表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
竜達の旅団≪ドラゴンズ・ブリゲード≫ 【呪詛の鐘の章】  作者: 中一明
ガイノスエンパイア編
13/156

竜の欠片 1

異能バトルの本領発揮回です!

 空とテラの武器がぶつかり合い、至近距離でにらみ合いが続く。機能であれば一瞬で壊れてしまった緑星剣であるが、竜の焔を扱う先輩でもあるアベルからの指導が実を結ぶ。


『空。竜の焔で完成された武装は思考を反映させる。お前武装が脆いのはお前の中で本当の剣を知らないからだろう。だから見かけだけの武器になってしまう。まずは知る事、触ってみろ』


 そう言われてしまうと、空はそのままアベルが持ってきた鉄製の剣に触れてみる。冷たく触れているだけで硬さを感じる。

 その次に銀や金などそれ以外にも宝石なのど多くの『硬い物』を触れさせてもらった。

 結局の所『魔導機』や『竜の焔』もすべてはイメージの力で、頭の中でイメージしやすい物や、想像が力になる。

 それがリアリティのある物なら、それだけイメージしやすければ現実味を帯びていく。


『そのイメージを決して忘れるな。もう一つ、『竜の焔』限定の話だ。この力は属性が存在する。イメージの力に自動的に付与されると考えればいい。ただ、この属性がイメージの力を重ねるのが実に難しい。特に風。風は軽さを付与される。それは硬さをイメージさせるのには邪魔になる。堅さとは重さでもある』


