辿り着いた未来 4
穏やかな日々が続ていますが、取り敢えず戦闘は起きません!安心してください!
「又この四人で一緒に歩けると思わなかったな」
奈美が本当に嬉しそうな表情をされてしまうと一緒に歩いている俺達としては同じように嬉しくなったしまう。
因みに南区の中央駅前広場のフードエリアで一旦腰を落ち着けている。
俺事ソラから時計回りにメイちゃん、万理、海、奈美、母さんの順番に座っており、円形のテーブルの上には簡単なジュースが人数分並んでいた。
半分ほど飲んだところで取り敢えずこれからどうするかを悩むことになるのだが。
母さんと奈美はこの辺に全く詳しくなく、本人たち曰く駅前の店に荷物を預けているそうだ。
ならこの駅前を行動範囲にすればいいのだろうかと思ったが、海と万理の両名は金持ちに分類される家柄なので最悪メイドさんにでも迎えに来て貰えるのだろう。
「え?ソラ先輩の家って金持ちの分類ですよね?」
「なわけないだろ?メイドさんだって執事だっていないんだぞ」
「使用人がいたら金持ちなんですか?」
「大きな庭。使用人がある大きな家。金持ちが揃う住宅街」
「だったら引っ越せばいいんじゃない?私まだ暮らしていないから分からないけど」
「ガーランドがいないなら検討してもいい!!」
真剣な面持ちで返す。
あの人がいるから北区に近づきたくないのだ。
「俺の足元に近づいてくるゴンに俺は驚かないんだよ」
「お兄ちゃん驚いてよ。さっきまでいなかったよ」
おかしい父さんの側に置いておいたはずだし、父さんは軍本部に詰めて今日一日は自由時間が無いはずである。
「ゴン………今日一日は父さんの所いる約束だったろ?どうやってこの場所まで来たんだ?」
そう思い頭を優しく撫でてやると首輪の所にあるはずの紐が無くなってしまっており、またしてもゴンが勝手に首紐を外してしまったのだろうことは予想できた。
どんな首紐を用意すれば外れさせない様に出来るのだろう?
「大きいねぇ!お兄ちゃん!この子なんて名前?」
「ゴンっていう名前なんだ。仲良くしてあげて欲しいね」
メイちゃんは全身を使って喜びをゴンに向けており、ゴンも同じように喜びを最大限受け取っている。
尻尾を左右に振って喜び、俺はジュースを飲みながら携帯を取り出してこの辺でペット可の場所を探すしかなくなってしまった。
エアロードとシャドウバイヤは本日は一日出店で一日マスコットをする約束。
取り敢えず、ゴンだけでも入れる場所にするべくなのだろうが。
士官学校に行くなんてことは俺の気持ちが許さない。
かといってこの辺を歩き回ればレクター辺りに出くわす可能性が高い。
「そういえば万理お姉ちゃんはどこが功に通うの?」
「女学院っていう場所に、奈美ちゃんと一緒ね」
「ほんと?私両親がおしとやかに育って欲しいって」
それはそうである。
女の子なのだから、多少形はおしとやかに育って欲しいものだし、何より奈美は少々活発な性格をしており、その上で剣道を習っていたためかその活発な性格は更に男の子化は拍車をかけてしまった。
母さんや父さんはこれを機におしとやかに育って欲しいらしく、士官学校に通ったら男の子化に拍車をかけてしまうだけ。
それ故に拍車を掛けたくないという両親の涙ぐましい行動でもあるので、これについては俺は特に反対はしない。
「お兄ちゃんと海君と同じ学校が良かったな」
俺と海の視線がぶつかり、全く同じ意見に辿り着いたのは意外だったのだがこればかり奈美にきちんという必要があるだろう。
「「俺は嫌だ」」
「二人揃って同じ意見!?どうして?」
「これ以上男の子みたいに育ってどうするんだ?少しぐらいおしとやかになれないのか?母さんの気持ちは少しぐらい考えたらどうなんだ?」
奈美は両頬を膨らませながら「ブー!」と反抗するが、海と万理も基本同じ意見なので誰も奈美に味方してくれない。
それはともかく女学院か。
「確か女学院の周囲で女学院の生徒がフリーマーケットや演劇、出店をしていたな。旧市街地にあるから少し遠いんだけど………」
「荷物も一緒に持っていきます?」
「いや、持って歩くと面倒だからな。父さんに引き取らせよう」
