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竜達の旅団≪ドラゴンズ・ブリゲード≫ 【呪詛の鐘の章】  作者: 中一明
ドラゴンズ・ブリゲード
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魔導都市 アルカミスタ 5

風邪を引いていて執筆が進みませんでしたが、とりあえず完成しました!まずは風竜サイドの話です。もう、風竜は第二の主人公ですね。

 少年が立ち去る所を見送り、部屋に私と機竜が二人っきりになった事を確認すると私は上を見上げる。

「久しぶりですね風竜エアロード。またあなたは珍妙な姿をしていますね」

「今はこの姿の方が隠れやすくてよい。それに人間の食べ物は美味しくて良いしな。お前には分からん感覚だろうがな」

「そうですね。私はあなた達のような生身の肉体と言うものを持ちません。この逆さの街もあくまでも私が集めてきた肉体擬きです。正直羨ましいですよ」

 こういう素直な所は好感が持てる。

 私は顔を少しだけ背けながら、どこかそっぽを向くような態度をとる。

「お前の体。私は嫌いじゃないぞ」

 機竜は不意を突かれたように黙り込む。途端微笑むような声が聞えてきた。

「いい傾向だと思いますよ。昔のあなたは良くも悪くも他人の事をどこかどうでもいいと感じていた節が在りましたからね。代々風竜一族他人に対する意識が薄いですからね。あなたは変わっている。それもあの少年のお陰なのでしょうね」

「あの少年は関係ない。あくまでも私の意思で決めたことなのだ」

「フフフ。ではそのように認識しておきましょう。あなたはあの少年を気に入っていないと。しかし、あなたがあの少年に付きまとっているのはそれだけでは無いのでしょう?」

 そうだ。私があの少年に付きまとっているのはそれだけではない。と思った所で大急ぎで私は否定した。

「違うぞ!あの少年を気に入っているわけじゃない!!!」

 この機竜は何を言うのか!全く。

 私がは憤慨していると機竜は再び微笑の声が聞えてきた。

「で?何が目的なのですか?あなたほどの竜なら分かっているはずですよ。あの少年は『竜の欠片』の継承者。いずれは聖竜の保護下に入る」

「勿論分かっているさ。しかし、だからと言ってあの少年とパートナーになってはいけないというルールは無かろう?それに、それであいつが悔しそうな表情をするのなら私は万々歳だ」

「全く。あなたと言う竜は、そんなしょうも無い事を考えていたのですか。そう言えば昔から仲が悪かったですね。しかし、良いのですか?それはあなたは聖竜の保護下に入り、彼を神同然に敬う国に所属するという事ですよ?」

「ふん。どの国に所属しようが今更変わらん。それに神のように敬われるより千倍ましだ」

 今更人間の上に立とうとなど絶対に思わない。それなら人間と同じ立場の方がましだ。

「そして、下についた事良い事にこれとなくいじって見せる」

「あなた……昔からそういうところだけは変わりませんね」

 呆れかえったような声で返されるのだから私としては心外な気持ちになる。そもそも変わらないといえば機竜以上は存在しない。

 二千年以上にわたって同じ姿を保ち、竜の中で木竜を覗けば唯一同じ肉体を維持し続ける。変わらない命、成長しない姿、故に成長する存在を羨ましいと思うのだろう。

 それはどんな竜にも分からない感覚である。

 竜は死ぬとき記憶を次の竜に引き継がせる。竜の存在する意味は竜結晶を守り続けていくこと、永遠のエネルギー結晶体であるこれを守る。しかし、機竜にはその結晶体がある意味存在しない。

 いや、存在はするのだ。しかし、それは視認することは出来ず、データの中で存在している。

 機械故に心と呼ばれる存在に疑問を持ってしまう。

 私は竜の中でこいつだけは嫌いになれない部分だ。

「ある意味不便だな。機械故に心を認識できない。人と触れ合う事もできず、命の温かさをデータとしてしか認識できないのだから。それでもお前は竜だ。私が保証する」

「優しいのですね。あの少年もそれだけ優しい少年ならよいのですが」

「その点は期待通りだと思うぞ。まあ、あの少年はそれ以上に罪悪感を抱きやすい自虐的な一面も存在するがな。それも優しさゆえだ。自分だけが幸せになるという事がどうしても許せないでいる。幸せな場所に自分の知っている人がいないことが嫌なのだろう」

