なぜ草原に?
「うわぁ…弘樹…お前また科学本買ったの?見てるだけで目が回るよ」
今引いているのは俺の小学校からの友人の悠斗だ。
「これが趣味なんだよ、そもそも科学本って一括りにするな!俺が好きなのは構造系の本だ!」
「なんでもいいわそんなもん!本当お前そういう本好きだよな」
「あぁ、全然覚えられないがこういうのを読むのが好きだな」
「お、おう…そうか…あ!やべ、バイトいかなきゃ!またな!」
これが向こうでの最後の会話だ。
そして、なぜ俺は草原にいるのだろうか。とりあえず言っておこう。草。
俺は昼に本屋で友人と遭遇し、友人に引かれた後に店を出た。夢かとも思ったが感覚がリアルすぎる。
「…どういうことだ?この間友人に無理矢理読まされたラノベ本の展開とそっくりだ…」
「この場合ステータス画面があったりするのが定番だよな…ステータス(小声)」
ヒュッ…
「出た!拍子抜けする音だな…これどういう原理なんだ?色々書いてあるな…年齢に種族、HPにMP、Lvに身体能力は数値化した情報か…魔法適性とスキル、称号…いやゲームかい!」
1人ツッコミは逆に恥ずかしい事を知った。
「現実味のない事が起きていると逆に冷静になるんだな、とりあえず魔法使ってみるか。MPとHPは両方とも1000か…いくらぐらいMP持ってかれるんだろう」
《習得している魔法がありません。》
「おぉ、なんか表示されてる。
なるほど、習得しなければ使えないのか…スキルは使えるのか?」
「スキル想像作成か、とりあえず使ってみよう」
《小型ナイフ作成可能。必要MP50》
《作成しますか? はい。 いいえ。》
「はい」
《作成成功。小型ナイフをアイテムボックスへ収納。》
心の中で叫んだ。
(いや、ゲームかい!本日2度目)
「アイテムボックスまであるのか、念じれば出てくる感じかな?」
「あ、出た。とりあえずさっきの取り出そう」
手の上に出るように念じる。なんと楽な世界なのだろうか。
「すげぇ!本当に出てきた!想像通りだ!そういえばアイテムボックスリストに他の物も入ってたな…スマホにさっき本屋で買った本か」
「手元にないと思ったらそこに入ってたのか…良かった、もしそれがなかったら今頃発狂してただろうな」
「どこかいかなきゃな…町に行きたいけど友好的とは限らないし…なんか飛び道具があればな…」
「…あれ?たしか俺のスキルって想像作成だったよな…銃…作れるんじゃね?」
《銃作成…情報不足により作成不可》
「なるほどな…構造の知識が必要なのか…たしかスマホにそんな本入ってたな…」
《銃作成。構造解析完了。作成可能必要MP120》
《作成しますか?はい。いいえ。》
「はい」
《作成成功。銃をアイテムボックスへ収納。》
「銃の説明も付いてるのか…」
「MP消費でも撃てて実弾でも撃てるのか…強いな、
MP消費だと1発で3MPか」
《弾作成可能。構造解析済み。50発作成必要MP60》
「実弾想像の方が安く済むな、とりあえず作成しとこ」
「移動手段も必要だな…バイク作成!」
《バイク作成可能。構造解析済み。必要MP250》
「ん?おれ銃の本以外開いてないよな…なんで…まさか触れた物の情報を解析できるのか?!チートじゃねぇか…」
「とりあえず作成っと…説明も付いてくるのか…スキルってめちゃくちゃ便利だな」
「…え?MP消費じゃなくて大気中の魔素を消費って…燃料いらずじゃんか!てか魔素ってなんだよ!」
「驚いてる場合じゃない…どこか人がいる場所に行った方がいいよな…よし…右に進もう!」
運に任せるしかない、バイクに跨りエンジンをかけ移動し始めた。
しばらく進んだところで森に直面した。
森の近くに川が流れているのを発見した。
「川…魚…いるよな?食えるかな?」
「釣竿作成!あとライターも!」
「食糧と水は何とかなりそうだな…日が暮れてきたしここで寝るか…テントが欲しい…!」
日が暮れて気づいたことがある、地球と違い月が二つある。
明らかに別の惑星だ。
「テント作成!やべっ!MPあと310しか残ってねぇ…慎重に使おう…」
「…あれは人かな?こっちに近づいてきてるな…」
近づいてくる人影の正体は何なのだろうか。そんなことを考えながらテントの中から人影を見続けていた。
向こうもこちらを見ているようだった。