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竜達の旅団≪ドラゴンズ・ブリゲード≫ 【呪詛の鐘の章】  作者: 中一明
ジャパン・クライシス
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ノアズアーク 1

今回から掲載パターンを少しだけ変えます。よろしくお願いします!

 病院方面から黒い煙がモクモクと立ち上がり、焦る気持ちを押さえながら屋根から屋根へと移動して行く。

 少しずつだが家の中から人が姿を現し、病院方面へと移動して行くところを見ると、かなりの人間達に話が電波しているらしい。

 病院に近づいていくにつれ銃撃音が聞こえてきて、同時に更に大きな爆発音が俺の耳にまで届く。

 俺のマントの裏側でもぞもぞと動く物体が二人、間違いなくシャドウバイヤとエアロードだろう。

「いつから俺の背中にいたんだ?」

「最初っからだ。しかし、酷い学校だったな。取り立ててお前が訪れていた階は落書きが酷かった」

 エアロードが言いたいことは分かるし、自分でもあんな場所に毎日通っていた時期があるのかと思うとそれなりに来るものがある。

「狙いは何だろうな。『歌姫』の抹殺あたりかな?」

「シャドウバイヤはその辺を疑うか、私はあの大男の救出と見たぞ。空はどう思う?」

「その両方かな。歌姫の抹殺と大男の救出かもしれないな。両方とも病院にいるはずだし、その両方と見た方が良いだろう」

 俺達が話している間に目の前に病院が見えてきた。

 病院のロビーからは大きく煙と炎が上っており、裏手の方からは銃撃の音が響き渡る。

「下手をするとノアズアークの総力戦かもしれないな」

 俺が舌打ちをしながら呟くと、シャドウバイヤが「その割にはこの前の戦いと違って派手さが無いな」と言い、エアロードは「確かにな」と戦場になっている病院を眺めながら呟く。

 それには俺も同意見だ。

 下手をするとあの時の炎を操っていた男がいないのではないか?

「戦闘に出れないほどのダメージじゃないはずだけどな………かすり傷程度だったはずだし。さっきの大男の方がよっぽど大怪我だと思うぞ」

「フム。なら二段構えだと見ておいた方が良いな。ソラ、余力は残しておけ」

「エアロード………相手によるぞ。先ほどみたいに面倒な相手なら俺でも全力で戦うしかないし」

 俺は緑星剣を召喚し、一気に近づこうと両足に力を込めるが、それをシャドウバイヤが引き留める。

「ソラ。私と契約しよう。ならある程度力を押さえて戦えるはずだ」

「貴様!このタイミングで言い出すか?」

「エアロードは確かに強力な力を持っており、攻撃については敵なしだ。しかし、力加減が難しく、消耗が激しいという欠点を持っている。その点私の力は力を温存しながら戦う事が出来る」

 俺は少しだけ考え、エアロードを見るとエアロードは「グヌヌ」と口にしながらも最終的には契約を認めた。

「俺は一人も二人も構わないけど………二人も契約できるのか?」

「不可能ではない。事例ケースが無いわけじゃないしな」

 俺とシャドウバイヤの左手が重なり、今度は左手首に鎖の痣が浮かび上がる。

 俺は体の内に宿る新しい力が存在することに気が付き、それを具現化させようとするとエアロードが「自分のイメージが大切なんだぞ?下手なイメージを持つと変なデザインになるぞ」と忠告してくるので俺は真剣にイメージを持つと、何故だろう。

 昨日テレビつけているときに見たゲームの騎士姿を思い出してしまった。

 腰に二本、両肩に一本ずつで合計四本装備しており、西洋風の鎧に聖騎士をイメージしたデザイン、マントは存在せず両腕には剣を振るううえで邪魔にならない様な形の細長い楕円状のシールドがあったはず。

