商業と砂漠の街 サールナート 6
今回は残酷なお話になります。女性に残酷なことをするとどうしても抵抗があるんですよね、逆に男性にする分は特にありません。容赦なくいきます!!
私の父親は砂賊のボスをやっていた。
族何て言い方をするけど要するに自警団のような組織で、危険な奴や街中で起きる事件を解決するための組織だった。代々信頼できる奴がボスを奴しきたりで、父親は先代から信頼されてボスの座を継いだ。
常任理事会も今ほど腐っていなかった頃でね、まだ闇市なんて無かったよ。
父親はある日市場に真新しい店が出来たと噂を聞き店を見に行っていた。
帰って来た父親の表情はあまり優れておらず、私が行ってみたときには清楚な男性が店番をしており、とてもではないが悪さをするような人間には見えなかった。
しかし、父はあの男を信頼しておらず、アベルさん達を呼んで対策したいと言って連絡を取ってた。
周囲は「大げさ」だと相手にしていなかったが、この頃にはすでにあの男は動いていた後だった。あの男に目を付けた父親は正しかったことになる。
奴隷の売買が行われているらしい。
そんな噂がたつのに時間はかからなかった。
こんな街でもルールは存在する。闇市を嫌う人間も多いのも事実。しかし、一部の物達は売れればいい、儲かればいいという考え方をする者も多いのも事実。そういう連中が常任理事におり、あいつはそんな常任理事の一人『ドン・ローテル』を使って闇市を開催していた。店はあくまでも表向きで、相手を商品にできるかどうかを品定めするのが目的だった。
ドン・ローテルは腐った人間で、特にこの街では嫌われ者でもあり父親も嫌っていた。
しかし、金だけは持っており常任理事の中でもそれなりの権力を持っている人物。
父親の行方が分からなくなって初めて周囲の子分たちは事の重大さに気が付いたようで、妹は子分たちと一緒に父親を捜し始め、私はアベルさん達に助けを求めた。
先に見つけたのはアベルさんだった。
当時の闇市は今のように常任理事会議場地下には存在しておらず、南の『ドン・ローテル』が所有していた商会の地下に立てていた。
父親は……捕まって奴隷として売り飛ばされていた。
父親が奴隷として売り飛ばされていると気が付いたアベルさん達は闇市へと攻撃を仕掛ける作戦を立てた。
しかし、アベルさん達が突入したときは闇市のオークションは既に終わっており、ジャック・アールグレイは逃げるための算段を建てている最中で、私は必死で父親を捜した。
奴隷として捕まっているんだ。
どこかで生きているはずだ。
でも、私は甘かった。父親は周囲から恨まれている事が多く、そう言った連中はこの街でルールを厳守する父親は鬱陶しい存在だったのだろう。
買い取った人間によってはその場で殺して剥製にするのだとか。
私が見たとき………父親は首だけになっていた。
体は解体され、内臓を取り出して個別に売り出されていた。
と言うより、私が見たときはすでに解体され終っており、首と残りの部分がその辺に散らばっているだけだった。
悲鳴も上げる気にならなかったよ。
というより現実を受け入れられなかった。
とてもじゃないけど妹や子分たちに説明できるような状況じゃないのは確かで、私はアベルさん達に頼んで妹達には父親は既に殺されて処理されたことにしてもらったよ。
それに……私は結局で父親の首を回収できなかった。
今でも父親の首はどこかの物好きが持っているらしい。
ジャック・アールグレイを追い出すことには成功したけど、結果から見れば『ドン・ローテル』の犯罪の証拠をつかむのには失敗し、闇市はそれ以降更に隠れた場所で開催されるようになってしまった。
この街で父親を失ったことで闇市を阻止することが出来るような人間はいなくなった。
父親はジャック・アールグレイと戦ったらしいけど、最後はあの男の前に敗北したというのは事件後にアベルさん達から聞かされた。
父親は闇地位の開催場所まで何とか調べたが、『ドン・ローテル』に見つかったらしいの。そして、生きて見逃す条件が闇市の1つ、『闘技場』で優勝する事。父親は当初渋っていたが、このままでは自分を殺して逃げるだけだと気が付いた父親は引き受けることにした。
賭け事が行われるこの『闘技場』では、父親はかなりの『ドン・ローテル』への儲けを与えてしまったらしい。でも、あと少しで優勝するところまで行った。
