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竜達の旅団≪ドラゴンズ・ブリゲード≫ 【呪詛の鐘の章】  作者: 中一明
ガイノスエンパイア編
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テラ・リアクティブ 2

テラ・リアクティブ二話目です。この辺はまだギャグ要素多めですが、物語が進むにつれてシリアス度が高まっていきます。

 皇光歴というお決まりの言葉から始まったアーノルド興国の建国記念が大使館前で行われようとしていた。


「千年間我々ガイノス帝国の自治区として機能してきたアーノルド、共和国の戦争をはじめ、多くの帝国の戦いにおいて常に帝国を支えてきた功績。功績を認め、今日この日アーノルド興国建国をここに許可する」


 皇帝からの言葉と共に初代首相に認めてもらった若い男性、ピリッとした白いスーツを着て、整えられた白銀の髪が風になびかせ、首相は多くの人の前に一歩出ていく。

 右手を挙げて建国宣言を口にしようとしたその時、遥か後方より悲鳴が聞こえてきた。


「車がぁ!?」


 一台の車が大使館前への道をまっすぐ、速度を落とさずに突き進む。車の運転手の目がまっすぐに大使館の方を見ている。

 素早く動いたのは士官服姿の三十代から四十代の男性だった。

 胸についている多数の勲章が彼の実力を物語っている。


 身の丈ほどの大きな大剣を振り回し、大剣の刃先を車に向けて突き出す。周囲の風が大剣へと集まっていき、緑色の淡い光が大剣の周りを覆い、その光はまるでレーザービームのような勢いで車へと突き進む。

 車に着弾したと同時に車が大きく反転し、転がりながら大使館前に立つ大剣を構える士官の目の前で止まる。

 大剣を振り回し、黄色い光と共に粒子となって消える大剣。


「大丈夫ですか皇帝陛下?」

「大丈夫ですアベル中将」


 この士官こそ空の身元引受人になってくれたアベルであった。

 その光景を少し離れた場所から見ていたが、その際に車の運転手が救急車で運ばれる際の警察官の言葉が印象に残っている。


「こりゃあ……呪術を使用した痕跡があるな。あれは精神的に変質させてしまうからな。特別病院の方に収容した方がいいだろうな」


 その言葉から切っ掛けで空達は独立事件にかかわっていくことになる。しかし、それは別の話。

 しかし、この時にこの話を聞いていたことが空が違和感に気が付くきっかけになる。



 違和感に気が付き昼食を進めていた手をふと止めてしまう。


「いや………考えすぎだと…思いたいけど」


 一人で呟きながら、一人で思考しながら嫌な予感にとらわれていた。


(そういえば、義父さん(アベル)が言っていたな。最近マフィア間で呪術の販売が闇市を中心に行われていると)


 気を付けておけ。

 というのはアベルからの助言である。

 と言いながらもう一度フィッシュフライへと手を伸ばす。しかし、フィッシュフライの入った籠はすっかりもぬけの殻であり、自然と空の視線は左隣のレクターへと向く。

 最後の一つのフィッシュフライを口の中へと放り込み、頬を緩めながら嬉しそうにしている。


「おい、それは皆で割り勘で出したよな?まさか、お前一人で食ったわけじゃないよな?」

「食ったけど?」

「………(怒)!」

「怖い!!」


 恐怖の表情を浮かべるレクターに対し、空は怒りで表情がおかしなことになっている。


「せっかく楽しみにしていたのに!!」

「だって呆けていたから………」

「考え事をしていたんだよ!!」


 首を絞めて殺そうか。頭を剣で切り刻むか。それとも高台から突き落とそうかと悩んでいると、レクターはジュリの後ろへと隠れる。しかし、その行動でむしろ空の怒りを増幅させた。


