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竜達の旅団≪ドラゴンズ・ブリゲード≫ 【呪詛の鐘の章】  作者: 中一明
ガイノスエンパイア編
25/156

南区攻防戦 3

南区攻防戦三話目です。ゆっくりとですが短編も書き進めています。

 ジュリと合流した空達はレイハイムが数日は入院が必要であるという話を聞くことになる。その後にジュリの言葉はレクターを焦らせる結果に終る。

 走って東区に向かおうとするレクターとそれを押さえる空、そんな二人を見ているジュリとエリーとデリアの三人。この五人が居るのは南区から東区へと向かう道の一つ。旧市街地の十番地のメインストリート。


人は閑散としており、少し遠くからではあるが戦車の砲撃音や人型兵器であるウルズ・ナイトのライフル音と空薬莢コンクリートの地面に落ちていく音が響いてくる。


 現在クーデターを引き起こした通称『革新派』が行政区画の存在する東区を中心に立てこもっており、それを周囲に地方や帝城など大規模に活動する『穏健派』と『大戦派』が手を組んで戦っているというのが現状だった。

 空が押さえている間にデリアは戦局の方をじっと見つめ腑に落ちないと小さくつぶやく。


「『革新派』の連中も普通にクーデターを引き起こせば勝てないっと分かっていたはずよね?なのにどうして()()()()()()()()()?」


 それはレクター以外の三人も同じことを考えていった。


「単純に考えたら勝てる確信が出来たからなんでしょうけど……って!?何しているんですかデリアさん!?」

「ふふ………考える表情も素敵よ。でも……それ以上に魅力的になったのは………この胸ね。ああ!随分大きくなっちゃって!これも成長期だからかしら?」


 ジュリの胸を揉みしだきながら、スカートの中に手を突っ込んで『初めて』を奪おうとする。

 エリーがドン引きするような表情を浮かべ、空もレクターを離してこっちをどうするかどうかで悩む。エリーは空の脇をつつきながら小声で尋ねる。


「ちょっとこの人何なのよ?」

「?百合?」

「見れば分かるわよ!そうじゃなくて」

「無類の女好きなんだ。初めて会った時からジュリには目を付けていたし、化け物じみた実力もあるんだけど、今の仕事をしている理由も各地を回って好きな女を抱けるからっていうのも理由なんだ。冗談抜きであの人の彼女は多い。まあ、仕事に関しては真面目だし初対面だと誤解されやすいんだよな。実際ジュリも俺達も初対面の時に誤解していたし」


 初対面だとまるで分からないぐらいに真面目な人間を装うとするので理解されないが、親しくなればその本性をむき出しにする。


 その姿は獰猛な獣そのものである。


 デリアの魔の手から逃れるとデリアの視線はエリーの方へと向く。品定めをするような目でエリーを見つめ、エリーは怯えたウサギのような目をしながら警戒心の高い表情を作り出す。

 そこまで来るとレクターも空の「落ち着け」という言葉が少しづつ頭を冷やしていき、大人しくなる。


「義父さん達が行動することを許してくれたんだ、落ち着いて行動することを心がけよう。さっきみたいに何も考えずに突っ込めば自体が悪化する可能性がある」

「でもさ。どうするんだよ。東区へ向かう道は全て押さえられているし、電車も例外は無いはずだろ?だった正面から突っ切るしか……」

「駄目だ。それに今の目的はお前の妹のいる女学院などの生徒や子供なんかの救助を優先するべきだ。その中には………第三皇女の救助も入れるべきだろう」


 ジュリからもらった情報を元に彼女たちは東区のドーム状の建物に匿われており、そこに第三皇女もいるという話だった。ただ、皇族関係者の話ではクーデター側から人質に関する要求に皇女の話が出てきていないという話だった。


「という事はだ。まだ皇女は見つかっていないという事だろう。どういう手を使っているのかは分からないが……」

「あ!それなんだけど………皇族関係者の話だと多分光学迷彩マントを使っているんじゃないかって」

「皇族関係者っとしか言わないけどさ、もしかして……皇帝陛下から聞いたのか?」


 平たく言えば皇帝も皇族関係者という枠組みに入ることになる。ジュリは微笑みながら誤魔化す。


「光学迷彩マントっていうのはね」

「聞いてないけどな」

「光学迷彩という技術をマントという形で開発した道具で、帝城の宝物庫に収められている道具の内の一つだよ。じっとしていればばれないと思うけど、他の光学迷彩系の道具と違って精度は低くて移動しているとばれるらしいよ」

「聞いてないけどな」


 あくまでも言い訳もしないが、そうだとも言わないジュリである。

 どうやらそんな話をしているとエリーをひとしきりいじり終えたデリアがツヤツヤの表情をしながら帰って来た。


「お帰りなさい」

「あの子も今後がありそうね」

「え?あるかな?」


 そこでレクターが口を挟む。

 空は内心「止めればいいのに」っと思ったが、レクターは先ほどまで妹の心配をしていた時とは違ってヘラヘラした表情で告げる。


「あの胸には成長の余地なんてないって!」


 空の視線の先には様々な怒りを覗き見る事の出来る目、表情は怒りを隠しきれずにおり、右腕には鋼の塊を思わせるほどの握り拳が見えた。

 空はレクターから一歩下がりそれとほぼ同時にエリーの右拳がレクターの右頬に衝撃を与えた。



 どうするのかという結論にはジュリが素早く出した。

 東区と南区を挟む形で存在するドーム状の建物。様々な式典が行われるこの場所は普段は避難所としても活用される。東区の方では行政とは別に厳しい管理区画に隣接しており、南区としても住宅が少ない珍しい地区になっている。


 ドームの中を突っ切るという強引な手段であるが、それ故に敵の目を欺くことが可能なのではないかっと読んだ行動だった。


 問題はそこから人質の存在している東区の役所まではかなりの距離があり、どのように移動しても見つかってしまう。


「デリアさんは何かアイディアあります?」

「?正面突破」

「聞いた俺がバカでした」


 空の中で瞬時に戦力外通告を出し、ポカーンっと思考を放棄するレクターから、怒りで思考が冷静ではないエリー、空同様に悩むジュリを見る。


「地下列車も戦場になっているし、かといってビルを飛び越える何て無理だしな……」


 空がジュリの言葉を聞いて思い出す。


「そうだ!地下だよ!帝都の地下には地下水道があったはずだろ?」


 その一言でジュリ自身も思い出す。


「うん!あったはずだよ。でも、この建物の中に入口があるかどうかは分からないけど……」


 建物の中を調べれば分かることではあるが、建物の中に敵がいないという確証も無い。少ないだろうというのが推測に過ぎず、敵が交戦している可能性があるのも事実だった。

 どうするべきかという思考をしているとデリアがハルバードを振り回しながら獰猛な微笑みを返す。

 その表情からは行けば分かるという言葉が含まれていた。


どうでしたか?面白かったと言っていただけたら幸いです。見て面白いっと言っていただけたら幸いです。いつの日かもう少し自身が付いたら大賞用の作品でも書こうと思います。デワデワ!

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