父さんにメッセージを飛ばしておき、俺は売り場にいるエリナさんに引換券をわたしておいてそのままトラムに乗って女学院へと向かって行く。
女学院回りは南区にしては大きな建物が多く、古くから続く建物も多いが女学院自体も小さな坂の上に作るられており、トラムは女学院前に停車場がある。
女学院前の大きな広場、白とレンガで作られた女学院と全く同じデザインの広場。
大きな広場に多くの店が開いており、出店から建物の中にあるレストランや喫茶店、洋服店やアクセサリーショップが見える。
この辺は女学院がある為か女性向けの店が多く、基本的に男性が近寄りがたい場所でもある。
しかし、七夏祭の時期は多くの男性が女学院目的で近づいてくるため………男性客でごった返すことになる。
「すごい人だね………特に男性客が」
広場から女学院への坂の下で俺は出店で購入したアイスカフェラテを購入し、俺の隣では海がスポーツドリンクを飲んでいる。
奈美や万理は女学院に興味津々なようで、女学院で一時間後に開かれる演劇を楽しみにしているらしい。
というのも女学院が毎年七夏祭で行われる演劇は悲劇を題材にしたオリジナル演劇、完成度が高いと噂だと俺が直前で漏らしてしまったのが原因だったりする。
ちなみにゴンは流石に演劇には連れていけないので、外で待機させておくことにした。
よく言い聞かせなければならない。
「時間までまだあるから取り敢えずこの辺りを簡単に回ってみるか?」
「そうですね………でも、俺この辺りにあまり興味が………あっ」
「どうした?海」
「いえ。五個下の妹にここにいるって教えたら、今日しか販売されていない限定アクセサリーを出店で買ってきてほしいって」
五個下ってことは………十歳?
十歳でアクセサリーを求めますか?
「だったらその出店まで行ってみるか」
歩いて一分の場所にある出店、女学院の生徒が販売しているお店であるのだが、この時期は女学院の高等部、部活動の中でアクセサリー作りと販売をしているらしく、今日七夏祭限定品を販売するらしい。
海と一緒に店で商品を物色するのだが、それに気が付いた奈美達が追いついて来る。
「このアクセサリーかわいい!」
「本当ですか?これ私達で作ったんです!よかったらアクセサリー造りをしてみませんか?」
女学院生徒からの素敵な誘いを前に奈美と万理は簡単に引っかかってしまい、そのまま隣のブースの机で作り始める間に俺と海はそれぞれ購入するアクセサリーを物色する。
「ソラと海君。二人共買うの?」
「はい妹に買おうかなって。デザインは好きなので良いからってやけに信頼されちゃって」
「良い事だと思うよ。フフ。家族とうまくやれているみたいで嬉しいわ」
母さんの前にはさすがの海もタジタジである。
「で?ソラも購入するの?」
「ジュリへのプレゼントにしようと思ってね。ネックレスにするかブレスレットにするべきか?」
ジュリの好みに合わせるのならネックレスとヘアアクセサリーにするべきかもしれない。
しかし、ジュリの好きそうなデザインはブレスレットの方にあるのだが。
「このヘアアクセサリーを一つください。色合いは青色でお願いします」
「僕はこの白銀のネックレスでお願いします。あと、こっちの青色のブレスレットもお願いします。別に包装してください」
どうやら妹以外にもプレゼントするつもりらしく、包装していく女性が俺の方を見ながら「こちらも包装しますか?」と尋ねてきた。
「ああ、青色の包装紙に白色のリボンでお願いします」
「じゃあ私もあの人に買って行こうかしら?でも、あの人アクセサリー何て使わないのよね」
父さんはアクセサリーを購入しないし、そもそも装着しない。
しかし、母さんはほんの少しだけ悩むが男性でも似合いそうな簡単なブレスレットを購入するとそのままそれを大事そうに抱えてしまう。
奈美と万理のアクセサリー作りを終えたころ、ちょうど演劇開始時間が迫っていた。
どうだったでしょうか?今回も基本は帰ってきた毎日をみんなが楽しむというていで話が進んで行きます。次回は取り敢えず翌日まで話が進みます!では!結末までどうかよろしくお願いします!では!次回!




