ワンフォーオール・オールフォーワン 7
後日談エピソード書いてみればまだまだ書くことが多いいです!
イリーナと共に帝城から出るための大きな廊下を歩く。
「二人で暮らしているのか?」
「いいえ、ヴァースを含めた三人で一緒に暮らしています。私の身の回りの護衛もしてくれているんですよ」
え?それって所謂同棲という奴ですか?
あれ?イリーナとあの大男はいつの間にそんな仲にまで発展したのだろう?
「フフ。意外とああ見えて可愛い所があるんですよ。料理もできますし」
「え?あの外見で?」
失敬かもしれないが、料理なんて出来ない様な外見をしている。
意外な趣味だな。いや、趣味と断言するのもおかしい事なのかもしれない。
「私も料理はするので三人で料理をするんですよ」
やばい三人がエプロン着て料理をしている姿を連想し、その反面堕落的な生活をしそうなエアロードとシャドウバイヤを見てしまう。
きっとその時の顔は憐れんだような顔をしているだろう。
「でも、安心したよ。こっちに暮らすようになってから苦労しているのかと思っていたけど」
「いいえ。こっちの人達は異世界の人達に寛容というか」
「まあ、俺がいるからね。特にこの都市の人達は特に気にしないんだよ」
二人で帝城から外に出て、橋を渡って帝城前広場まで戻ると心配した表情をしているヴァースが出迎えに来ている。
三人でアタフタする光景を見ているとどことなく安心してしまう。
三人と別れてそのままエリナさんと海と合流後、俺達はそのまま帝城前広場一帯を案内してあげる為、エリナさんの趣味に合いそうな店へと案内する事にした。
と言うのもエリナさんはそもそもこの辺はあまり来ない所なので正直な話あまり知らなかったりする。
俺が案内したのは広場から歩いて十分の所、広場から西区に向けて池回りに一周する形で存在する『フォーズ通り』にある人形屋さん。
『オーベス』の名前の人形屋さん。
ファンシーな内装と、可愛い人形から厳つい人形まで様々な人形を取り揃えており、特に最近ブームの大柄の狼が人気らしく、可愛いデザインの物からちょっと厳つい形のものまで取り揃えられている。
実はエリナさんはこう見えて人形集めが趣味で、特に最近人気の大柄の狼通称『ロウ君』がお気に入りらしい。
「どうしてソラ先輩がこんな店知っているんですか?」
「?そもそも俺も来ようとしていたんだぞ。奈美のプレゼントでも買おうと思ってな。こっちに来た時に部屋において置いたらあいつ喜ぶだろ?」
海が部屋にやって来た時に人形が置いてある光景を想像し、その時の奈美のリアクションを考えていると喜ぶ姿なんて簡単に想像できる。
エリナさんはあちらこちらとフラフラとしており、俺と海はそれとは別に室内を見て回っていると、黄金に輝くロウ君を発見した。
なんだこれ?
黄金像なのかと思ったが、黄金の糸を造って作られており作る過程を感がるだけで気がめいりそうだ。
まあそんなことはどうでもいいのだ。これでもいいかと値段を見るとそこには0が七つほどついており、心臓が飛び出るような思いをする羽目になった。
俺は直ぐにこのアイディアを放棄し、店の中を歩いて回っていると見せの一番奥に大きな大きな人形が飾られていた。
同じくロウ君だろうが、こちらは先ほどとは違いオリジナルである白で作られている。
しかし、問題はその大きさだろう。
座っているだけでも俺より多少大きいサイズ、持って帰るだけでも一苦労。
値段は流石に学生に手が出せる範疇を多少超えており、俺としては指を加えて見ているしかない。しかし、ここで悩み過ぎれば外で放置しているゴンがどこかに行ってしまいそうになる。
さすがに今日は諦めるかと思考したところで父さんの「ここで何をしているんだ?」という声が聞えてきた。
「奈美のプレゼントでも買おうと思ったんだけど。これと言って良い人形が見つからないからさ。俺はともかく父さんは何でここに?」
「サクトと一緒に歩いていたらお前達がこの店に入っていくのでな。サクトは外でゴンの相手をしてもらっている」
父さんは「それでいいじゃないか」と大きなロウ君を指さすが、俺は「手が出せない」と素直に告げる。
「なら私が買う」
財布を取り出し、レジへと急ぐ父さんを唖然とした表情で見つめ、父さんが購入している姿をジッと見つめており、俺と海の後ろにあった大きな人形は『売却済み』の札と交換されていた。
あの人………本当に買ったのか?