ジャック・アールグレイはドン・ローテルに逃げ出すことへの危険性から父親を確実に始末することにした。
ボロボロと休憩する暇もなく、疲れ果てた状態でジャック・アールグレイと戦い負けてそのまま多額の借金を背負わされることになった。
あの闘技場では負けた人間は自分にかかった分のお金を借金として背負わされる。
ジャック・アールグレイに賭けていたのはドン・ローテルぐらいだった。
しかし、ドン・ローテルの一人勝ち。
父親に残された道は一つ、自分の家族も商売道具として提供するか、自分を商売道具として提供するかだった。
娘を売り飛ばす気にならなかった父親は自分をオークションに賭ける事を選んだ。
きっと助けに来ると思っていたのだろうけど、間に合わなかった。
父親は首から内蔵のすべてまでを隈なく全てを売り出すことにした。
オークション中は捌かれないだろうという予想と、時間が掛かればきっとその分助けに来る時間を稼げる。
しかし、奴らは父親の体をオークション中に捌き始めた。
麻酔もかけず、義父さんは死なないように痛覚でのショック死出来ないように施し、同時に内蔵を切り取った程度では死なないように手を打たれた。
父親がどんな気持ちで最後の時を過ごしていたのかなんて私には分からない。
サクトさん曰くだけど、映像には苦しみに悶え悲鳴を上げる父親の姿が映っていたそうよ。
私はこの街にいることがどうしてもできなかった。
父親のあんな変わり果てた姿を見ると私にはどうして男性を恋の対象として見ることが出来ないようになった。
これが私のか語れる全てよ。
多分今でもドン・ローテルが闇市の全てを管理しているんだと思うけどね。
同時刻。
砂賊の仲間達はある部屋に集められていた。
彼らはこの数年間ずっとボスが生きていると、そう信じて新しいボスと共に探し続けていた。
そんな中、ドン・ローテルが提示した『お前たちの先代のボスを合わせる条件』とは、闇市を探しに来た者達をこの街から追い出すことだった。
「お前達の仕事の甲斐なく………今日、脱走者を出してしまった。これであいつらにこの場所を知られたわけだ。お前達にはがっかりさせられた。後は我々が仕事をする。貴様達は後に始末しておいてやる」
ドン・ローテルは太った醜い体の上からはち切れんばかりのスーツを着ており、醜いという言葉これ以上なく詰められた顔だちをしている。
周囲の砂賊からは不満が続出しており、目の前にいる新しいボスである一人の女性はドン・ローテルへと睨みを聞かせている。
派手な赤い髪を短めに整えられ、釣り目と八重歯が獰猛に見せている。
「アンタが親父を知っているから、合わせてやるからあたし達は従ったんだ。あんたが約束を守らないならこんな所全部滅ぼしてやる………!?」
ドンは「手が滑った」と言って彼女にとって父親『だったもの』を転がす。
正確にはデリアにとっても父親の『首の剥製』を転がす。
「知らなかったのか?お前たちのボスは………何年も前に死んでいるんだよ!!ウヒャヒャ!!」
どことなく楽しそうな声。
全員が怒りを最大限まで高め切りかかろうと全員が武器を握りしめるが、それをさせまいと彼らとドン・ローテルの間に透明なガラスが遮る。
デリアの妹は父親だった『首の剥製』を抱きしめ怒りと悲しみの涙を流しながら睨みつける。
「よくも………アタシの親父を………それにアタシ達にとって希望でもある『土竜』まで捕まえて……絶対あんただけは殺してやる!!!」
憎しみと怒りを現した表情と視線をドン・ローテルへと向け、ドン・ローテルはそれを受け流しながらヘラヘラと笑っている。
「覚えておくよ。フィフィさん」
それを別の部屋で監視カメラを通じて見ていたジャック・アールグレイは小さな声で「いい性格をしているよ」と呟きながらも既に逃げ出す算段を建て始めた。
「空がこの街にいる。そして、脱走者が出た。最悪は空がここまで来る可能性が高いからな。問題はドン・ローテルを説得できるかどうかだな。あいつは使える。出来る事なら救っておきたい」
画面ではフィフィと呼ばれた女性が父親はを抱きしめながら大粒の涙を流していた。
容赦なくいきました。深夜のテンションで書いているので後で読み直して後悔するかもしれませんが……消しません!!たった三時間で仕事終わりに二つ分の物語を書くとおかしくなりそう。
では次回お会いしましょう!




