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竜達の旅団≪ドラゴンズ・ブリゲード≫ 【呪詛の鐘の章】  作者: 中一明
ジャパン・クライシス
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空は海を羨みながら海は空を羨む 3

最新話となります。今回は会話回となります。

 ソラが初めてで最後の剣道の試合に出たのは小学校低学年の時、道場からの出身者としては海と共に出場し、ソラが全国大会まで出場したのは同期のメンバーでは噂の種である。

 その理由はソラが二回戦前で棄権したのが理由。

 その時の事は本人には辛い思い出であり、後にアベルに直されるまで続く戦いの癖へと繋がっていく。

 その理由とは一回戦の相手を怪我させてしまい、一回戦の直後に棄権していこう本人は試合全般にはかかわらないようになった。

 それは皇光歴の世界に言っても最初の大会には興味もわかなかった。

 しかし、楽しそうに戦う彼らの姿を見て、怪我を負いながら悔しそうにして、ある者は傷だらけになりながら全身で勝利を喜ぶ姿を見てソラ自身の中に存在する『闘争本能』が試合に出てみたいという気持ちを駆り立てた。

 二年生の時は実際に参加し決勝戦でレクターに敗北したときは悔しさと同時にやり遂げたという達成感を初めて感じた。

 リベンジを誓った三年生ではレクターがくだらない理由で棄権し、その後に乱入してきたガーランド相手に苦々しい思い出を植え付けられてしまった。

 そうやって過ごしてきた三年間はソラに剣術の腕を上達させるにいたり、戦う楽しさを学ばせるに至る。

 しかし、海はその反面歩くこともできず同じ場所で足踏みばかりをしており、本人はそのことをずっと後悔している。

 何をしていても、どんなに剣を振るっても楽しいとは思えず、その気持ちが高いにも影響を与えていて、中学に入ってからは全国大会に行ければいいぐらいの成績しか残せなかった。

 学業でもきちんとした成績を残せと親から言われ、剣道でも全国に行けなどと要求に板挟みになり、本人はそのことをストレスにしている。

 親に会いたいという気持ちを心の奥に抱き、今の親からくるストレスや、自分の行動に後悔する毎日。

 どんなに悔やんでも、どんなに言い訳を並べても心が晴れず、その上何度も自分を攻め立てる。

 剣を振っている間だけは忘れることができ、家族から逃げることが出来た。

 海はそれ故に闇に堕ち、ソラは闇に堕ちた海を救いたいと願うようになった。

 しかし、その為には海の事も王島聡の事も知る必要がある。

 相手の事を知らないまま戦っても、海も誰も救う事は出来ない。

 闇に堕ちた者、操られた者を救う術は相手をよく知る事、操られている者を操っている者をよりよく知る事が救う術を身に着けるという事。

 深き闇を知る。

 海の闇、王島聡の闇、日本の闇、世界の闇、呪詛の鐘が巡る事件の闇を覗き見る。

 ソラが、何より堆虎達が繋ぎとめた運命と宿命、今何よりも彼がするべき事でもある。

 全ての闇を自分の手で探る事、それをするためには皆で見る必要がある。

 ソラはレクター達を呼び出し、朝比と共に知るための一歩を踏み出す。

 どす黒い闇へと。


 レクター、ジュリ、キャシー、マリア、シャドウバイヤとエアロードを呼び出して俺と朝比姉は改めて今回の事件の根底と知るべき闇を探る事を決めた。

「改め整理すると、今回の事件には『呪詛の鐘』が関わっていることは間違いない。そして、仮説になるけど多分『呪詛の鐘』の現在の所有主は『王島聡』だろう。そして、海はその手中にあると考えるべきだ」

「フム。しかし、呪詛の鐘の効果があるとしても、完全にその人物を操る事が出来るものかの?効果が効くかどうかはその人の考え方と言うか、思考などが関わってくるぞ。強い意思を持つと操りにくくなるしの」

 マリアの言い分も最もである。

 しかし、その点についてはある程度説明した朝比姉に仮説が存在していた。

「ソラの『竜の欠片』だっけ?あれって所有主の適正みたいなものがあるんでしょ?低い人間はフルには力を振るえない。でも、ソラのように高い適正を持つと多くの力を使えるようになる。だから『呪詛の鐘』も同じじゃないかって思うの。要するに『王島聡』は『呪詛の鐘』の適合者とでもいうべき存在。そして、海自身が元々操りやすかったというのも要因じゃないかって」

