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竜達の旅団≪ドラゴンズ・ブリゲード≫ 【呪詛の鐘の章】  作者: 中一明
ガイノスエンパイア編
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リベンジ 2

今更ですが実は一番好きなキャラクターはレクターなんです。あんな馬鹿ででも主人公にとっていざとなった時に頼りになるキャラクターは書いていて楽しいです!

アベルが出勤しようとしている際、軍部の方ではある問題が起きていた。


「地下牢に居れていたのではなかったの?」


 サクトが刑務所に一人辿り着いて、地下へと降りるエレベーターに乗り込む。ガーランドも家が捜索範囲に入れられている今日は出勤できない。それゆえのサクトという配置である。

 昨日の事件以降、留置所では脱獄される可能性がある為、一足早い刑務所に入れられたテラが脱獄したらしい、という情報を聞いたサクトが駆け付けた。

 エレベーターから降りると、案内されるがままにある小さな部屋へと案内される。


「ここがそうだったのですが………その」

「そこの先を言わなくてもいいわよ。見れば分かるから」


 そこには大きな穴が開いており、薄暗い道だけが残されている。


「この先はどこに繋がっているのかしら?」

「今調査をしているのですが………」


 すると、サクトの携帯に連絡が来る。


『サクト中将。不審な穴が南区の下水道の途中にありました。周囲にはテラと思わしき目撃情報も』


 そう言われると、サクトは急いで穴の中を走っていく。

 少しずつ下水の嫌な臭いが漂ってくる。奥の方から人口の光を感じると、目の前に先ほどまで通信していた人物が立ち尽くしていた。


「本部に連絡。容疑者が脱獄したっと」


 誰の脳裏にも嫌な予感がよぎっていた。



 バイクにつけられている状況に、慣れない感覚に襲われた。しかし、実際の所でいつからつけられていたのかが分からない。気が付いたらつけられていたという感覚しかない。


「いつからつけられていた?」


『メインストリートに入る前です』


 AIが的確な答えを示し、実際に映像を見せてくれる。確かにメインストリートに入る前にバイクが空の後ろにつけるように路地から出てくる様子が記録されていた。


「バイクのナンバーは分かるか?」


『大丈夫です。通報しますか?』


「頼む。軍部の方へと通報。なんか嫌な予感がするついでに映像も送ってくれ。何か分かるかもしれない」


 そう言いながらバックミラーで後ろを確認すると空は焦りと共に声を荒げる。


「急げ!軍にすぐに出動してもらうようにと言ってくれ!!早く!」


 後ろを走っているバイクは標識を片手に持ちながら投げようとしている。空は警報と共に空はバイクを地面スレスレまで倒す。

 バイクの右側面を軽くかすり、ナノマシンが修復し始める。

 すると、空には身に覚えがる武装が見えてきた。

 両腕を覆うように装着されるナックルが視認できた。


「まさか!?テラか!?どうして?」


『軍から報告です。どうやらテラが脱獄したようですね』


「追いかけてきたというのか?進路を図書館から軍本部まで変更」


『防衛手段を使用しますか?』


「いや、俺が直截戦う。サポート頼む」


 空は緑星剣を右手に持ちながら曲がり角を素早く曲がる。テラも同様に曲がり角を素早く曲がって見せる。直線距離では空が上だが、曲がったりするのはテラが上である。


「ナックルなら接近しなければ大丈夫だろう」


『本当に大丈夫ですか?そういう発言はフラグになりますが』


「不吉なことを言うな!」


 その不吉が現実になりそうな場面が訪れた。テラはバイクを擦るギリギリまで地面に側面を近づけると、ナックルを地面にめり込ませる。コンクリートがめくれ上がっていき、岩盤が持ち上がって投げられる。

 岩盤が吹っ飛んでい来る速度の方が速く、空は緑星剣を握ってバイクを方向転換して、右側面を岩盤の方へと向ける。緑星剣の周りに風の切断力を高め、岩盤を複数回斬りつけて攻撃を回避する。

