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竜達の旅団≪ドラゴンズ・ブリゲード≫ 【呪詛の鐘の章】  作者: 中一明
ジャパン・クライシス
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帰郷 1

ジャパン・クライシス編いよいよ本格的に始まります!当分は空サイドのお話ですが。少しずつ向こう側の人達の物語も書いていきたいと思います。今回は前回の反省を生かしてラスボスの過去描写をちゃんと書きたいと思っています。では!

 ガイノス帝国首都ルーガリア内の東区と南区を巻き込んで起きた革新派のクーデター、結果は革新派のリーダーである当時元帥のファンドの死と革新派の壊滅、十六年前の事件の責任を主戦派と共に支払わさせるという結果に終った。

 そんな一連の事件は四月上旬に起きやことから四月事変とも呼ばれており、一部学生では俺達は東区で暴れ回ったともっぱら噂になっている。

 まあ、その後に俺とレクターが学校中で暴れ回ったのも噂の原因だったと思う。

 俺からすれば辛い事件でもあったし、そもそも三年前の時点で俺からすれば辛いことの連続でもあったし、楽しいことの連続でもあった。

 充実した三年間と苦しい事件の三年間だった。

 そんな事件から早くも一か月と半月が経過した頃俺達が今度から明後日から始まる長期休暇を前に金持ち学生が海外旅行など出かけていくのを俺達が見送ってから学校に向かうと第一校舎の掲示板前がやけににぎわっているのをレクター・ガーバントとジュリエッタ・レイチェルの両名と共に掲示板まで歩ていく。

 すると前の方から掲示板の内容を話す学生の声がちらほらと聞えてきた。

「海外研修は中止したんじゃないのか?」

「特別に再開したんだってさ。それで参加学生は志願制を取るって事だろ?まあ、一部強制もいるみたいだけど」

 レクターは間抜けずらをしながら先ほどの会話をのほほんと聞いており、隣のジュリはどこか考えふけている。俺としては強制に参加させられる可哀そうな人を憐れんでみる。

 三人で人混みをかき分けながら掲示板の真ん前までたどり着き、問題のポスターを覗き込むとそこには特に凝った様子の無いフォントで描かれた質素な文字でこう書かれていた―――――、

『中止されていた海外研修を緊急募集いたします。行き先は異世界『日本』といたします。危険が伴う為覚悟のある者だけが参加してください。ただし下記の三名は強制参加とします。

 ソラ・ウルベクト ジュリエッタ・レイチェル レクター・ガーバント』

 俺は久しぶりに理不尽さをこの学校から感じてしまった。

 ジュリは目を丸くさせながら、レクターは「へ~」と無関心な表情をし、俺はそんなレクターを見て呟いた。

「今度はどんな問題を起こしたんだ?」

「なんで俺の所為なの?俺が年がら年中問題ばかり起こしているみたいに」

 不満声をを発するレクターだが、こいつを一緒に行動し始めて早三年が経過しお前が問題を起こす姿しか思い出せない。

「お前との三年間は問題だらけだったと記憶していますが?お前が問題を起こす姿しか思い出せないくらいに」

「そんなことない!それはきっと頭が悪いからだって」

 俺はその言葉に素早く反応し、レクターの薄茶色の髪ごと頭を鷲掴みにする。ジタバタと反抗するレクターをまるで助けるようにジュリが声をかけてきた。

「先生に話を聞きに行こう。そうすれば何かわかるし……」

 まあ、不満は先生にぶちまけようと俺達三人の足はそのまま教師が集まっている職員室へと急いだ。

 第一校舎の丁度ど真ん中、掲示板から一分も掛からないほどの近さにある職員室は西暦世界では見たことが無いぐらい広い。それもこの士官学校が中等部から大学部まで十年間を過ごすことになり、その上高等部からは四つの学部に分かれた色々な事を学ぶことになる。

