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竜達の旅団≪ドラゴンズ・ブリゲード≫ 【呪詛の鐘の章】  作者: 中一明
ジャパン・クライシス
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東京決戦 3

いよいよ東京決戦本番です。

 列車が東京駅に衝突する瞬間は丸の内からでも十分見えていた。

 皇居を攻略しようと王島聡は自分が所有している戦力の残り全てを投入、皇居前で唯一ガイノス軍が開けている東京駅からまっすぐ伸びた出入り口目指して戦っており、その真直ぐ伸びた道路上は自衛隊と米軍の混成部隊で引き締め合っており、王島聡はその衝撃音で一度後ろの方に視線を移していた。

「何の音だ?」

「どうやら列車が東京駅に突っ込んでいったようです。あれでは生存者がいるかどうかも怪しいですね」

「生きているさ。だろ?木竜」

「ああ、あそこは私の範囲内だ。世界樹の中にいる以上は生存ぐらいは分かるよ」

 東京駅が淡い光に包まれ始め、同時に東京駅からものすごい勢いで成長していく木の枝を彷彿させる姿はどんどん大きな巨木へと変貌していく。

「一般市民の命をこの街の電力を吸収し今一度世界樹となす。二千年前は失敗に終わったこの世界樹、今はこの東京を軸に成長を続ける」

 世界樹。

 木竜が作り出す最大の呪術であり、周辺の地形を変質させて起点となった場所を中心に範囲を広げていく。

 いずれは世界を飲み込んで命の全てを滅ぼす代わりに一本の木に変えていく。

 水も、土も、動物も、空気ですら一本の木に変えてしまう。

 全てが栄養であり、ゆっくりと確実に飲み込んでいく。

「今は緩やかだが、植え付けから二十時間後に急速な勢いで根が広がっていき二十四時間で世界中を飲み込む。世界の崩壊させる二つ目の手段」

 王島聡は皇居攻略を混成部隊に任せ自らは丸の内ビルを避けてスカイツリーへと戻っていった。


 皇居前ではジャッジ級の執行官が二人、サクト大将と配下の部隊が複数人で交戦しており、瓦礫や鉄くずで即席のバリケードと弾避けを作り、銃撃と近接攻撃を組み込んだ攻撃方法で撃退しようとしていた。

 皇居への唯一の攻撃方法である突入路はこの東京駅前の橋を残して全て落としており、現在この橋を巡って総力戦が起きている。

 正面の東京駅で起きた衝撃音と砂煙、それと入れ違う形で東京駅を飲み込む大樹を前にしてサクトは乗り込んだメンバーの心配がどうしても脳裏を過る。

 ジャッジ級の一人である羊の鎧を着る男事『アーノルド・ダーズリン』はダブルセイバーを横なぎに振りながら、武器をブーメランのように投げつける。

 投げつけた武器は大きく円を描きながら本人の元へと帰ってくる。

 トカゲの鎧を着る男『レイジ・ノードリア』は二挺拳銃で目の前に展開している敵に対して魔導で構成された高出力熱線攻撃を叩きつける。

 自衛隊と米軍の混成部隊も負けじと戦車を使ってうまく展開しているが、後方からウルズナイトと戦車の混成部隊が挟み撃ちの状態で襲い掛かっていく。

「このまま押し込まれるな!ビルを盾にして戦え!地雷もうまく使うんだ!」

 自衛隊の一人が大きな声を上げて指示を出すのをアーノルドは聞いており、指揮官だと思う人物を確認するとダブルセイバーを構えながら突っこむ為に力を溜め込む。


「執行官№4………『アーノルド・ダーズリン』これより執行させてもらう」


 まず横なぎに切り払っていき死体を足場にして一気に跳躍しながら銃弾をダブルセイバーで弾く、着地と同時に縦横の二連撃を繰り広げながらダブルセイバーを真ん中から分離させて二本の剣に変えるとそのまま逆手持ちですれ違い様に五人の喉元を切り裂いていく。

