湖畔の街 デーリー 4
最新話まで追いつきました!!よかった!
別荘までの果樹園の道のりを歩いていると左に湖畔が、反対にはブドウのような果実がなっている。
ブドウの収穫期間って春だっけ?
「あれはハルブードって果実でね。春から夏前に収穫するの」
ブドウとは違うのか。桃は桃と呼ぶくせに………面倒だな。その辺は統一性を見せてほしいなどといい加減な事を考えている。
すると見えてきたのは別荘イズシンプルのような見かけをした………別荘だった。
二階建てで大きすぎず、かつ小さすぎない。ちょっとした庭や別荘に見合う門などにちょっとした飾りが見える。
この一週間の間に泊まる予定になっている別荘は今日の為に義父さんがわざわざ用意してくれた建物だ。
しかし、別荘の前に見知らぬ女性が佇んでいるのが見て取れる。
派手な赤い髪を後ろで強引に束ね、清楚とは真逆の派手な格好をしている。義父さんが話をしているが、どうも父さんがあの女性をジュリに近づけさせないようにしているように思える。
それになんか先ほどからチラチラとこちらというか、ジュリの方を見ているが、口ぶりは丁寧なお嬢様のようなのだが、服装や髪色と相まってちぐはぐ感が半端ではない。
義父さんが別荘の中へと入っていき、女性も同様に入っていく。
この人一緒に暮らすんだ。
「さて……部屋割りだが」
「女性と男性で分けるべきでしょう」
なんで先ほどの女性が仕切っているのかは分からないが、俺もそれが妥当だと判断できた。しかし、それに反論を口に出したのは義父さんだった。
「駄目だ。部屋割りは各自一人部屋。お前の部屋は鍵をかけて監視カメラを付ける」
ものすごい警戒の仕方。これ以上なく警戒している。
「どうしてアベル様はそのようないじめを」
「お嬢様口調で喋れば誤魔化せると思うなよ。お前が百合でジュリエッタちゃんと狙っていることも、仕事にかっこつけてこの地の女性に手を付けるつもりだろう。派手な衣装に身を包んで。隠しきれていないぞ」
舌打ちを放つ女性。睨む義父さん。途端に身の意見を感じ取るジュリ。興奮しながらジュリと女性の方を見続けるレクター。そんなレクターが鬱陶しいので肘鉄で人中に攻撃を加える俺。
「人中に肘が!?」
顔面を両手で覆いながら床をゴロゴロと転がるレクター、それを見下す俺と言う構図が完成した。
その奥では女性と義父さんが睨み合いを続ける中ドアを二度ノックする音に俺が反応する。
「はいはい。誰ですか?」
ドアをゆっくり開けるとドアの向こう側から一人の地味そうな女性が佇んでいた。
茶髪を三つ編みにして二つに分け、大きめの眼鏡が存在感を地味に貶め、服も大きくかつ目立たないような衣装に身を包んでいる。
手先でスカートの端を掴んでもじもじしながら俯いている女性が奥にいる晴れな女性を見つけた瞬間、驚きと怒りを混ぜたような複雑な表情を作り出す。
「見つけましたよデリアさん!今日は樹海に調査に行くと決めたじゃないですかぁ!せっかく魔導協会からの許可も得て、ようやく奥地に足を踏み込むことが出来るのにぃ!!」
よく見ると胸に『環境保全員』と書かれており、下に『イース・ジェイン』と書かれている。
イースという名前の女性はデリアと呼んだ派手な女性の腕をつかみながら連れ去っていく。
その夜中俺が義父さんが誰かと電話で話をしているのを聞いてしまった。
「では………風竜が本当に樹海に一週間もいるのか?そうか………間違いないか。なら俺もそちらに行った方が良いだろう。ああ。それに噂では最近観光客の行方が分からなくなっているという話も聞く。しかも、『あの男』がこの街に入ってきているという話も………。ああ、政府からの直接きた報告だ間違いない。では、明日朝一番から合流するという事で」
それは義父さんが電話を切り、慌てて俺は自分の部屋に戻ってしまった。
しかし、あの話何がおかしいのだろうか?