 しかし、それは空へと接近する手段でしかなかった。

 テラは空へとナックルを叩きつけ、空はそれを緑星剣で衝撃を受け流しながら受け止めた。


「脱獄すれば刑が重くなるだけだぞ!!」

「貴様を殺す!」

「聞く気なしかよ」


 バイクの速度を上げるが、テクニックの面で負けており、徐々にではあるが距離が縮まりつつある。

 距離が完全に埋まってしまうと、テラは空に向けて拳を叩き込もうとし、空はそれを威力を後方に受け流しながらバイクの速度を落とし、攻撃を受け止める。


「前のようにはいかないぞ!」

「少しばかり自信を受けたところで!へし折ってやる!」

「その鼻先をか?」

「貴様の自信をだ!」


「その言葉、そっくり返す」


 空はテラのバイクを蹴って距離を開け、緑星剣の魔導出力を上昇させる。


『攻めろ。空。攻撃は最大の防御だったか?お前の世界ではそういうのだったな。常に攻め続けろ』


 空はいつ『攻撃は最大の防御』だと告げたのかが分からない。だが、知っているという事は、この世界には無いことわざを知っているという事は、言ったという事だ。

 攻めろ。守るぐらいなら攻めろ。

 その意識は空の戦い方を大きく変えた。

 バイクを蹴って跳躍し、テラに体重の乗った蹴りを叩き込む。

 テラがバイクから転がり落ち、空はうまく着地して見せる。


「その痛みを感じろ!お前がしてきたことの報いを、痛みとして返してやる」

「うがぁぁ!!ぶっ殺す!!」


 立ち上がり、空を鋭く睨みつける。


「まるで毛を逆立てて大きく見せる猫見たい……言っても分からないよね。猫いないし」


 空は剣を低く構え、テラはガイノス流武術の基本的な構えである右拳を前に、左腕を後ろに構える。

 怒りで身を震わせながらも、それでも最低限の所ではあくまでも冷静でいる。

 空にはそれが分かってしまった。


「今回は薬品任せの以外の戦い方が出来るとはな」

「今回の呪薬は一味違うぞ」


 そう言って青い錠剤を口の中に入れてしまう。


「また冷静でいられなくなるんじゃないか?」

「………今回は違うと言ったろ?」


 テラがまるで冷静になっていくような感覚が空にも分かる。

 今までの錠剤とは違う事がよく分かった。


「どう違うのか分かる様に説明してほしいね」

「その体で体験させてやるよ」


 体中から青い蒸気が吹きあがっているように見え、空は同時に異臭に鼻をつまみたくなった。


「汗?錠剤と同じ色ってことは?肉体を強制的に強化しているって感じか?」

「苦しみを刻みつけてやる」

「苦しいのか?なら………止めたら?」

「止められない………お前をぶっ殺すまで!!」


 空は「麻薬みたい」という言葉を飲み込み、お互いに視線と視線をぶつけ合う。

 お互いの吐き出さす息だけが聞こえてくる。お互いに地面をけるタイミングは同時、周囲からは空の緑星剣とテラのナックルがぶつかる瞬間は同じに見えた。

 すさまじい衝撃が周囲に広がると、空のリベンジマッチが始まった。



 ビルディングの上、空とテラの戦いをまじかで観戦しているその者は黒い鎧を着こんでおり、ビルからビルへと大きくジャンプして隣に立つ少年は髪を逆立てていた。

 中肉中背の髪を逆立てた少年。


「はぁ………アンタの瞬間移動術。俺に合わせてくれもいいんじゃない?」


 黒い騎士へと話しかけるが、騎士は無視をして観戦しているだけだった。若干ムッとして下から覗き込む。


「ねぇ《ブラック・ナイト》だっけ?あんた喋れないの?」

「……喋れないわけでは無い。しゃべる必要性を感じない」


 男なのか女なのかが分からにような声に少年は渋顔に変える。


「男?女?」

「《《我々》》は………ブラック・ナイトだ」


 我々という一人称に違和感しかないが、不満を言わない、疑問を持たないというのがこの業界でのルールである。

 それはこの少年にもよく分かっており、今まで痛いほど理解してきたつもりだ。

 この二人で行くようにという指示が降りた以上、文句は言わない。

 依頼主からのオーダーである以上不満もない。


「俺はシューター。よろしく」

「………」


 無視を続けるブラックナイトの腰に手作り感がある袋があった。


「?《《お守り》》?」


 そう書かれた袋をシューターは身に覚えもない。この世界に神はいないし、ゆえにお守りなどは存在しない。存在しないお守りをブラック・ナイトは持っていた。


どうだったでしょうか?少しずつシリアスになっていっているんです。本当です………

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