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竜達の旅団≪ドラゴンズ・ブリゲード≫ 【呪詛の鐘の章】  作者: 中一明
ジャパン・クライシス
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空と海 4

戦闘回ですね。久しぶりに固有の技名が出てきますよ!

 アベルと恵美は二人でホテル近くの商店街で夕食用の食材の買い足しをしていて、ショッピングモールにに出かけた五人を見送った直後の事であった。

 肉屋さんから見て回り、魚屋や八百屋まで一通り見た所でアベルの両手は買い物袋で一杯一杯になっていた。

 すると、八百屋を出た所で恵美の視界に万理が写ったような気がした。

 確認しようと恵美が「万里ちゃん!」と声をかけると、万理もまた素早く反応すると万理の視界にも恵美が写った。

「空君のお母さん」

「元気ないけどどうしたの?」

 恵美が近づいてくるので万理も足を止めて恵美の方を見る。先ほどから心の奥に引っかかっている『何か』がどうしても抜けず、五人を追いかける気にもならなかった。

「さっき空君に似た人を見たんですけど……」

 恵美は苦笑してしまう。

 あれを見られていたのだという事に気が付き、説明すると万理の表情がいまいち晴れない。

 心配して覗き込んだ時だった、アベルが彼女の額に触れる。すると、彼女の心に引っかかる『何か』が壊れた。

 表情が明るくなり多少なり元気が戻ってくると万理と恵美はアベルの方を見た。

「大丈夫か?何か聞かなかったか?例えば……鐘の音色を聞いたとか?」

「はい………少し前に」

 アベルが直ぐに『呪詛の鐘』だという判断が出来たが、残念ながら彼女は呪詛の鐘を使った本人には合わなかった。

「いやいいんだ。だが、気を付けた方が良いだろうな。『呪詛の鐘』は厄介な道具だ。我々も対応に難儀しているんだ」

「はい。あの……空君のお父さんなんですよね?」

「ああ、そうだが?」

「向こうでの空君の話を聞かせてほしいです」

 アベルはどういえばいいのかと難しそうな表情になり、恵美はそんなアベルを面白そうな表情で見ていると、八百屋の中からある人たちの噂話が聞えてきた。

「おい聞いたか?ショッピングモールで派手な喧嘩だってよ。なんでも車をぶっ壊すような規模で喧嘩してるって話だ」

「そりゃ喧嘩じゃねぇだろ?最近物騒だな。なんか、山奥でも自衛隊なんかが死人がでるような戦いがあったんだろ?異世界人と言いこの世界も終わるって事かね」

「大げさだろ。でも、やばそうだよな」

 アベルと恵美が心配そうな表情をする。

「ねえ、確か今ショッピングモールには………」

「行ってみるか?」


 唐突に衝撃が体中を走り、意識が一瞬だけ跳ぶと俺の体は先ほどの場所から大きく離れた駐車場の端にいた。

 打撲程度で済んでいるのは『星屑の鎧』が緊急で展開したために打撃のダメージを受け流してくれたからだろう。

 同時に防御力を最大まで上げたせいだろう、体中の体力が下がっているのが感覚で分かり、膝をついてその場から直ぐには動けそうにない。

 しかし、車を挟んで向こう側からキャシーの警告を発する声が聞えてくる。

 俺は体に鞭を打つような気持で立ち上がり、緑星剣を召喚するとそのまま自分の影に突き刺す。


「刺殺の束!!」


 俺の発声と共に襲ってきた大男の体中を突き刺すように剣の束が襲い掛かり、俺は剣を地面から引き抜くとそのまま車の影から出ていく。

 どうやら大男は吹っ飛んでそのまま後方で停まっていたトラックの荷台に突っ込んでいく。

 同時にレクターがいないので反対側の洋服店らしき店まで吹っ飛んだのだろう。

 しかし、俺にはレクターの心配をしているような余裕はない。

 あの攻撃で大人しくしていてくれるのならいいが、トラックの荷台から聞こえてくる声にはまだまだ元気の良さが見て取れる。

「ぶっ殺す!」

 男は刺殺の束の攻撃をまともに受けているはず、立ち上がれても多少の切り傷があるはずだと思い多少出血してくれればいいなという想いで俺はそちらを見る。