 頭の中に浮かび上がったデザインがそのまま鎧姿に変わり、『星屑の鎧』は静かに姿を変えた。

「その鎧はテレビで出て見たゲームとやらのデザインか?何故これにした?これ………元の色は白だっただろ?」

「フム。確かにそうだな。真っ白だったような気がするな。これでは闇堕ちしたようなデザインになっているな」

 シャドウバイヤが先に発言するとエアロードも続くように勝手な意見を出す。

「俺だって好きでこの鎧にしたわけじゃ………!咄嗟に思い浮かんだのがこの鎧だったんだよ!」

「「言い訳だな」」

 でも、造ってしまった以上これで戦うしかない。

 でも………二刀流か。やったこと無いんだよな。

 実際の剣で二刀流をしようと思えばかなりの難しさを誇るうえ、頭を予想以上にフル回転させなければならない。

 しかも俺は実際に二刀流をしたことが無い。

「でも、この肩にある二本の剣をどうするかだよな………四本振るうなんて後腕が二本必要だぞ」

 俺はこんなことをしている場合では無いのだが、一度考えるとどこまでも考えてしまう。

「浮かせればよかろう。シャドウバイヤの力なら出来んことは無いだろ。なあ?シャドウバイヤ?」

「ああ。可能だ。むしろそういう風な力の使い方が私の強みでもあるしな」

 出来るというイメージが最大の武器………か。

「二人はここにいてくれ俺一人でどこまで戦えるか見極めたい」

「「むしろここから移動するつもりは無い!」」

「いいよ!どうせ役に立つ気も無いんだろ!!」

「「無い!興味も無い!!」」

 畜生!分かっていたよ!お前達が全く興味を示さないくらい!


 レクターは裏口から入ろうとするアサルトライフルを構える集団相手に肉弾戦を仕掛けており、その中に目立つ女性が立っていた。

 車の上で多くのアサルトライフルを浮かせながら、自らは決して直接殴ったりけったりするわけでは無い。

 しかし、遠くから狙われる銃弾を見えないシールドで弾くという作業。

 それゆえだろう。

 ダメージを負ったレクターではまともに近づけない。

「ダメージが痛いし!相手は見たこと無い力使うし!嫌な事ばっか!」

 ジュリが周囲の炎を操りながら相手に巻き付けようとするが、女性『ベース』はそれを見えないシールドで受け止めつつ、アサルトライフルの照準をそちらの方に向ける。

 ジュリも別の車の影に入り込む。

「あなた達がヴァースを倒したので少々警戒していたのですが。正直拍子抜けです」

「なら俺が相手してやるよ!」

 ソラが半壊した軍用車の上に着地した。

 周囲のガイノス兵やレクターとジュリはソラが見たこと無い鎧を身に纏っている事に驚いているが、空は気にしないように敵にまっすぐな視線を向ける。

「あなたですか?では、警戒レベルを一段階上に上昇させる必要がありそうですね」

「その必要は無いよ。あんた相手に時間を掛けるつもりないし」

 ソラが跳躍すると同時にベースはアサルトライフルの弾丸を全てソラへと向けるが、空は肩のシールドを浮かせながら回転させる。


「剣よ!俺を守れ!」


 弾丸を受け止めている間にソラはベースに向けて容赦ない一振りを向けるが、ベースを高く飛びながら攻撃を回避し、そのままベースは体を別の車の上まで移動させる。

「なるほど。ヴァースを倒し、イザーク様にダメージを与えるだけはあるようですね。しかし、前に聞いていたあなたの戦闘能力とはだいぶ差があるようです。頭の中にある知識を上書きする必要性がありますね」

 ソラは意識を正面に埋めながらも、注意を一旦周囲に向ける。

(物質操作みたいなものなのかと思ったけど、それなら物体が浮くという現象に説明が付かないし。糸でぶら下げているわけでもなさそうだ)

 そう思うが、空は視界の中に光の反射を見つけ出した。

(光が反射する?鏡が無いのに?もし………もし、この光の反射が鏡によるものなら……こいつは能力じゃないぞ!)

 ソラは跳躍した先はベースではなく空に浮くアサルトライフルへと剣を向け、横に一振りで何かを粉々にする。

「これがお前の力の正体だ。特殊な素材を使った鏡のような物だな?それをドローンで飛ばせているだけ。ならお前のそれは能力じゃない」

 ソラはベースを睨みつけながらはっきりと告げる。

「お前は………ロボット。アンドロイドだろ?要するに人工知能で動く機械。それがお前の正体だ!」


今回のまとめも次にさせてもらいます。次は20時ごろに掲載します!

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