ちなみにその近くにはエリナさんが羨ましそうな表情で右の人差し指を加えて父さんを見ていた。
帰ってきてから既に三日目、俺が部屋のど真ん中で横になって倒れてそのまま天井を眺めており、休日と言うだけあって街中は人で溢れかえっている。
特に帝城前広場は観光客であふれかえっており、あそこに足を延ばす人間がいるとは思えない。
しかし、実際の所であそこに人が集まっているのは事実で、俺としては拒絶反応が出来つつある休日のありふれた光景である。
特にクーデター事件終結後という事もあり、多くの人集まっては安心して観光している。
因みに父さん達軍関係者はすっかり元通りの状態に移行しているらしく、向こう側に駐留している軍も含めて通常運行らしい。
俺は出店候補を考える為に自宅待機中であり、ある『モノ』が自宅に届くのを同時に待っている状況である。
ちなみに朝十時、そろそろ注文しておいた荷物が到着する頃であり、部屋のど真ん中で待っているのも決して動くのがめんどくさいとかでは決してない。
因みに机の上ではエアロードとシャドウバイヤが買ってきたばかりのお菓子の袋開けて取り合っており、俺の隣では同じように横になって休んでいるゴンがいる。
しかし、家のチャイムが鳴った以上は直ぐに行く必要がある。
玄関口で大きな段ボール箱を受け取りサインを押して帰ってもらうと、俺はその見かけ以上に大きな荷物をどこに置くべきかで悩む。
しかし、重いな。
数を言っていなかったので、朝比姉の適当さを考えると相当の数を頼んだんではなかろうか。
今回はあくまでも料理をためしに作ってみて、メニューを決めるのがメインだったのだが。
そう思って段ボールを開くとその奥から大きく透明な箱とその中にビッチリと詰められた真っ赤な『タコ』が入っていた。
悲鳴を上げたくなる光景を前にしてこの透明の箱を開ける勇気が一気に引っ込んだ。
あの適当な人め!箱一杯にくれって注文をしたか!?
「何を考えているんだ!?確かにたこ焼きを作るからタコ欲しいとは言ったけど、生きているタコを箱一杯によこすって………」
気持ち悪い。
箱の中で動き回っているこの軟体動物を前にして俺は久しぶりに感じる恐怖、視覚的な意味での恐怖である。
「おはよ!来たぞ!」
元気のいいレクターの声に反応し、振り返ると玄関を開けた状態で仁王立ちのレクター、そして俺の目の前にある箱一杯に入っているタコを見つめる。
興味津々で箱に食らい付き、興奮しながら「これ何!?」と食らい付いてくる。
「タコ……」
この世界にはタコが存在しないので、自然とこのタコという生き物はこの世界の人間の興味を引く存在でもあるという事になる。
レクターに続いてジュリがやってくるのだが、ジュリはレクターの反対でどこか気持ち悪そうな表情をしている。
まあ、分からないでもない。
「これって何?」
「タコ………これを料理に使おうと思ってな」
俺はタコを取り敢えず別に処理するとして、一匹だけ中から取り出し別の透明な箱に入れて自分の部屋までもっていく。
俺が提案する料理『たこ焼き』の為に用意したこのタコ、三人がこのタコを囲んだ形で陣取り。
ゴンはこのタコの入った箱をつついている。
俺はたこ焼きの説明をと思って簡単に説明することにした。
感想は次回に!では二時間後に!