「なるほど、あの少年から感じた感覚でしたか。それでもあなたはあの少年は間違っていると言うのですか?」

「そうとまでは言わない。しかし、それを改善するべきだとは感じている。聖竜はその辺は手を出さんだろう」

「?その話。あなたが改善する前のあの少年が死んだら意味ありませんよね?」

 機竜の素朴な疑問を前に風竜は今気が付いたような顔になる。

「だ、大丈夫だろう、うん簡単に死ぬような人間ではない」

「安心しましたよ。ちょっと見ない間に随分賢くなったのだと思いましたが、どうやら安心して馬鹿のようですね」

 機竜からの失礼な言葉を前焦りを滲ませながら動揺した声で「失礼なことを言うな!」突っ込む。そんな声なんて聞こえないように自己解析の結果を赤裸々に暴露する。

「いえ、羨ましいのですよ。あなたが知性を恨むのも、基本的に自分が馬鹿だからですものね。自分より頭のいい存在が許せないんですよね」

 私は四つん這いで興奮した息づかいで撤回を試みるが、聞くわけが無く機竜はとめどなく意見を言い続ける。

「馬鹿なあなたとしては竜より人間に知性が近いですものね。馬鹿でシンプルな思考をしているので簡単に人間に操られるのですよね。そもそも湖畔の町の一件もまあ……確かに私の責任もありますけど、もう少しあなたが賢ければ解決した問題ですものね。そういう意味ではあの岩になってしまった男性もあなたの被害者と言ってもいいと」

「貴様がそもそも呪術の管理をきちんとしておけば私もあの男も犠牲にならなかったのだ!要するに貴様の所為だ!そもそも持ち出されたことに全く気が付かなかったとは!!

「失礼ですね。そもそも私の体で管理している呪術ならともかく、他の場所で管理をしている物を私が一つ一つ見ているわけが無いでしょう」

「管理をしろと言っているのだ!きちんと、貴様!それでも組織のトップなのか!?」

 私は怒鳴り疲れ肩で息をしている間に機竜はクスクスと笑い声を漏らす。そんな機竜に不機嫌そうな視線を送り「何が面白い!?」と声を荒げる。

「何でもありませんよ。それより、あの少年の近くにいなくていいのですか?」

「ふん。あの少年の近くにいれば嫌でもあの男にばれる可能性が高い。それならここで大人しくしているさ。それにあの少年が『ゲート』をくぐるまではなるべく手を出さないと決めている。どうしようもない時は手を貸すさ」

「では、私もあの少年に賭けてみる事にしましょうか。あなたに見習ってね」

 ニヤリと笑いながら語り掛けた。

「賭け事なんて事はしないんじゃないのか?」

「今回限定です。それに、いくら私が長命の竜とはいえ全てを見渡せる人間ではありません。それが出来るのはこの世界で聖竜だけです」

「まあ、本人はそれを使用しようとは思わないらしいがな」

 心底気に入らないという風な顔をするが、機竜が途端に黙ってしまう。「どうした?」と尋ねると、機竜は五秒ほど黙ってからゆっくりと答えた。

「聖竜はあの少年の事に気が付いていながら何をしているのかと思いまして。あの少年が異世界人なら聖竜は真っ先に接触する可能性が高いでしょう。しかし、あの少年がここに来た際少々スキャニングをさせてもらいましたが、あの少年から聖竜への知識を全く持っていませんでした。異能に対する耐性を持っているなら記憶の消去が利くとは思えませんし、少々違和感を感じて」

 そう言う言われてようやく違和感に気が付いてしまった。

 いつもの聖竜ならとっくに手を打っているはずだし、少なくとも湖畔の町の事件の後ならいくつかの竜を経由してあの少年が『竜の欠片の継承者』だという事には気が付いたはずだ。

「本来なら政府を動かしてでもあの少年を保護すべきでしょう。それすらしないとは……まるで来るべきタイミングを見極めているようで。何か邪魔な存在がいるのかもしれないと感じただけです。そう考えると私には邪魔な存在がたった一人しか思い浮かばないんです」

「ジャック・アールグレイ………」

「ええ。聖竜が力を貸さないのは下手に渡すとあの少年の行動の運命にジャック・アールグレイが関わってしまうからでしょう。それを嫌がっているのかも。何か聖竜には目的があるのでしょう。ですから風竜。あなたが動くならその後が良いと思いますよ。あの少年の近くにいればきっと分かるでしょう。聖竜の目的が」


風竜を書いているときが一番ノリノリです。ある意味一番好きなキャラクターかもしれません。では後編で!

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