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竜達の旅団≪ドラゴンズ・ブリゲード≫ 【呪詛の鐘の章】  作者: 中一明
ジャパン・クライシス
135/156

ワンフォーオール・オールフォーワン 10

貧乳キャラが胸が無い事で悩むシーンはもはや定番シーンだと思います!

 翌日。南区新市街地の西区に近い所にある二十四時間三百六十五日営業すると豪語する室内プール。

 水につけることが出来る貸し出し用の上着などを受け取りながら持ってきた水着に着替えて室内に入っていく。

 南国をイメージして作られた室内、ヤシの木……に似た何かと海岸をイメージしたプール、五十メートルプールや流れるプール、ウォータースライダーなどがあり時期が時期なら賑わっていそうである。

 メインステージと呼ばれる場所には特設ステージが造られており、水着姿の人が賑わいを見せている。

 今日。イリーナの晴れ舞台の日という事もありマリアを入れた向こうのメンバーが一通り集まっており。

 ジュリやレクターは勿論、キャシー、レイハイム、エリー、海も集まっているのだが、先ほどからエリーが水着の上から着込んでいるパーカー付きの上着の端を握りしめ、ジュリとキャシーを親の仇のよう目で見ている。

「俺……着痩せっているんだね。初めて見た」

 レクターの言葉に男子全員を睨みつけるエリー、レクターに厄が来るのならよいのだが、俺達の方まで来てほしくない。

 ジュリとキャシーは上着を着ていないためか、豊満なバストがこれでもかと強調されている。

 まあ、ここで借りることが出来る上着を着ても隠しようもないと思うけどな。

 生地も薄いうえ丈が微妙に短い。

「諦めたらどうじゃ?睨んだとてその胸が大きくなるわけじゃなかろう」

「それは良いのよ!そこの二人が見せつけるように上着を着ないからよ!」

 上着を着るかどうかは個人の自由な気がするし、そもそも俺は気になっている事があるのだがあえて聞かないことにした。

 しかし、そこはレクターである。

「そもそもサイズ合わないんじゃない。胸の」

 おお。エリーが鬼のような形相で俺達を見ている。もう、それは鬼が仇を取るがごとく。

 取り敢えず俺達の方を見るのをやめていただきたい。

 レイハイムに関しては前の方へと逃げていくし、海は俺の後ろに隠れて逃げようとするし、ジュリとキャシーは困った表情をしている。

 エアロードとシャドウバイヤはそもそも興味が無いようで先ほどから売店方面を確認している。

 俺としてもここで売店に向かう事で回避する手段に出ることにした。

「俺売店で簡単なメニューを購入してくるよ」

 「行くぞ海」と言いながら二人で売店まで向かうと、十個以上ある売店から適当なジュースを人数分購入して持って帰る。

 すると事態が更にややこしい状態へと移行していた。

 取り敢えずレクターが右頬を真っ赤に染めてその場に倒れており、エリーは怒りで我を忘れているような状態。

 ほんの三十分そこらでなんでそこまで状況をややこしい状態まで持っていくことが出来るんだ?


「ジュリとキャシー、あんた達その大きな胸を半分よこしなさい!」

「エリーちゃん!?目が本気だよ?」

「そんな目で見られても………私達も上着が無くて困っているんですが?」

「良いのよこの際上着は!でもね。そんな大きな肉塊をぶら下げていると迷惑なのよ!」


 ここまで酷い表現を中々聞いたことが無い。

 興奮していて前後不覚状態なのだろうが、その理由が自分より胸の大きい人間が目の前で水着姿というくだらない理由である。

「くだらなくない!」

「おおう?俺の心を読んできた?」

 恐ろしい怒りパワーである。

 怒りのあまりついに心を読むようになったのか?

