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竜達の旅団≪ドラゴンズ・ブリゲード≫ 【呪詛の鐘の章】  作者: 中一明
ガイノスエンパイア編
20/156

クーデターの始まり 2

本日四話目。さすがに追いついたら絶対にこんな書き方できないです。断言できます。したら死にます。

 数時間が経過し昼食を外で食べる約束を他の三人としたのち、空とジュリは制服で南メインステーション前の公園へと向かった。

 二人での移動という事とジュリがバイクに乗りたいっと言った為、空はバイクにまたがってジュリと共に駅前公園へと向かう。

 メインストリートはパレードで車などの通行を禁止されているため、空は回り込む形で駅前までたどり着いた。


 多くの人通りでごった返している状況ではまともに駐車できる場所もなく、二人で探し回る事三十分。結局最終的にステッカーさえもらえれば路地の端に止める事(ただし盗難に関しては自己責任っとステッカーに書かれている)が出来た。目を離さないため常に近くにいる必要があるが、空は待ち合わせの十分前にオープンカフェで紅茶を飲んで待つことにした。

 早めのお昼にタマゴサラダとツナのサンドイッチを頼んで食べていると、東区方面からエリーとレイハイムが歩いて現れた。


「おはー」


 エリーがにこやかに挨拶して現れるのに対し、レイハイムは無表情の無関心を装って現れる。席に着席してそれぞれ簡単な昼食を注文し、空はその姿を見ながらサンドイッチの端にかじりつく。タマゴサラダを口の中で味わいそれを紅茶で流し込み、公園内の人々の叫び声をBGMにしながら自分のバイクに視線を送る。

 バイクは周囲への警戒態勢を怠らず、バイクのセンサーがレクターの出現を空達へと伝え、全員の視線が呑気に歩いてくるレクターの方へと向き、エリーがため息交じりの声を出す。


「間抜けが現れたわね」


 頼んだアイスコーヒーをストローで飲みながら冷ややかな視線を送るエリーに、全く気が付かないレクター、無関心で本を読みながらホットコーヒーに手を掛けるレイハイム。

 空はメインストリート方面から大きな声が聞えてき、それと同時にパレードの壮大な楽器たちによるオーケストラの音までが鼓膜を振動する。


「来たみたいだね」


 ジュリが一番に立ち上がりそれに続くように空達も立ち上がる。レクターだけが休憩も無くお腹を空かせた状態で歩き出す。

 後ろから聞こえてくるレクターの腹の音にエリーがイライラし始め、レクターに対してライオンがウサギを睨みつけるかのような目で見る。

 さすがに聞き堪えない状況が続く中、ジュリが鞄の中からクッキーをレクターに差し出す。


「はい。これ食べて凌いでね」

「ありがとう!!愛してるぅ!」


 空はイラっとしたので取り敢えず三発ほど殴りつけ、パレードが見える位置まで移動する。大きな公園の端では皇帝のスピーチを見る事すらできず、容易に近づけそうにない。そう考えた空達は周囲を見回して、何とか全体の見える位置まで移動しようとすると、バイクが単身隙間を見つけ出して突き進む。


「あのバイク勝手に動く」

「何を指示したんだ?」


 レクターとレイハイムが揃って文句を言い始め、空は特に身に覚えのない行動に首をかしげるだけ。そんな中、ジュリだけが状況を正しく理解していた。


「多分だけど。私達の行動を見て何をしているのかを理解したんだよ。ついていけば多分全体が見える位置まで行けると思うけど……」


 そう思い見失う前にっと追いかけていくと、少しずつ公園の木々の中へと移動していき、広い公園の中にある小さな丘へとたどり着く。


「こんな所があったんだ」


 エリーが感心したように前かがみで景色を眺めていると、バイクは周囲への警戒態勢へと移ったようで、空達の後ろで待機している。

 パレードの後方がたどり着き、皇帝の乗った車が公園の中へと入っていく。


「ようやく皇帝陛下がスピーチを始める………空達の情報が正しければ一つ目のチェックポイントでもあるな」


 レイハイムのつぶやきを全員が黙って頷き、ジッとスピーチの方へと視線を向ける。

 レイハイムとエリーとレクターはここに来るまでに事前に話を聞いており、軍のクーデターの可能性とクーデターの目的が不明という事も。


「クーデターの理由。分からなかったの?」

「うん。帝国の改革なのかすら。そもそも皇帝陛下を標的にしているっていうのも推測に過ぎないし。でも、皇帝陛下が自ら囮役を買って出たという事は……」


 ジュリは黙って空の方を見る。


「聖竜が告げた可能性もある。ならただの偶然とは思えないし、むしろ可能性が高まるだけだ。それに………聖竜には他の竜には無い力が多すぎる」

「例えば?」

「例えば………未来を見たり」

「!?聖竜って未来が見えるの!?」


 レクターが驚愕の表情を作り、エリーは視線を会場の方からずらさないように突っ込む。


「アンタは何を学んできたのよ。それに正確にはワールド・ラインを覗く力じゃなかった?命の偶然が起こす軌跡を覗き、それが未来という形で見ることが出来るらしいわよ。最も人に貸し出すことが出来る力だって聞いたことあるけど」