「なんで怒りが増えてんの!?」

「俺も分からない。しかし、お前を殺すことに躊躇することはできそうにない」

「待って!緑星剣を取り出さないで!おぞましい形相で近づいてこないで!!いやだぁ!!!」


 そう言いながら駆け出していくレクターはサラっと空のフィッシュバーガーを盗んでいく。


「止めてほしいならどうして最後の昼食も持っていくんだぁ!?」


 そう言いながら空は、フィッシュバーガーを追いかけていった。



 テラは南区の裏路地へと入っていき、ゴミ箱を蹴り飛ばし、ストレスを周囲の物体へとぶつけようとする。そして、ポケットの中から手のひらサイズのプラスチック製の入れ物を取り出す。

 振って、中から薬剤のような物を数錠右の掌に出し、口の中へと放り込む。

 その様子を複数の不良グループが見ており、テラは苛立ちながらその不良グループの方へと歩き出す。


「なんだよ。なんか文句でもあんのか!?」


 そう言いながら、睨みつけながら不良グループへと近づいていく。苛立ち、憎しみ、嫉妬のような負の感情をぶちまけようと近づく。

 不良グループは数で勝っていることに安心感と勝利への確信を覚えながら囲っていく。

 所詮は高校生。

 数で任せることはできる。

 しかし、そんな慢心は粉々に砕け散った。


「何だよぉ!その程度かよ」


 不良グループはテラの足元で転がり、一人は呻きながら顔面を鮮血で染め上げ、一人は壁に背を預けた状態で意識を失い、最後の一人はテラに首を絞められながら意識を失っている。

 泡を吹きながら気を失う不良を力一杯吹き飛ばす。


「その程度で俺様に喧嘩を売るんじゃねぇよ!!」


 そう言いながら再び錠剤を口の中へと放り込む。いくら錠剤を飲み込んでも、湧き上がるストレスをテラは周囲へと向ける事しかできなかった。


「クソ!!あのガキ!!異世界人風情がぁ!!殺してやりたい!ぶち殺してやる!」


 「フー!フー!」と興奮しながら、空の事を思い出しては周囲に居る不良グループのメンバーへと怒りをぶつける。

 しかし、そんな時間は唐突に終わりを迎え、裏路地の終わりにそれはたっていた。

 テラにとってはもはや憎しみの対象であり、テラが最も殺したい人物と言っても過言ではない人物がそこにはいた。


「やっぱりそうか。先ほどから飲んでいる錠剤は………簡易型の呪術だな。それを薬品という形で収めた」


 空は路地の終わりに立ち尽くしており、夕日をバックに立っている。

 テラの憎しみの表情は口元を吊り上げ、血で染め上がった両手を振り回しながら近づいていく。

 ゆっくりと、しかし、逃がさないように近づいている。


「共和国製品?見たことないんだけど。最近の闇市はそんな薬品も取り扱っているの?」

「へへへ」

「効果は……筋肉増強ってところかな?代償として精神の不安定化?もしくは……ストレスの増強ってところ?」

「ぶっ殺す」

「話をする気無し?」

「ぶっ殺す!ぶっ殺す!!ぶぶっこころす!―――――!」


 そこから先の言葉は既に理解できるものではなく、怒りで回りを見ようともしないけだものでしかなかった。

 テラは両方の壁を両腕で壊しながら空へと一気に近づいていく。空へと攻撃が当たりそうになった際、空は大きく跳躍し後ろへと飛び回避する。

 テラは唐突の眩しさに目をくらませ、ゆっくり目を開けたとき、目の前の空間はちょっとした広場だった。

 花や草木が生えている庭園にもなっている広場、中心には噴水がせわしなく水を吹き出しており、空はその噴水の近くに立っている。


「来いよ………ここなら誰にも邪魔されない。この時間はここは不良のたまり場になっていて近づかないからな」

「――――!」

「言葉を失っているほどに憎い?いいよ。俺もストレスがあるんだ。みんなを見付けることが出来ないこのストレス。お前に受けてもらうぞ!」


 そう言いながらそれは緑星剣を取り出し、テラへと斬りかかる。

 テラもまた両方の拳を抜き、新たな魔導機を両腕に装着し殴りかかる。


本日二話目。ガイノスエンパイア編はものすごく長いので気長にお待ちください。次は夕方の六時にお会いしましょう1

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