テラ・リアクティブ 1
テラ・リアクティブ一話目!本日も三話行ってみます!
「貴様達は中等部の頃から全く反省せんな!」
ゴリラのような教師に職員室で説教を受けていると、空達は明後日の方を見ながら誤魔化そうとする。教師はイライラしながら睨みつけ、空達は自然と教師の方を見つめてみる。
「まあまあ、良いではないですか」
そう言って話に割って入ってきたのは他でもない、学園長だった。白い髭を蓄えながら職員室へと入ってくると、空達へと微笑み教師へと顔を向けなおす。
「幸い怪我人はいないようですし、どうやらテラという生徒が先に乱暴を働いという話ですしね」
そう言って廊下の方に視線を送る、そこには見知らぬ女子生徒とエリーとジュリが空達の方を見ていた。
ゴリラのような教師はため息を吐き出しながら空達へと出ていくようにと指示を出す。「お疲れ様です」と言いながら空が出ていき、レイハイムは無言で立ち去る。最後にレクターが馬鹿にしたような態度と共に「乙でーす!」っと言って去っていく。
「貴様!バカにしているのか!?」
その言葉を最後にレクターは職員室のドアを閉めてしまう。
空とレイハイムから馬鹿にしたような視線が送られるレクター、職員室から先ほどの教師の荒れ狂うような声がドア越しに聞こえてくる。
「あの人の授業が別でよかったな?」
「大学部が怖くなる」
「ならするなよ」
空達男子メンバーが会話をしている様をジト目で見ているエリー、そんなエリーの視線に気が付いたレクターが遅まきながらエリーとジュリが連れている女子生徒に気が付いた。
「その女子生徒はだれ?」
「あんたは中等部の生徒の証である赤いリボンも分からないわけ?」
エリーの馬鹿にしたような声と共に、レクターの反骨精神のレベルが一段階上に上昇した。
「屈強な馬鹿生徒に喧嘩を売る不良女子貴族」
「何かしら教師に喧嘩を売る馬鹿平民生徒」
二人の言い争いにレイハイムは「八百年前の貴族紛争の再現をするんじゃない」と苦言を呈し、空がジュリへと尋ねた。
「それで?彼女は?」
「うん。話を聞いてあげてほしいの」
女子中学生がオドオドとした態度で空の前へと出ていく。
「じつは……」
空達が学校に来る前にある事件が学校内で起きていた。
三人の女子中学生が本校舎へと足を踏み出し、授業のカリキュラムの事項内容を決めていた際の出来事である。
士官学校のカリキュラムは本校舎の1、2階で決めることが出来る。各情報処理室が二十近くも備え付けられており、中等部から大学部までの前カリキュラムを決めることが出来る。しかし、そこで問題が起きた。
高等部の二年生からは学部が四つに増え、高等部の高等部の四年生からはサブ学部を設定しなければならない。
それ故に長い時間パソコンと睨み合うことになる。
大学部になるとさらに細かくカリキュラムが増えていき、さらに長時間悩むことになる。しかし、中等部は必修科目が殆どで、選択科目は少ない。しかし、その選択科目はどれもが魅力的な科目が多い。武術、基礎魔導等々高等部への学部選択肢を絞る役目もある為侮れない。多くの選択科目を受けることで、多くの選択肢を増やす。
そんなカリキュラム選択で問題が起きた。
情報処理第二教室で三人の女子中学生が選択授業を決めていた際、テラが教室内に入っていった。
元々傲慢で強欲の強い性格のテラ、それが原因で去年は問題行為を起こしていた。
教室は生徒で埋め尽くされており、どの情報処理室も使えない状態が続く。そんな状態はテラに苛立ちを与えてしまい、目についた女子中学生がターゲットになった。
「おい!そろそろどいたらどうなんだ!?」
女子中学生たちは涙目になりながら「まだ少ししか………」と訴え掛けるが、それがテラの怒りに火をつけてしまったらしく、テラは女子中学生へと手を出そうとする。
そこでエリーが姿を現した。
後輩がいじめられている場面を目撃してしまった彼女は、大きく威勢のいい声を教室中に響き渡らせた。
「何してんのよ!!この………頭でっかち!!」
「いや………その言い方もどうなんだろうな」
後ろに居たレイハイムは頭を悩ませながら突っ込んでしまう。しかし、それでテラの視線は大きくエリーの方に向いた。
「なんだ?お前は」
「あんたに文句があるのよ。一階に行きましょ」
その言葉に従えるほど、まだ……理性的だった。
「本当にありがとうございました!」
三人の女子中学生が一斉に頭を下げ、空は「もういいよ。巻き込まれただけだ」っと微笑みながら返事をして三人を解散させる。
時間はすっかり12時を回っており、いい加減昼食をとる時間になっていた。
エリーとレクターがその後ろで罵り合いを繰り広げ、それをジュリが止めようと板挟みになっている。
「レイも止めたらどうなんだ?」
「面倒。本読むのに忙しい」
空はため息と共にエリー達の方へと向かい、エリーとレクターは同時に空を見る。
「止めない?もういいだろ。まあ、今後は少し考えてから動いた方がいいぞエリー」
「……分かってるわよ」
視線ごと顔を背け、空がレクターを引き離す。空が「昼食をとろう」っと言いながら食堂へと向かう。
食堂でガイノス帝国の東部海沿いの町『海都 オーフェウス』で有名なフィッシュバーガーとフィッシュフライ&ポテトを注文。
「俺、フィッシュバーガー好き」
「僕は嫌い」
レクターがおいしそうに口に含み、レイハイムは苦手そうにしながら手で弄ぶ。空がフィッシュフライを口に入れながらふと、思考は先ほどの女子中学生の話とテラの様子を考えていた。
「なあ、テラって昔っからあんな性格だったのか?」
空からの問いに考えて答えたのはジュリだけだった。
「う~ん。よく分からないんだよね。元々学年が上だったわけだし、でも………中等部の頃に変な噂をあまり聞かなかったな。そりゃあ勉学が優秀とか、武術が得意とか……それすら聞かなかったから、嫌な噂なんかが聞えたのは、彼が高等部に上がってからじゃなかったけ?」
そこまで聞いたところで空はある可能性を思い浮かんでしまった。
その可能性を思い浮かんでしまったのは共和国首都へと向かうきっかけになったある事件である。
ガイノス帝国が保有する自治区である『アーノルド自治区』の独立騒ぎでだった。
三月末の出来事である。
アーノルド自治区は帝国から独立を許された。
しかし、それが切っ掛けで帝国内外で騒ぎが起こり、新たに作られたアーノルド興国の大使館前で騒ぎが起こってしまった。
一台の車が出来たばかりの大使館前に突っ込んでいこうとしていた。
取り敢えず前半だけです。次は十二時にお会いしましょう!