「なるほどです。ソラ先輩達が使う魔導と同じで呪術も根源は同じという事ですね。エアロード様とシャドウバイヤ様はどう思いますか?」

「フム………確かに、その二つは竜が根源に関わるという点は同一の存在でもある。確かに、魔導がそうなら呪術もそうだという証拠にもなるだろうな。今まで調べた人間がおらんから何とも言えんが。何せ、私もシャドウバイヤも魔導に関わる竜で、呪術に関わる竜はほとんど存在せん」

 シャドウバイヤも同意するように頷く。

 なら証拠として確認するのは困難だろうな。

「その仮説なら確かに操りやすかった海というソラ君の後輩や、操りにくかった万里さんの一件にも説明が付きますね。多分仮説としては正しいと思います。ただし、仮説を結論に変えるには証拠がありませんから何とも言えないですけど……」

「じゃな。ジュリの言う通りじゃ。この話を仮説から証明の結論へと持っていくことは出来そうにないぞ」

「その必要はないんじゃない?ソラと朝比さんの言う通りでしょ?そうだと仮定して動くことが大事なんだよ。どのみち手術が終わって意識が戻るまでは万里さんに接触できないしさ。海って人や『王島聡』っていう同級生が今どこにいるのかが分からない以上はこっちから動きようないわけだし。なら、今は対策を講じる必要があるとおもう」

「だな。朝比姉の協力も得られたし。こういう調査では警察が一番有利でしょ?」

 朝比姉は胸を叩きながら「任せなさい!」と力強く堂々としていてくれる。

 こういう時の朝比姉は意外と頼りになる。

「まずは王島聡の事より海が操られた経緯と万理の両親の死の因果関係を探るべきね。海の操られた経緯はソラのお父さん達が調べてくれているからのけるとして………こっちは万理の両親の死を調べましょう。海の方が分かれば王島聡の経緯も分かるでしょ」

「だね。だからまずは三年前の万理の両親の死の経緯と『呪詛の鐘』が事件にどうやってかかわったのかを知るべきだな」

 俺は携帯を起動させながらまずはと三年前の事件を探る為に色々とネットを探る。

「事件当日。『呪詛の鐘』が事件に関わったのは間違いないと思うぞ。ゲートの仕組みじょう超常的な力が必要だ。それも空間を振動させる類がいいだろうな。その条件を当てはめたうえで『呪詛の鐘』は非常に便利な力だろうな」

 シャドウバイヤの意見にジュリとマリアが黙って頷き、俺は言っている事を思考してみると直ぐに理由が分かった。

「そうか!音っていうのは要するに空気の振動だからな。空間を振動さるというのも可能というわけだ。なら、やはり事件当日までは日本政府が管理をしていたのは間違いないな。クーデターを引き起こしていた一派の情報だと、こちら側と何度も綿密に計画を立てていたらしいし」

「だね。ゲートの仕組みにいち早く気が付いた革新派の人達が手伝ったのなら簡易型のゲートを完成させるには十分だろうね。問題はどうやってゲートを開くかという事だけど………」

 ジュリの言いにくそうにしている正体が俺にはよく分かる。

 その為の犠牲に万理の父親が選ばれたというわけだ。

「どうやって調べるの?馬鹿正直に聞くわけにもいかないよね?」

 レクターの言う通り馬鹿正直に真正面から行くなんてことは出来ない。

 しかし、手が無いわけじゃない。

 万理が両親に死に不信を感じていたのなら自分で調べていたかもしれない。

「万里の家に行ってみよう。一人で何かを調べていたかもしれない。問題はどうやって調べるかという事だが………俺に妙案がある」

 俺の妙案という言葉に全員がのどを鳴らす。

「万里の知り合いだと説明し、万理が危篤状態で服などをもらいに来ましたと言って部屋に入れてもらおう」

「「「意外と真正面から攻めていると思う」」」

「なら他のアイディアを提案してくれよ」

「「「まあ無いけどさぁ」」」

「なら決定だな」


今回の感想は次にでも!

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