 返り血で鎧を血で染められていき、武器を振り回しながら確実にかつ強引に近づいていくその姿まるで死神のように見えた。

 その姿は戦う自衛隊や米軍の心に負荷をかけ、その隙間をつかれるように更に後方からレイジの熱線攻撃で地雷を吹き飛ばしながら進路をドンドン開けていく。

 サクトがさらに後方から一突きで十人ほどをまとめて吹き飛ばしていき、後方からぶっ飛ばされる人に紛れて戦車の横っ腹に大きなクレーターを作り出す。

 戦車が更に左右から挟み撃ちの形で現れると、その戦車の上に大きなクレーターを作りながらアベルとガーランドが姿を現す。

「あら。あなた達無事だったの?あの衝突で?」

「まあな。外に出るのは簡単だったんだが、あの大樹の所為で私もガーランドも中に入れなくなった。どうも士官学生が中にいるようだな」

「今は彼らに任せるしかない。今はここの戦力を減らすべきだ」

「そうは言うけれど戦力が次々とやってくるから面倒なのよ」

 左右から次々と戦力が集まっていき、空からは二種類のヘリが近づいてくる。

 アーノルドはアベルとガーランドに声をかける。

「アーノルド。ジャッジ級№4をしています。後方にいるのは№6です」

「№4……そうか三年前にデーリーの事件の後に就任したのは君だったのか。アベル。確かこいつ……?」

「ああ、娯楽都市『ノーマン』の出身だったはずだが」

「ええ。あの街の出身です。ちなみにアベルさんのお子さんは一緒では?」

「?ソラを知っているのか?」

「はい。半月前ほどでしょうか?ノーマンで起きた旧№4とイルマ商会が引き起こした事件解決の際に手伝いをしてもらいましたから」

 アベルは大きなため息を吐き出しながら俯きそうになる。

 ガーランドは感心したような声で「大したものだな」と呟いた。

「クーデター事件と今回の事件の間に別の事件に首を出していたか。まあ、どうせレクター辺りが巻き込んだんだろうがな」

「ええ、私があと少しで事件が解決できそうな時にイルマ商会が逃走した先で阻止してくれたんです。あの時は助かりました」

「まあ、そう言う事ならいいが」

 レクターが巻き込むというのはソラ達の中では既に恒例化しつつある現象、アベルやガーランドもそれについては既に周知している。

「なんでもレクターと呼ばれている少年がノーマンのカジノに行きたいといきなり言い出して、実際にその土地に言ったらスラム街の子供達に助けを求められた………レクターがと言っていました」

「「「やっぱりあいつか」」」

 レクターの「てへ!」という声と姿を思い出しながら三人は大きなため息を吐き出すと同時に心の底から笑いが込み上げてくる。

「まあ、あいつらならきっとやり遂げるさ。俺達はここであいつらが勝った時に休ませられるようにしておくことだ。アベル……そっちの敵を叩けるか?」

「出来る。アーノルドと言ったか、正面は君とサクトに任せる。後方にいるジャッジは我々の援護を頼む」

 レイジはヘラヘラした態度で「任せてくださいよぉ。まあ、俺は小心者で臆病だからここから動きませんけどね」と言うとアーノルドは「先ほどの発言№1に言いつけておきますね」とはっきり告げた。

 慌てふためくレイジ。

「待ってくれよ!そんなことであの化け物に怒られたら一週間は入院させられる!」

 しかし、レイジの最後の言葉を聖竜の咆哮が言葉に重なる。

「叫んだという事は……おお中々拝めない光景が見れたな」

 ガーランドの声と同時に夜空を眺めると小さな光の粒が空間に突然に現れ、同時にその小型サイズまでもが複数現れ始める。

「ガイノス軍の本体のご到着か……悠然とした姿だな」

 超大型飛空空母。

 ガイノス軍の主力空母、現在ではウルズナイトを三十機以上格納でき、戦闘機などもその巨体の中に格納されている。

 今現在世界各地で皇光歴の各国軍があちらこちらで姿を現しており、まさしく総力戦が起きていた。

「後は……ソラ達が呪詛の鐘を手に入れてイリーナが歌う準備を整えるだけ……か」

 呪術でその姿を大きく変えた東京駅、中がどんな姿に変わっているのか、この木がどうなっていくのかが予想できないこの状況、アベル達は士官学生を信じるしかできなかった。


感想は後半にでも。では二時間後に!

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