 それこそが緑星剣が脆い理由でもあった。


 風属性は軽さ。弱点は脆さ。


 それもイメージでどうにかなる問題ではあるが、空はそのイメージが不出来であった。学校ではまだ詳しくは習わない。

 空はまだ高校生。

 しかもこの世界に来てまだ三年しか経っておらず、本来の学生たちが学ぶべき数年間がない。それどころか最近になって学び始めた。

 魔導機も、剣術や武術も帝国式は最近になって学び、帝国史に関してはまだ学んでいない。

 だからこそアベルは学ばせる必要があると感じた。

 今回の一件で空が走っていくことはよく分かった。

 周囲の人間の危機に対し、空は戦力比をよく考えない。まだ、その辺がよく分かるほど経験を積んではいない。

 それならばっとアベルは考え、こうして教えている。


『忘れるなよ。風属性はイメージの力が最も重要になる属性だ。堅さをイメージする際には、それにふさわしい硬い物をイメージしろ』


 そうして空はテラの前に立ちふさがる。

 強固になった緑星剣。

 ナックルの破壊力でも完全には破壊できない。


「フン!」


 テラの横なぎを頭を低くすることで回避し、リバー目掛けて拳を叩き込む。

 テラは表情一つ変えないが、そんなことはよく分かっており、そのままで終わるつもりは無い。

 殺すつもりでちょうど良く、そのまま緑星剣を握る力を増す。

 リバーを殴られたことで、身体が一瞬だけだが止まる。そのまま横腹を斬りつける。

 体から青い血が噴き出す瞬間が気持ち悪さを増長させる。


「青いオーラみたいなモノといい、その青い血と言い化け物じみてて嫌だな」


 空は表情を曇らせて再び警戒心を高める。


「クソクソクソ!!なんで当たらないんだ!!」


 再び大きく拳を振り回し始め、空はそれを余裕の表情で回避しながらテラの体をクロスに斬りつける。


「い…痛ぇ?なんで痛みを感じるんだ?俺は痛みを感じないはずなのに!?なんなんだ?その腕につけている防具は!?いつの間に装着したんだ!?」


 テラに指摘されてようやく気が付いた。

 空の両腕には緑色の西洋の籠手が装着されている。しかし、そんな物を付けた記憶もなく、全く身に覚えないその装備に空自身が驚いていた。



 ビルの屋上から眺めていた二人の内、シューターは驚きと共に目を引ん剝くような気持になる。

 先ほどから戦っている二人の内、空は緑色の防具を腕につけてはいなかった。斬りつけようとした瞬間に炎のように現れた。

 視認した瞬間には出来上がっていた。


「あれ何?」

「アレは………おそらく竜の奇跡かもしれないな」

「?帝国には魔導機はあっても、魔導は存在しないはずでしょ?」

「存在する………遺伝的に受け継げない物と受け継げる物がひとつづつある」

「あれは?」

「分からない。それを簡単に確認できるわけでは無い。ただし、帝国の歴史上受け継いできたのは遺伝的に受け継げない『竜の焔』のみだ。しかし、あれは竜の焔とは別のようにも見える。『竜の焔』は武器に変形するが、防具にはならない。あれは防具」

「ならもう一つの方じゃない?」

「ありえない。あれは与えると、遺伝が途切れるまで聖竜は回収できない。だから与えない。信頼できないから」

「じゃあ………あれは何?」

「あれは………分からない」


 シューターは嘘を吐いた。

 分かっていた。そんなことは。



 空は籠手をジッと見つめながら混乱していると、傷を修復する為に過剰摂取する姿を目撃すると、空はそれを阻止する為に籠手を強引に外して、跳躍する。

 跳躍のし過ぎで別のビルに激突してしまう。


「何なんだよ!?」


 すると、今度は自分の足にも同じ色の防具が身についており、空はそれを外そうとした時、ゴリラとトカゲを足して二で割ったような存在が割って入ってきた。

 長い尻尾。青色の鱗。強靭の爪。ゴリラのような体格をしており、顔はまるで恐竜である。


「まさか………テラ!?嘘だろ!?」

「ガアア!!」


 もはや正気ですらないだろう。

 空は目の前に居る化け物がテラだととっさには判断できなかった。


「錠剤を過剰摂取すると化け物になる!?」


 化け物は空の体を片手で拘束しながら片手を振り下ろし、空はそれを咄嗟の行動で右腕だけで受け止めようとするが、そこで自分が籠手を外してしまったことに気が付いた。

 片腕を差し出すしかないのか?

 そんな疑問を吹き飛ばすように空の右腕には籠手が戻っていた。

 外したはずの籠手が自分の意思で戻ってきた。

 それは不気味を通り越し、不吉な気配を漂わせる。

 しかし、このままジッとしているわけにもいかないそう思うと、空はテラの拘束を自らの力で抜け出して見せた。


「ガアア!?」

「お前の思い通りになると思うなよ!」


 空は地面を蹴り、テラの大ぶりの攻撃を回避しながら左腹へと斬撃を浴びせるが、その傷は瞬時に治り、カウンターを空へと決めに来る。

 反射的にカウンターを回避しながら距離をとるのではなく、自ら突き進んで、敵の懐に入り込み連続で斬りつける。テラの声は既に獣になれ果て、誰の声も届かない。

 体は斬りつけられるたびに大きくなり、悲鳴のような声は怒りの咆哮に、人間らしさは消え失せていき、化け物に落ちていく。

 堕ちて、どこまでも深い闇の中へ。

 気が付けば、空の周囲は黒い血で染められており、その血は周囲の建物を飲み込み、テラの肉体ごと沈み始める。


「なんだ?何が起きているんだ?そうだ!バイクは?」


 バイクは既にこの場にはおらず、おそらくはアベルの元へと向かったと思われる。

 見た感じ半径一キロ圏内の建物や人などの生き物全てを飲み込んでおり、黒い血は空も飲み込もうとするが、それから空を守ろうとするかのように、空の全身をエメラルドグリーンの鎧が顕れる。

 それこそ竜をかたどった鎧のようにも見え、空を余計に不安にさせる。

 そんな中、監視カメラがようやく事態は軍と警察へと連絡を入れていた。


テラが人外になっていきますね。それぐらいしないと主人公の相手に相応しくないのかななんて思います。まだまだ続きますが気長にお付き合いください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