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竜達の旅団≪ドラゴンズ・ブリゲード≫ 【呪詛の鐘の章】  作者: 中一明
ガイノスエンパイア編
23/156

南区攻防戦 1

ここから南区攻防戦と呼ばれる話に入りますが、とても長い話になりますので。

 デリアと出会ったのは帝国西南に位置する湖畔でのことである。湖畔に位置する小さな町『デーリー』という町は魚料理と町の反対側に見える古びた古城で有名な観光地で、別荘地にも選ばれている場所での出会いだった。


 アベルと一緒に湖畔の別荘に遊びに行った時の出来事である。


 本来なら飛空艇で移動できる場所にわざわざ列車行く物好きはきっと空達ぐらいだろう。それをアベルは「若さだな」っと述べ、三日かけてたどり着いたデーリーの駅前は観光地と呼ぶにふさわしい賑わいを見せ、町の大きさをざっと見ただけでも帝都の南区の旧市街地の1.5倍ぐらいだと判断できる。

 石を積み重ねてできた壁に赤い屋根が印象的な建物が建ち並び、空は息を漏らす傍らで、初めて帝都を出たレクターとジュリも同じように異国差に驚きを隠せずにいる。


 総人口が百万ほどであり、店先に並ぶ食材などは見たことも無いようなモノばかり。


 車があまり走らない道路というのは珍しく、特にレクターやジュリには新鮮に見える。反対に空とアベルは特に驚いた顔をしない、この二人にとってはこの光景は特に変わった光景ではない。


「俺って田舎の出身だったからな………この風景の方がまだましだな」

「近郊都市と言っても結構山に近かったからかこの光景に近いな」

「最も俺の実家は山と木々に囲まれた場所だったから風景的には全く違うけど……」


 メインストリートを歩き出す三人の足取りはどこか軽く、少しずつ街のはずれの方へとずれていく。左に視線を向ければ湖畔が、右に視線を向ければ畑と遮る木の柵が見え、正面には古そうな別荘地が見えてきた。


「なんであんな田舎みたいな場所にあるの?」


 レクターのしごく真っ当な質問にジュリが思案顔で答えて見せる。


「確か元々はこの場所は皇帝が隠居生活をする際に作られた場所で、あの古城が皇帝陛下の別荘だったそうだよ」


 そう言われた瞬間空とレクターの視線は湖畔の先にある古城に向けられる。

 遠目にも大きく見える古城。


「あの古城が……別荘?」

「規模が違うよな」


 二人の意見が最もである。遠めでも分かるほどの大きさの古城を別荘として使う皇帝一家の金銭感覚に愕然とする二人、歩きながら辿り着いた別荘地は先ほどとはまた違う雰囲気を醸し出し、一言で言って落ち着けるような世界だった。


 そこから歩いてさらに十分の場所にある別荘に辿り着く。


 その家の前に居たのがデリアだった。


「?デリアか?どうしてここにいるんだ?」

「たまたま近くに仕事の用事がありまして、今日こちらにいらっしゃると聞いたので」


 そんな丁寧な口調に空は騙される結果になる。

 しかし、彼女の仕事は空に衝撃を与える結果に終る。



 そんな事を思い出しながら目の前に現れたヘリを前に空は現実逃避を繰り返しており、何度も目を背け何度も同じ場所を見てもそこには同じヘリが居るだけなのだと確信するのに数秒ほどかかってしまい、大きなため息を吐く空に対しどこかワクワクしているレクターとデリアである。


 エリーは素早く生き残った列車の陰に隠れ、空は起き上がりながら正面に存在しているヘリに向かって剣を向ける。


「っていうかヘリ相手に剣なんて……」


 っと呟きながらヘリの方へと睨みつけ、レクターはワクワクするような表情で拳を構える。デリアはハルバードを振り回しながら好戦的な表情を浮かべている。

 ヘリのコックピットには誰も座っておらず、手加減しなくてもよさそうだという事だけはハッキリと分かる。


「あんた達ヘリ相手に何するのよ!勝てるわけないでしょ?下に降りる手段を探した方が賢明よ!」


 空もそう思うがこの二人はやっつける気満々のオーラを周囲に放ち、空はいざとなったら二人を助けることを念頭に入れていて動けない。

 どちらが先に動くのかと言ったらヘリが先に動いた。


 ミサイルポットから放たれたミサイルは不規則な動きで近づいていく。すると一番近い場所にいたデリアがミサイルを弾いた。


 空はその行動に唖然とし、レクターはまるで驚きも無く全く同じ行動をとる。弾かれたミサイルはそのままの速度でヘリへと帰っていく。


 一撃で終わる戦い。

 あっけなく終わった戦い。


 空とエリーは唖然とするが、当人達は「面白くない」っと不満げ。しかし、それを上回る状況に襲われることになる。

 ガシャン。ガシャン。という音が下の方から聞こえてくるのを空は不自然に感じる。そして、空は嫌な予感にかられ、再び身構えると………()()()()()()()()きて、歩いて壁をよじ登っていた。

