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竜達の旅団≪ドラゴンズ・ブリゲード≫ 【呪詛の鐘の章】  作者: 中一明
ガイノスエンパイア編
19/156

クーデターの始まり 1

本日三話目。クーデターが本格的に始まる前になります。

 この世界に来て以降何度数えたか分からない空の部屋の天井のシミの数。そもそもどうやれば天井に五センチ大の大きさのシミが天井に着くのかも謎であった。


 皇光歴と呼ばれる暦の世界。


 この名前の意味を知ったのは空が勉強をした昨日の事であり、皇帝がその名前を襲名した事を切っ掛けとし、その時までは聖竜は光龍と呼ばれていた事が理由だと知った時、空の思考はジュリが何故制服を着ているのかという事に注目していたというのは本人の秘密である。


 四月を迎え本来であれば春を迎えるはずの帝都に関して、気温がいまだに二十度にいっていないというのは異常気象………などではなく、普通の事である。


 帝都は大陸の北にある影響で基本的に気温が上がらない上、しかもこの世界は地球温暖化などと言われる現象とは無縁である。

 ベットの上で座って脳内に起動手間取っていると、下の階からガッチャンっという何かが何かにぶつかる音を聞く。



「義父さんが起きたかな?」

 そう思う一方で今日は皇帝陛下の共和国との終戦記念パレードの日で、アベルは護衛の日程を組まされていたはずだっと思考し、寝坊して遅刻しそうになっているのだと判断できた。


「やれやれ。そろそろ起きるかな」


 そう思いベットから這い出ようとした所で足がもつれベットから転びそうになり、両足と両腕に力を籠めるが、力を籠める足を滑らせる頭から床に落ちていく。


「痛った!!」


 床でのたうち回る中、下の階から同じようにかつ空以上に大きな叫び声が聞こえてきた。

 空は頭を押さえながら青と白の縞々のパジャマの上にロングコートのような甚平によく似た水色の防寒着を着込んで下に降りると、脱衣所で空のパジャマとは色違いの緑と白の縞々のパジャマに薄緑色のロングコートの甚平似を着ているアベルがのたうち回っている。

 空はその姿を横目にキッチンへと入っていき、ドアに手を掛けようとしたとき、そのドアが勝手に開きドアノブが空の腹に突き刺さる。


「うぐぅ!」

「空君!?ごめんなさい!」


 キッチンから顔を出したのは空の友人であるジュリであった。昨日と同じく士官学校の制服を着こみ、その上から薄ピンク色のエプロンを着ている。優しそうな顔つきのジュリは驚きの表情に変えており、空はうずくまりながらゆっくり上を向くとそこには………()()()()()()()()()()()、空は一瞬この思いを口に出すべきかどうかを判断し、やめた。


 ジュリは頭を右手に持ちながらドアを左手で開けたようで、空はゆっくりドアノブに手を掛けて立ち上がった。


「大丈夫。でもどうして?」

「?アベルさんから頼まれて………」


 アベルから頼まれてっという項目に空は多少不機嫌になりながら振り返り、アベルは立ち上がって顔を洗い始める。


「その………たまには休日だから空にゆっくりさせてやりたいって」


 そう言われてしまうと、空は文句を言うこともできない。最も、それを事前に告げてほしかったという文句は言いたい空であった。

 ジュリに導かれるように食堂へと入っていくと、テーブルには空が作る料理より数倍惜しそうな料理が並ぶ。


 コーンと白菜のスープ、クロワッサンにはハムとレタスがからしマヨネーズで挟んでおり、キャベツと白ピーマンと紫のキュウリを酸味のあるドレッシングで味付けしておりその上にはサーモンの刺身が乗っている。


 空は生唾を飲み込みながら目の前に広がる朝食にゆっくり手を伸ばし、口にクロワッサンを入れながら牛乳で流し込む。


「おはよう」


 そんな低めの声で食堂へと入ってきたアベル、椅子に座りジュリが用意した朝食を食べ始めると、ジュリがキッチンで手を洗い姿を現す。


「そういえば昨日帰ってくるのが遅かったけど、パレードの予行演習なんかは夕方には終わったんじゃなかったけ?」


 アベルは「ふむ」と呟いて考え込むと、ブツブツと呟き最終的に「まあいいか」っと自らを納得させゆっくり口を開く。


「実は帝国議会最高議長のアランドールが驚くべく情報を開示したんだ」


 その言葉、空とジュリが息を呑む瞬間を感じ取り、アベルは気に掛けるようなそぶりを見せないまま語り続ける。


「アランドールが言うには『帝国軍上層部に()()()()()()()。帝都内でのクーデターに備えよ』っとの事だった。それによって現段階で信用できる人間たちをこの地に集め、帝と内でのクーデターに備えよっていう話だった」


 話を聞いていた二人は唖然とする表情でアベルを見つめていたが、ジュリが先に意識を切り替え、気になっていたことを尋ねた。


「どうしてわかったんですか?」

「前日に起きたテラによる騒ぎ、その中心にあった錠剤の出所が判明しなかった」


 空はその言葉に口を挟む。


「判明しなかったって………それでどうやって軍のクーデターという話に?それに父さんが疑われていないのも………」


 おかしい。

 そう思った空の言葉にジュリがうなずく。


「それはその場にいた一部将官も同じことを述べた。ガーランドやサクトも同じことを言うと………『錠剤の出所が途中で途切れていた。しかも………内部の者達の手によって。しかも……』」


 と答えた所で空とジュリはその先がなんとなくわかった。


「「軍の上層部。もしくはそれに通じる者達の手口だった。って言われたんだ」」


 アベル黙って頷く。


「その上でアランドールは『現段階で信頼できる者達をここに集め対策をとる』っとな。それでガーランドが『もし犯人が動くなら一番可能性が高い所で明日の終戦記念パレードだろう』という話になった」

「だったらパレードを中止すれば!ちゃんと説明して」

「駄目だって空君。そんな事をすればクーデター派がどう動くか分からなくなる。可能性があるのならそれなりの対応が出来るし、それに皇帝陛下を偽物にすり替えれば……」


 とまで言った所でアベルの表情が暗くなっていくのが分かる。


「どうしたんですか?まさか!?」

「そのまさか……だ。皇帝陛下はあくまでも出席するつもりらしい。危険はつきものだっと仰られて、それに自分が顔を出さないと国民が納得しないだろうっと言ってな」


 空は大きくため息を吐き、ジュリは小声で「あの方なら」などと呟いている。

 それには空も同意見で、あの人ならやりかねないっと思考し同時に皇帝が考えている事、その裏にある聖竜の思惑。


「皇帝陛下を囮に使ってでも先に行動させる必要があるってことか?いや建前が欲しいのかもな」


 空がやや皮肉っぽく言ってのける。

 苦笑いする二人をしり目に空はふと聖竜はこの事態を全部知った上なのだろうと思考し、「そう言う事なら」っとつぶやく空に二人の視線が一旦向く。


「俺がそこにいるべきなのかもな。それが聖竜のシナリオなんだろうし……それに聖竜がこの話に関わっていたとしたらもしかしたら………」


 そこから先の言葉を決して口にしないが、二人はなんとなくわかった。

 三十九人の行方。

 何か手がかりがあるかもしれない。そういう想いが空の行動原理になっており、そこに危険があっても突き進もうとする。

「じゃあパレード見に行く?」

 ジュリからの提案に乗る空の姿がそこにはあった。



次で本格的なクーデターとなります。

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