 俺の願いははかなく打ち砕かれ、同時に絶望的な気持ちが沸き上がった。

 そこには全くの無傷の生身の体が存在している。

 男は薄着と言ってもいい恰好をしており、防御力は皆無と言ってもいいだろう。しかし、それ以上に目立つ筋肉は一種の鎧と言ってもいいだろ。

 それでも刺殺の束はあの体に突き刺さったはずで、俺にはその感触があいまいな形だがハッキリわかった。

「回復なのか?一瞬で怪我を直したのか?」

 俺は体中に力を入れて一気に跳躍する。すると大男はそれを超えるような大きなジャンプで飛び越える。

 驚きと共に男の着地点と俺の着地点がちょうど重なる位置だと気が付き、着地と同時に体を捻って回避する。

 体中を衝撃波と小石同時に襲い掛かり、小さな悲鳴を上げながら車の側面に強く打ち付けてしまう。

 息を吐き出しもう一度空になった肺に空気を入れると視界をもう一度大男に向ける。

 大男は車を持ち上げて俺の方へとぶん投げるので俺は車を真っ二つにしながら心の中で車の所有主に謝る。

 さしもの大男でも車を真っ二つにされるとは思わなかったのだろう。驚きで表情が固まってしまい、俺はその隙に一気に距離を詰めてすまう。

 剣をX字の形で斬りつけながら、同時に打撃攻撃を三撃食らわせる。

「スラッシュ・クロス・2nd!ストライク・3rd!」

 更にガイノス流剣術基礎技をたたき込む。


「漸!」


 横に深く踏み込んで真っ二つに斬りつける。

 腹に横一文字に斬りつけ大きく血が俺の体を襲い掛かるが、俺の目の異常を訴え掛けるような速度で傷が治っていく。

 拳を上に振り上げ、止まっていた俺の体へとたたき込もうとするが、その攻撃をレクターが蹴りで軌道を大きく逸らして見せる。

 そこまで来て俺は体を大きく動かし、ガイノス流応用技をたたき込む。


「漸【朱】」


 踏み込み一撃後ろに下がりながら三撃たたき込み、回り込みながら更に三撃ともう一度前に踏み込んで一撃たたき込む、すると男の体にまるで花の模様を連想させるような傷が出来る。

 レクターは足払いで大男の膝を付けさせ、俺はその隙に更に斬りつける為大きく後ろに跳躍する。

 着地突進を決める為に全身の神経と筋肉の動きを完全に連動させる。

 大きく息を吐き出し、突進すると大男は立ち上がり拳をたたき込もうとするが、大男の後ろでレクターが打撃五連撃をたたき込み、大男の動きが完全に止まる。

 その隙に突進と同時に深く見えない様な一撃をたたき込む。


「裏切り【速】」


 俺が剣を横に振ると音男意識は完全に闇の中に落ちていくのが音だけで分かり、同時に俺とレクターはフラフラしながらその場に倒れそうになる。


 ジュリが近づいてくるのを俺は右手で制止する。

「俺は大丈夫だ。それよりレクターの治療してやってくれないか?」

「分かった。でも、何かあったら言ってね」

 ジュリを見送るが、正直立っているのも辛いような状況でもある為、直ぐにでも休みたい。しかし、ここで休めば周囲を心配させるだけだと体に鞭を打つが、体中から力が抜けていくような感覚を得る。

 あっ、駄目だ。

 そう思ったと同時に前のめりに倒れそうになるが、大きく温かい背中が俺の体を受け止める。

「よく頑張ったな」

 父さんの声を聴いて少しだけ安心してしまい、同時に父さんが俺の体を受け止めてくれたんだという事にも気が付いた。

「少しだけ疲れただけだよ。ダメージは星屑の鎧が代わりに受けてくれたから」

「だったら休め。昨日から連戦だ。それに、ノアズアークのメンバーを一人捕まえただけでも十分だ」

 眠気が襲い掛かり俺は父さんの背中で眠りについてしまった。


どうだったでしょうか?今回は戦闘回という事もあり、昔とどれだけ成長を見せることが出来るかどうかを試した瞬間でしたが、やっぱり戦闘は難しいですね。次回はノアズアークと海サイドのお話をするつもりですのでお楽しみに!では次回!

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