「フカー!フカー!」

「なんか獣じみてきたのう。このまま彼女は狼にでもなっておるのではなかろうか?」

「俺もそんな気がしてくる。そろそろやばそうな気がするからエリーを隔離しておいた方が良いかもしれないけれど……多分人の言う事を聞かないよな?」

 俺達が何を言っても文句を言っても難癖付けてこの場に居座るので厄介なのだ。

 エリーがこうなった以上は無視をするのが適切な対応なのだが、目の前でジュリとキャシーが困った顔をされると放っておけない。

「お前さんは本当にトラブルに突っ込もうとするのう。無視をすればよかろうに」

「そうはいかないだろ?まあ、そもそもエリーを無視すればよかったような気がするけどな」

「だな。なんで俺とエリーを呼んだんだ?」

 レイハイムの素朴な疑問に俺がここ数時間の記憶を探り出している最中、海がジュースを飲みながら「レクター先輩が切っ掛けじゃなかったです?」と言ってくるので記憶を探る。

「確か………レクターが今朝方に全員に一斉メッセージを送りつけてきて」

 海とレイハイムとマリアが同時に倒れているレクターの方を向く。

「「イリーナのコンサートに行こうぜ!」ってノリノリで……」

 大きなため息を吐き出す三名。

「エリーが嫌がっていたんだけど………無理矢理連れ出して」

 凄い馬鹿を見るような目でレクターを見る三名。

「何故か俺の携帯を挟んで喧嘩をしてくるんだよなぁ」

 遠い目をして俺は天井を見、三人は俺を憐れむような目で見てくる。

 何故朝っぱらからレクターとエリーの喧嘩を俺は代理でしなくてはいけないのだろうか。

「しかし、まだ始まらんのか?準備に追われているのか?」

「いや、どうだろうな。詳細な時間があるわけじゃないし。準備をしているんじゃなくてまだ本人が来ていないんじゃないか?」

 因みに俺達のやり取りとは別にエリーの興奮は最高潮に達しており、レクターはその間に足蹴にされており、反応をしないあたりどうやら本気で気絶しているようだ。

「ソラ。あそこに書いてある『ガイノス焼き』というのが食べたい」

「あれってさ。昼食なんかで食べる料理だと思うんだけど?」

「よいから食べたいぞ。私達は」

 色気や遊びより食い気なエアロードとシャドウバイヤである。

 鬱陶しいので俺は二人にガイノス焼きを一人前を注文しプラスチックの皿に入った料理、それをテーブルに並べてやる。

「それってお好み焼きですか?」

「ああ、重ねて蒸し焼きにしているんだけどな。関西の方よりは広島の方に似ているな。ただ、具材が大分違うのとタレは甘辛ダレを使っているんだよ。結構旨いよ」

 海が覗き込むように見ているのは、こう見えてお好み焼きを好みにしているからだ。

 海は美味しそうに見えたのだろう。

 ガーランドからもらったお小遣いでガイノス焼きを注文し、テーブルの上に並べるのだが、海の注文したガイノスや機は上にチーズのような『何か』が掛かっている。

「これ何?ガイノス焼きってチーズが掛かっているのがあるのか?」

「?ソラは知らなかったのか?ガイノス焼きってエアロードとシャドウバイヤが食べているのがメジャーかと思うだろうけれど、このチーズ焼きもメジャーなんだぞ」

 チーズ焼きとは何だ?

「卵とチーズを混ぜた生地を上と下から具材を挟む。これがチーズ焼き」

「?ガイノス焼きにチーズを混ぜただけ?」

「いや、具材もチーズに合うものに変更されている。これも特徴だな」

 へぇ~特に考えずに購入してしまったのだが。

 そもそも、お好み焼きもそうだけど種類が多いと結構困ると思うのは俺だけなのだろうか?

 まあ、その辺をツッコむとそれこそ藪蛇になりかねないからこれ以上何も言わないけれど。


「皆さん!これより新生歌姫!イリーナ単独コンサートを行います」


 いつの間に単独コンサートに変更されたのだろう?

 なんて考えている間にステージ上に水着に似たステージ衣装、青と水色をラメ加工で輝かせており、イリーナの綺麗な金髪を相まって歌姫という言葉似合う。

 俺達の存在に気が付いたのか、緊張していたイリーナの表情が穏やかなものに変わっていく。

 大きく息を吸い込みそれを吐き出すように透き通るような声が周囲に響き渡る。

 能力を制御できるようになったことが本人の中で自信になったのだろう。

 歌を歌う彼女はどことなく楽しそうに歌っている。


どうでしたか?戦いが終わりすっかり元通りの日常が帰ってきました。次回は一か月後『七夏祭』での出来事になり、この最終日のイベントである『灯篭流し』で物語を終えるつもりです。長かったこのお話も一区切りまであと少し!最後まで書ききって見せます!では!次回!

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