 あまりの気持ち悪さに表情を曇らせる空とエリー。


 レクターとデリアは「やればできるじゃないか」ぐらいの表情を浮かべる。


 しかし、一機だけでは無い。

 四機ほどが壁を昇ってきて空達へと近づいてくる。


「何?最近のヘリコプターは壁を昇れるのか?」

「私も聞いたこと無い。多分軍の最新タイプじゃないかしら」


 四機の軍用ヘリに地上で囲まれるという奇妙な状況、しかも軍用ヘリからは八本の足が生えている。

 そんな中デリアはボソッと呟いた。


「あの噂は本当だったようね。軍の中央が新作を大量にそろえているっていう噂」


 それを聞こうとしたが、それを許さないように四機のヘリが勢いよく近づいていく。空は再び剣を握り直し、目の前に近づいてくるヘリに向かって剣を振り下ろす。



 バイクに乗り軍用車と共に追いかけるアベルの視線の先には逃走用の軍用車がガトリングとグレネードランチャーを構えたまま逃げていく。

 ガトリングとグレネードランチャーが同時に火を噴き、アベルは大剣を構えた状態で近づいた状態で大きく回避行動をとる。


「シールドによる防御モード展開」


『了解。しかし、グレネードランチャーの攻撃を五回受けた場合シールドは破壊されます。回避行動を優先を推薦』


「それでいい。回避も任せる。なるべく近づいてくれ」


 アベルの後ろからガーランドの乗る軍用車もガトリングを装備して現れる。ガーランドも敵の軍用車の動きを封じようとタイヤを狙うが、敵も回避しようと左右に大きく動く。


「アベルグレネードランチャーの方だけでも破壊しろ!」

「言われなくても分かってる!」


 少しづつ速度を上げながら近づいていき、ある程度近づいた段階で大剣をグレネードランチャーを搭載した車の左側面に突き刺さり、身動きが出来なくなった車を庇うようにガトリングを装備した車が前に立ちふさがる。

 大剣を回収する為にバイクで近づいていくが、グレネードランチャーとガトリングで抗戦の構えをとる。しかし、中から出てこようとしない。


「アベル妙だぞ何故出てこない」


 弾幕が濃く中々近づけない状況が続く中、アベルがバイクで周囲を散開しながら突破口を探す中、アベル達の後ろから軍の戦車が足音を鳴らしながら現れる。

 皇光歴の世界の戦車にはキャタピラが付いておらず、六本の足が生えている。あらゆる角度での攻撃を可能にし、主砲は120㎜クラスより多少小さめになっており、その分連射と装填数を増やしている。


 ガシャン、ガシャンという音と共に歩いて現れるそれは主砲の照準を黙って逃走しようとしていた車の方へと向く。


 大きな発砲音と共に大きな弾丸が停車している二台の車へと直撃する。

 大きな爆発音と共に二台の車が黒焦げになりながら上空へと舞い、一つは建物に突き刺さり、もう一つは少し離れた道路へと落ちていく。


「やり過ぎじゃないか?」


 アベルの疑問にガーランドはハッキリと答えないが、戦車から一人の士官がアベルとガーランドに近づいていく。


「問題が発生しました!東区の軍本部一帯で一部の軍関係者がクーデターを起こしました!!」


 アベルとガーランドは一斉に軍本部が居るはずの東区の方を見つめた。

 火が上がる東区とは別に二人の視線は旧壁の屋上の線路上で戦う空達の姿で、それに向かって群がる足の着いたヘリがさらにあらゆる場所から屋上へと昇っていく。


「なんだあれは?」

「ガーランドが知らないものを俺が知るわけないだろう」


 アベルが走り出そうとするが上空から戦闘用の飛空艇が近づいてくる。


 飛空艇。胴長な図体をしており、飛行機などの羽の部分が存在しない。見かけは空に浮く船といった格好をしている。軍用ヘリとは違い大量の武装を搭載できるが、ヘリとは違い移動速度は遅い。


 胴長と言ってもいい外観に、戦闘用のミサイルやランチャーなどの多くの装備を搭載した飛空艇だが、アベルとガーランドは戦闘用の飛空艇を見たことはあっても、目の前に存在する飛空艇を見たことは無かった。

 警戒心を高めるが、中から帝国南部の要塞『アクア・レイン』の最高司令官である『ジェル・マイン』が特徴的な前髪を揺らしながら立ち尽くす。


「アクア・レイン大将!?どうしてここに?」

「クーデターが起きるかもしれないという最高議長の予想を聞いていたのでな。詳しい話はあそこの少年たちの援護をした後だ。乗りなさい」


 二人が乗り込むと飛空艇『バトルフロント マークⅡ』は目的地へ向けて飛翔していく。


どうでしたか?二つに分かれた戦いだったと思いますが。この辺は戦いが二つに分かれているだけ少し難しいんですよね。

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