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竜達の旅団≪ドラゴンズ・ブリゲード≫ 【呪詛の鐘の章】  作者: 中一明
ジャパン・クライシス
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辿り着いた未来 9

終りそうな気配なしです!でも、必ず終わらせます。取り敢えず七夏祭は詳細まで描きますので!

 七夏祭はいよいよ三日目を迎え、七月らしくない涼しさと右腕と腹に乗っかる重さに目を覚まし、彼氏持ちの妹と俺の部屋を完全に寝床にしている二人の竜を無視して俺は朝食を素早く食べると出店へと向かった。

 出店までバイクで向かっても良いのだが、今日は気分的にトラムだったのでトラムに乗って向かおうと帝城前広場に来る。

 帝城前広場では多くの人だかりができており、軍が規制を敷いているのが見てわかる。

 おそらく普段以上に帝城内ではおびただしい軍人が防衛しているのだと思うと鬱陶しいと思う。

 今日は近づかないぞ。

 一人でトラム乗り場まで移動し、観光客と地元民で長蛇の列ができていることに鬱陶しさを覚えるが、一人昨日の売り上げランキングを確認しているとガイノス帝国が用意した黒いリムジンが帝城の中へと入っていくのが見えた。

 多分あのリムジンの中に総理大臣がいるのだと思うが、正直あの戦いを経て俺はなるべく関わりたくないというのが真意。

 日本は建て直しを図らなかければならない時期にあり、今日の詳細な条約が今後の日本の復興を占うと見てもいいだろう。

 トラムに乗りながら俺はもう一度帝城の方を見ながらため息を吐き出した。

「知ってた!?ため息を一回吐き出すたびに幸せが逃げるそうだよ」

 レクターがどうして帝城前広場に居るのかを問いただすべきか、日本の言い伝えのようなレベルの話を知っていることを問いただすべきかを少しだけ悩む。

「迷信だから安心しろ。それと、どうしてここにいる?」

 こいつの家は旧市街地では真ん中の方なのでこのトラム乗り場にはいないはずなのだが。

 まあ、こいつの行動原理を理解しろなんて無理難題なのでこれ以上考えない。

「総理大臣がくるって聞いたから歩いて見に来ただけ」

 さいですか。

 そんな楽しくもなさそうなイベントの為に歩くレクターの行動力に拍手。

 俺は真似できないし、真似しようとも思わない。

「そんな事の為によくもここまで歩いてくるな。何時に起きたんだ?」

 ちなみに現在朝の七時である。

 レクターの家からここまで歩いてくれば一時間以上は掛かる計算、逆算すればおおよそ六時ぐらいに家から出る必要がある。

 しかし、レクターの答えは俺のド肝を抜いてくれた。

「近くの出店でおいしそうなクレープを食べてきたから五時に家を出た」

 にっこり笑うレクターだが、こいつの朝の行動パターンを考えると起きたのは三時半だと断定できる。

 こいついつ寝たんだ?