 そういう意味でここでは様々な教師が通う為、職員室も大きめに作られており、体育館の半分ぐらいの大きさをほこり、教師の数も士官学校に通う生徒の数を現すように多い。

 ちなみにこの職員室では俺達ともう二人エリーとレイハイムは呼び出しをくらい、普通に押し返りを受ける結果になった忌まわしい場所である。

 職員室に入ると俺達は急いで毎年の海外研修を仕切っている軍部科のガイドー先生の下を目指した。

 辺境生まれの先生は厳格な性格をしており、ぱっと見もその性格を非常に表している。体育教師とは非常に仲が良いらしく、俺達(特にレクター)は苦手にしている。

 しかし、レクターが嫌っていないから分かるように悪い人ではない。

 俺達は先生の右隣に立つと俺が代表して先生に質問する為前に一歩出る。

「先生。先ほど見た掲示板に張ってある海外研修に関する資料はどういう意味でしょうか?」

「どういう意味と言われてもあそこに書かれた通りだ」

「納得できません。レクターだけならともかく俺とジュリまで参加させられるなんて!」

「俺を矢面に立たせないでもいいでしょ!?」

「確かに普段ならレクターだけでもという言い訳も立つ。しかし……」

「先生も乗らないでください。レクター君も話を邪魔しない」

「お前達は一か月と半月前に問題を起こしているだろう」

 クーデターの事を言っているなら俺達は既に翌日には職員室に呼び出しをくらい、一時間ほど説教を五人ほどの教師から受ける結果になった。それで十分罰になっていると思う。

「それもあるし、今回は魔導同盟から『ソラ・ウルベクト』を指名したいという意見があった。その為、参加可能であろう両名にも話が行ったという事だ」

 何故だろう。左右から視線を感じる。

「今回の指名の理由だが………私達は知らない。というのも今回の使命は『魔導協会第一席序列第十位を個人指名したい』というのが理由でな。あくまでもお前に関しては私達の及ぶ範囲ではない。どちらにせよ、今日今から帝城の謁見の間で行われる緊急会議で聞いてくると良い」

 はい。そこまで聞いて俺にいい加減反論が出てきた。

「なんで俺がそんな由緒正しい一般人が決して近づかないような場所に?手紙でもいいでしょ?」

「私に言うな。くれぐれも各国の要人が集まる会議だ。邪魔だけはしないようにな。レクターがついて行かなければ問題は起きないだろうけど」

「そうですね。レクターさえついて行かなかれは問題は起きないと思います」

 俺の隣でレクターが軽くいじけているが無視。

 普段からの行いが悪いことが原因なのだ。俺達が原因では無い。

 という訳で本日の授業は休みになりました。


 帝城に到着したのは帝城前行のトラムに乗って一時間かかっての事である。さすがに学校までバイクで行けば悪評に歯止めが付かなくなる。

 という理由から俺は座り疲れた体を何とか伸ばし、目の前に広がる帝城前広場を縦断する。

 帝城まで一本の橋を渡っていかなくてはいけない。

 帝城までの橋は大理石を加工したような真っ白で出来ており、実際は別の意思なのだろうが綺麗すぎて初めて渡る人は一歩を踏み出すことすら躊躇いを持つ。

 最もこれだけ綺麗なのには日々の努力があるわけで、そう思うと俺だってここを通るのには多少の躊躇いを抱く。

 しかし、そうやって逃げるわけにはいかないので俺はさっさと前に進んでしまう事にした。

 後ろから好奇の目で見られえいるのでさっさと逃げる意味を込めて早足で去っていく。

 帝城内に入るといよいよ困ってしまった。

 俺は帝城で上に言ったことが無い。

「どうやって謁見の前に行くんだ?」

 帝城内で腕組みをして思案する。近くに帝城内の案内用の案内板でもあれば簡単なんだけど。残念ならがここにそんな新設設計は存在しない。

 迷う事を前提で歩き出そうかと悩んでいると目の前に一人のメイドが歩いて来た。

「ソラ・ウルベクト様ですね。皇帝陛下より謁見の間までご案内させていただきます」

「よろしくお願いします」

 機械みたいな喋り方をする人だな。

 そんな機械みたいなメイドさんに案内を受けながら俺は帝城一階の丁度ど真ん中へと案内を受けた。ど真ん中にはかなりの広さを確保されており、俺はその本当にど真ん中に立たされる。

 メイドだけは端っこに備え付けてある薄い金属製の板を触れている。

「では………私の案内はここまでとなります」

「え?謁見の間は?」

「このままそこで立っていれば目の前に謁見のままでの廊下がありますので。では」

 ではの言葉から先を聞こうと俺が口を開いた瞬間だった。

 足元がゆっくりと動き俺の周りに手すりが現れ、足元がゆっくりと上昇し始める。

 ああ、これって………エレベーター?

 なんて思っていた隙にあっという間にエレベーターは最上層へと目指して動き出す。外側がガラス張りで出来ている場所に辿り着くとそこから帝都が良く見えた。

 ものの一分で辿り着いた場所はまっすぐで真っ白な廊下と大きなドアが見えてきた。

 あのドアの向こう側まで歩かなくちゃいけないのかなんて思いながら俺はうんざりする気持ちを抱きながら歩き出し、エレベーターで昇るより時間を掛けて廊下を渡り終えた。

 大きな両開きのドア。青い結晶のような見たことも無い石でできており、見るだけで重そうな印象なのだが、これはどうやって開くのだろう。

 なんてドアの周りを探し居るとドアのど真ん中から人が通れるサイズの小さなドアを見付けた。

「こんなに大きなドア……いる?」


どうでしたか?このまま後半に続いていこうと思っていますので!二時間後に!

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