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竜達の旅団≪ドラゴンズ・ブリゲード≫ 【呪詛の鐘の章】  作者: 中一明
ジャパン・クライシス
110/156

ワールド・ポイント 1

今回は少し変わった掲載にしようと思います!

 ホテルではガイノス兵達が作戦本部を作っており、多くの兵達があちらこちらに通信しながら忙しそうにしている。

 そんな中ジュリ達が帰還すると目の前で話し合っているガーランドとアベルに近づいていく。

「アベルさん!大変なことが!」

 アベル達に先ほどまでのあらすじを簡単に説明すると、近くのガイノス兵が街中から飛び去っていくのを確認していた。

「方角はどこだ?」

「おおよそ北東ですね。東京ではないかと」

 日本地図が正面の大きな画面に映されると、赤い点が少しずつではあるが確実に東京へと近づいていくのが分かる。

「機竜には連絡したのか?」

「それがですね……先ほどから連絡を取っているのですが誰かと話をしているのか全く反応が無いのです」

 ジュリは腕に抱えるエアロードとシャドウバイヤも意識が無く、深い眠りの中に入っているのを見ると頭にソラの姿が浮かんだ。

「もしかしてソラ君も眠っているんですか?」

「ああ、そうだよ。多分疲れていたんだろうな。あれでは当分目覚めんだろうな」

 アベルが心配そうな表情をしているが、どこか確信しているようで真直ぐ今やるべきことを見据えているように見える。

「多分ですけど……エアロードとシャドウバイヤや機竜が応答しない理由とソラ君の眠りに意味が在ると思います」

 ガーランドが「というと?」なんて言いながら顔をジュリに向け、ジュリはそんなガーランドの視線に負けじとまっすぐな視線を向ける。

「今ソラ君は竜達と話をしているんじゃないかな?今この世界にいる竜達………」

 ガーランドは「だったら」と言い始める。

「ここで話をすればよかろう。別段夢の中でする事ではない」

「だったら………もしかしたら他の竜もこの世界に来ているんじゃないですか?」

 アベルとマリアが「まさか……?」と言いながら近くの兵に対して会話をし始めるのをガーランドは「やれやれ」と言いながら信用していない。

 しかし、ジュリの予想は大当たりで世界中で竜達の反応が発見された。

「世界中に居ますよ。欧米や北米、南米からアジアの方まで至る所です。生存が確認されている竜は全部この世界に来ています」

「何だって全ての竜………聖竜も来ているのか!?」

「はい!東京皇居に居ます。多分ですが………皇帝陛下もいらっしゃるのでは?」

 アベル達ガイノス兵の全員が戦慄した瞬間である。

 自分達が守るべき皇帝陛下が東京に、しかも木竜が接近している場所に今現在いるかもしれない。

「今直ぐ皇帝陛下に連絡して帰るように進言しろ!」

「今できるなら苦労はしないさ!連絡が取れんのだ。東京一帯に通信妨害が起きているようだな………!クソ!なんとか皇帝陛下に連絡を取れ!」

 ガーランドとアベルが言い争いをしながらガイノス兵達が忙しそうにあちらこちらを移動しながら対応に追われている。

「近くのカメラでも動かせないのか?監視カメラでもいい」

「駄目です。皇居のカメラは別回線で外部からは覗けないんです!皇居近辺の監視カメラも皇居の方を移しているようなカメラは………」

 ガイノス兵が探し出すが、やはり通信妨害が邪魔をしているようでこれと言った通信手段が出てこない。

 木竜が飛び立ってから約一時間が経過した時、一人のガイノス兵が血相を変えて室内に突っ込んでくると息を整える暇もなく大きな声で最悪の情報を告げた。

「木竜が東京に砲撃攻撃を加えたと報告が!東京一帯は現在火の海状態です!」

「皇居は!?」

「聖竜が結界を張っているようで今の所は無事ですが、他はかなり致命的なダメージを受けたようです」

