?」

「あんたは壊さなくて済んだ。俺にとってはあんたを壊すという事は殺すことと同じことだからさ」

「私に命はありません」


「あるさ。あんただってこの世界に一つしか存在しない大切な命だよ。人間になりたいという気持ちはあんたに命があるって証明じゃないか。人間は届かない存在に手を伸ばす生き物なんだからさ」


どうだったでしょうか?今回のノアズアークも全三話。小説家になろうでは全六話の予定で全てノアズアークとの戦いの決着となります。前半戦を締めくくるお話になりますのでよろしくお願いします。次回はレクター対アラウ戦になります。では!次回!

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