「お前………それで今日一日乗り越えられるのか?今日は昨日より人が増えるという予想だぞ」

 今日は三日目、向こうからの観光客が少しずつ増える予測で、明日からの土日の始まりという事もあり、外の国や都市からの観光客もやってくる計算。

 その為に両商会は『たこ焼き』のメニューのバリエーションを増やしつつ、それに合う飲み物や様々な料理の提供を今日から始める。

 土日に合わせていくつか試作を今日試すそうだ。

 なので、今日から三日間は忙しくなる計算。

 その最初の一日をこいつはあろうことか無駄に過ごしているような気がしてならない。

「大丈夫だって!最悪三日は寝なくても動けるし!」

 まあ体内に核エネルギーを所有していますといっても信用できそう。

 なんか無限に動き回りそうで、実際武術大会の決勝戦ではこいつ試合が終わった後でもはしゃぎまわっていたぐらいだし。

「お前って体内に人類が未だに手にしていない無限エネルギーがあるんじゃないか?」

「え?じゃあ俺って次世代型の人間?」

「なら研究機関に実験サンプルとして提供しよう。もしかしたら金が手に入りそうだぞ。これで家族も安泰だな」

「ならいや!」

 だろうな。

 俺はため息を吐き出す。

 旧市街地の街中も多くの人でごった返しており、俺としては見慣れた街並みであるが、異世界からの観光客からすればネットでも見れない世界である。

 異世界なんて実際に来なければ想像する事しかできない。

 南区中央駅前で降りてから、出店の方に急ぐと出店の方では既に多くの人でごった返している。

 しかし、これで未だ二位で一位の壁は乗り越えられていない。

 正直に言えば一位になるの事がガーランドに勝つことが出来る条件でもあるだろう。


 奈美はベットの上で戸惑っている。

 昨日の夜、海からの告白を受け万理からも祝福されたわけなのだが、しかしそれだけに海にどんな表情で会えばいいのかがよく分からない。

 今日一日海は出店にいるはずなので、出店まで行けば会えるわけだが、会い方が分からないとソラに相談すると「そんな事知るわけないだろう」と一蹴されてしまった。

 その結果自分の部屋で人形を抱きしめながら悶えているというわけである。

 母親はゴンと一緒に出掛けてしまい、奈美は一人家にいるわけだが出かけるべきかどうかとずっと悩んでいる。

「海君……に会いに行こうかな?でも……邪魔じゃないかな?」

 なんて口にした所で答えが出てくるわけでも無いし、ましてや誰かが答えてくれるわけでも無い。

 携帯でネットサーフィンでもしながら時間を無意味に費やしていると、東区の大規模ショッピング広場でイリーナがライブを行うとニュースのトップに出ていた。

「イリーナこっちで頑張ってるんだ。歌姫だって………会ってくれるかな?」

 そんな思いが奈美を突き動かした。


 家を出て慣れない道を迷いながら進むが、トラムに乗って東区へと向かう。

 南区の住宅街から少しずつ見慣れぬ高い建物が目立っていく、ショッピング広場までトラムを二つほど乗り換えながら辿り着いた。

 大きな門をくぐって中へと入っていくと、広い大きな広場と円形状に広がる様々なお店。

 専門的な洋服店から飲食店など非常に様々なお店が三十種類ほど構えており、その大きさから東区で一番大きな広さを誇るこの出店は、地下から地上まで二重構造になっている。

 エスカレーターで下に降りれば食品系のお店が、地上は洋服や鞄などから小物を取り扱うお店などが多い。

 奈美は広場に入った瞬間にこの賑わいに驚いた。

「すごい………向こうでこんなに人が多い場所があるのかな?ああ、あのお店気になる!」

 イリーナのライブまでまだまだ時間があるのを確認し、気になって洋服店に入っていく。

 近くのワンピースなどを見て回っていると、気になった上着に手を伸ばすと別の人の真っ白な手に触れる。

「あっ!ごめんなさい!」

「こっちもごめんなさい!」

 お互いに頭を下げるが下げた頭がぶつかり鈍い音が聞えた。

 頭を押さえながら悶えるが、再び謝ろうと顔を上げた瞬間に奈美の前に現れたのはキャペリンと呼ばれるタイプの帽子を被ったイリーナだった。

 ゆったりとした服装で、サングラスを付けているのだがそれでも奈美にははっきりと分かった。

「イリーナ!」

 つい大きな声で叫んでしまったがイリーナは急いで奈美の口を塞いで周囲を見回す。

 ばれていないと安心して安堵の息を吐き出し、息苦しそうにしている奈美の口から手を離す。

「ごめんなさい。奈美。ここで店を見て回っているって気づかれたくないの」

「気にしなくていいんじゃない?だって………イリーナが思う以上に変装できてないよ」

 イリーナの心に大ダメージ。

「変装になってない?」

「うん。イリーナの素材そのままだよ。だって………私気が付けたもの」

「だったら。今度は奈美が気が付かない格好をしないとね。ふふ。私のライブに来てくれたの?」

「うん。それにちょっと相談に乗ってほしいというか………」

 気恥ずかしさが途端に襲い掛かってくる奈美、イリーナはその態度だけで何の話かを予想を付けてしまうが、そこはイリーナである。

「乗るよ。だって親友だもんね」

「………!ありがとう」

 二人は両手を握り合いながら微笑み合う。


感想は後編で!では二時間後に!

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