「力貸してもらえるの!?」


 これでもかっというほど目を開き、そんな間抜けの表情のレクターを隣から空が突っ込む。


「聖竜は用心深い性格をしているからな。絶対に貸さないと思うけど。特に間抜けそうな奴には」


 最後の部分をボソッと付けたし、レクターは全く話を聞いておらず未来を見る自分の姿でも予想しているかのような表情をする。

 エリーが小声で「きも」っとつぶやく声を聞き逃さないジュリは「ちょっとひどくない?」っと抗議する。

 レイハイムが心の中で「俺だけが真面目に見てるのか?」っと疑問を抱き、空はなんとなくレイハイムが何を想っているのかが分かったので黙っていることにした。


 空はクスリっと笑う。


(なんだかんだ言ってこの五人で三年間を過ごしてきたんだよな)


 苦しい時も、楽しい時もこの五人で過ごし乗り越えてきた。

 そう思うと空はどんな不安も吹き飛んでいく気がした。

 そう思った時、空とレイハイムは群衆の中でおかしな動きをしている者達を見つけ出した。


 それと同時にメインストリートに近づいていく複数のワゴン車も発見し、空がかき分けようとする群衆に駆け出していき、レイハイムも全く同じタイミングで駆け出す。それを見ていた他の三人も少し遅れて駆け出していく。後ろではバイクが黙ってついてきていた。


 丘を降りていく過程で、空は鎧をその身に包み。レクターとレイハイムとエリーは自らの武装を取り出す。

 レクターはナックルを、レイハイムはガンソードを、エリーは魔導弓を取りだす。

 ジュリはバイクと共にアベルの元へと駆け出していき、間に合うことも無く群衆からスモッグ弾が投げられる。

 白いスモッグが視界を塞ぎ、ワゴン車が三台ほど突っ込んでくる。

 ワゴン車の中からミサイルランチャーが周囲の建築物や銅像などを破壊して護衛部隊の身動きを一時的に封じ込む。


 皇帝を直接守っていた五人組も群衆の中にいた武装集団に抑えられる。


 武装集団は剣や銃などの武装を持ち、服装は黒っぽい服の上に防具と顔を隠すための布を巻いている。正直な話男女すら分からない状況で、更に動く二つの陰を空達は見つけ出した。


「あの二人直接皇帝陛下を狙うつもりだぞ!」


 今日初めて喋ったのではないかっと思う暇もなく、空達は二手に分かれる。


 空とエリーは片手片刃直剣を上から着込んでいる布からチラチラのぞかせた人物へ。


 レクターとレイハイムは上から着込んでいる布からナックルを覗かせる人物へ。


 先に動いたのはエリーとレイハイムだった。

 二人は壇上に登ろうとしている二人の敵に対して皇帝に当たらないように攻撃を当てる。二人は一度身動きを止め、その隙に空とレクターはほぼ同時に攻撃を仕掛けた。

 周囲に金属と金属がぶつかるような不快音が響き、それぞれの視線がぶつかり空とレクターはその隙に二人の侵入者を壇上から叩き落す。

 二人の侵入者の布が飛んでいき、中の人物が姿を現す。

 レクターの前に姿を現したのは動きやすい薄いレザージャケットに短パンのシューターで、空の前に現れたのは空と瓜二つの鎧をした色違いの騎士ブラック・ナイトであった。


 戦う事より目の前に現れた空の鎧とそっくりな存在に、皇帝やアベルやジュリが驚きの表情に変わる。

 何より空自身が驚く。


 剣の形こそ禍々しいが、鎧に関しては細部の形まで全く同じであった。


「お前は………誰だ!?なんなんだ!?お前は!!」

「死にたくないのならそこを退くといい。君とて我々の剣の錆になりたくはないだろう」

「我々?」


 我々という一人称が気になる。一人称と知って使ってないのだとしても空と戦っているのはブラック・ナイト一人しかいない状況ではやはりおかしい。

 シューターとレクターも近すぎず遠すぎずの距離をとり、一触即発の空気を纏わせる中、静かに激しい戦いが始まろうとしていた。



 同時刻東区帝国軍本部の上層部の一部が集まり元帥の一声を待っていた。

「総帥。現時刻をもって我々革新派(かくしんは)は帝国政府に対し宣戦を布告します」

 若い士官が総帥と呼ばれた男性に声をかけた。

 薄茶色の髪が短く刈り上げられており、細目に細い鼻筋が特徴の元帥『ファンド・セールズ』が黙って頷き、細い目から鋭い眼光が士官たちをひるませる。


「失敗は許されない!辺境に生きる者達に目もむけない帝国上層部を内倒し、帝国を民主主義を中心とする国へと変革させるため!今こそ立ち上がろう!!」


 机を勢い良く叩き、まるで演説でもするかのような大声で叫ぶ。


「これは()()である!!我々は正しさをもって悪を砕き、善の心をもって悪を討つ!皆の心を一つにして今こそ立ち上がろう!」

 そう告げるファンドの言葉に打ちひしがれるように多くの士官たちが拍手を打ち、立ち上がり讃える。

 ファンドは心の中でほくそ笑んでいた。


どうでしたか?面白かったと言っていただけたら幸いです。この辺からガイノスエンパイア編後半戦になります。では次回!

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