風竜が一週間も樹海に滞在しているとか、『あの男』が来ているおか言っていたが……俺からすれば行方不明者が居るという話が重要に思えるけど。
腕を組みながら俺は自分の部屋の中へと入っていく。
ベットに座りながら思考を止めない。
気になるよな。しかも魔導協会から許可を得たとイースという女性が言っていた。しかし、ジュリが言っていたじゃないか。
樹海の奥は禁止区画で基本は入れない。
ならその魔導協会とやらが許可を出すほど事件という事なのか?
そりゃあ人が行方不明というのは一大事だが、本来なら警察とか軍が動くべきじゃないか?
まあ、戦争中で軍は基本動けないとしても、警察が真っ先に動くべきだ。しかし、先ほどの話を聞く限りだと動き出したのは最近で、しかも環境保全関係の人が真っ先に動いたことになる。
おかしいよな。
まあ、子供である俺に関わるような事態だと思わないが。
ベットに体を預け、視界を真っ白な天井の方へと向ける。
ふかふかのベットに綺麗なシーツや枕、布団など本当に綺麗なのだが、向こうの家とさほど違わないのでまだ受け入れられる。
しかし、この調子でこの世界つに馴染んでしまうと向こうに帰った時に感覚の差に不眠症になりそうだ。
少しずつ眠気が襲い掛かってくる体を最後に鞭を打ち、最後の思考とばかりに考える。
『あの男』や行方不明者、風竜の長期滞在など堂々巡りのような思考の迷路に迷い込み、結局結論の出ないまま俺は眠りについた。
この時、俺は気が付かなかったんだ。明日、俺は事件解決のカギを握ることを。
精悍な男性は綺麗なスーツ姿で木々が視界を塞いでしまいそうなほどの光景を前にしても迷わず突き進む。
右も左も同じような光景が広がっているのに、彼にはどこに進むべきなのかわかているようでもある。
立ち入り禁止の看板を押しのけ、男は更に奥へと突き進む。
すると歩いて三十分も進むと深い木々が更に高さと奥深さを増していく。
すると、木々の間に大きな建造物が見えてくる。
しかし、この建造物は世界ではない。
「竜にとっては致命的だという話を聞いていたが、本当だとは思わなかったな。『竜壊の槍』は一部竜にとっては己の身を石に変えられてしまう一撃必殺の呪術。元々石竜が生前残した竜殺しの武器らしいが。複製できないのが惜しい」
細井腕や足とは違い長い首、そんな細さと違い力強さを感じさせるような姿をしており、その全てが無機質な感触をしている。
「最も聖竜や機竜には通用しないという話だが。まあいい。こうして風竜を捕まえることが出来ただけでもこの槍を購入した甲斐がある」
風竜と呼ばれる存在は立ち上がろうと両足と両腕を地面に付けながら、同時に表情は苦しみに満ちている。
『人間………。なぜこのような事を………!?』
「ほう。まだ意識を保てるのか。不思議なものだ。君の体は全て石に変わっており、細胞の一つ一つすら今ではただの石だ。なに、別段不思議な事では無いよ。君が私達の仕事に気が付いてしまったからね。完全に石になってくれれば売りさばくつもりだよ」
そう言いながらも男は地面に転がっている二人の女子高生の喉元に手を伸ばす。
「どんな気持ちなのだろうね。眠っている間に死んでしまうというのは。一体どれだけで売りさばけると思う?奴隷として売るべきか、それとも解体して売りさばくべきか。悩むところだ」
『うっ………!?また……意………識が』
「ん?そうか意識を一定して保てないんだな?不思議だ。その間に意識や魂という存在はどんな風になっているのだろう?」
『う……ぐぅ。ダメ………だ』
そのまま再び風竜は意識を手放してしまった。
精悍な男はニヤニヤしながらその場で佇む。
「そろそろ撤収するべきなんだろうが、もう少しで完全に石像になってしまいそうだしな。どっちを取るべきなのか少々悩んでしまうな」
出刃包丁を持ち上げながら素早く振り下ろした。
どうでしたか?次は完成次第掲載しますので楽しみにしていてください!!追いかけ掲載はこれにて!ここからはでき次第掲載ですね!デワデワ!!今週中に出来るといいな(願望)