「これが王島聡が言っていたことなのかな?でも……あの人は二十四時間で崩壊させるって言ってた。これなら日本を崩壊させるのは簡単だけど」

 世界を崩壊させるのは難しいだろうと言うのがジュリの意見だった。

 部屋の中にレクター達士官学生が入ってくると、アベル達ガイノス兵の常に気を張り詰めた状態に全員が息を呑む。

 アプリは世界中に発信されているだろうが、それも使わなければ意味が無い。それほどの問題を世界中で起こすのは難しいだろう。

 そう考えた所で東京が炎上しているという遠くからの映像がようやく画面に映される。

 スカイツリーの上から木竜が東京中に砲撃をし、皇居では淡い光の壁が攻撃を弾いている。

「東京を中心に日本中で大混乱です!一部では警察や自衛隊が出動しているような事態になっているようで」

 ジュリはその一声を聞いた瞬間に大きな声を張り上げた。

「駄目!阻止してください!それが王島聡の狙いです!今現在『呪詛の鐘』が手元には無い自衛隊や警察が簡単に市民を押さえようと思ったら『呪詛の鐘』の音源データの入ったアプリケーションを利用するはずです!そうすれば王島聡の思うつぼです!」

「今直ぐやめさせろ!」

 アベルの叫び声が室内中に響き渡り、複数の人間が慌ただしく動き出すが何人かが舌打ちをする姿が見て取れた。

「駄目だ!大阪、福岡、名古屋、札幌など主要都市は既に『呪詛の鐘』による暴動に発展している。市民通しは勿論、警察や自衛隊も重火器を使った戦いに入っているようです!」

「こちらも確認取れた!ドンドン拡散しているぞ。ニュースだ!!全国放送で東京が襲撃しているというニュースが流れている!これが原因だ!」

「わざと東京が襲撃されているというニュースを流している放送局があるぞ!」

「東京の放送局です!王島聡だ!あいつ一部の自衛隊員や警察を操って東京を占拠したんだ!」

 ガイノス兵たちの焦りや動揺が士官学生にも直接伝わり、それだけで最悪の事態であると判断できる。

 すると、一人のガイノス兵が混乱する情報に更なる衝撃を加える。

「ワシントンD.C.に砲撃!!ホワイトハウスと連邦議会が崩壊しました!あ………!ニューヨークの国際連合本部ビルも襲撃!」

 全員の顔から血の気があっという間に失せていく。

 テレビ画面の1つには三つの拠点から火の手が上がっていき、市民が混乱の真っただ中にいるのが、見て取れる。

 すると、警察や米軍が画面内にも分かりやすく表れスマフォを取り出す姿が見て取れ、同時にジュリがそれを見ながら「駄目!」と叫ぶが、時すでに遅く『何か』を聞いていた市民や警察、米軍は突如重火器を使った戦いへと発展し、多少の市民は混乱の中でスマフォから流れてくる音を前にして頭を抱えながら苦しみだし中には重火器を奪おうとするなどの行動に出る。

「最悪だ………これじゃウイルスと同じだぞ」

「しかも問題を解決しようとして更に酷い事態に発展している」

 アベルとガーランドが殺し合う人々の姿を見ながらそう呟き、殺し合う人々は更にウイルスが感染していくように被害が増えていく。

「なまじ呪術に対する知識が無いから使う事に躊躇が無いんだな。いや、使えば簡単に操れると知ればそんなデメリット中々目に入らん」

「ああ、この分だとアメリカだけじゃあるまい。そのうち他の国にも砲撃し始めるぞ」

「このやり方ですと昼だろうが夜だろうが関係ないですよね?」

 ジュリの言葉にレクターが「だな」と言いながら首を縦に振る。

「首都が攻撃されたとニュースを見たらパニックになるだろうし、下手をすると起こされて暴動に巻き込まれる」

「阻止しようにも今から下手に近づいても木竜を阻止する方法なんかないだろうしな」

 ガーランドの言う通りでこの事態を阻止する方法なんて存在しないに等しい。

 誰もが黙り込み、阻止する手段が思いつかない現在ソラは未だに眠りの中にいた。


続きはお昼ごろに上げようと思います!では!

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