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説明回より説明多いです、読みづらくて申し訳ないです。

 少しだけ粘ってみたが、やはり女神とは強いものだった。


「男と二人でなんて嫌じゃないのか?」

「お主と共にいるだけで数十年の感動を得られるじゃろうな」


「女神が個人といてもいいのか?」

「ワシは元より気まぐれに人と過ごしたり、人の前に顕現したりしておってのう」


「ボクはしばらく元の場所に帰るつもりはない、もしかするとこの世界に骨を埋めるかもしれないんだぞ?」

「それは重畳。ワシはお主の一生を眺められるならばこれ以上の楽しみは今のところないからのう」


「月の女神なんだから神殿もあるんだろう?管理とかはいいのか?」

「本殿はまともな人の子には辿り着けぬ場所にある故、ここ百年ほどは誰も来ておらぬよ。もし誰か来たとして、すぐにわかるしすぐに戻れるのじゃ。あと、別殿もあるが、王都や神都にしかないのでな、ワシが出向かねばならぬこともないし、信仰の問題も起きぬよ」


「……神と一緒にいることに問題は生じないのか」

「そんな問題を起こす不敬者くらい、ワシに任せよ、お主の邪魔にならぬよう、努力はするでのう」


「…………ボクは、旅をするつもり、だぞ?」

「なれば是非ワシと一緒におる方が良いのではないか?この世界での過ごし方から基本まで教えられるぞ?なに、対価はお主と過ごせることで充分得られようて」


「……わかった、もう好きにしてくれ」

「話がわかるのう、これからよろしくの、瞬よ」


 はい、ダメです。拒否しようとしても流れるように返答し、嬉しそうにこちらを見てくる美女を無視できるはずないじゃないか……

 デメリットなんてほぼ打ち消すメリットの数々まで並べられてはもう降参するしかない。


「じゃあ早速だが、これからどうすればいいのか教えてもらえるか、ティエラ?」


「うむ、ならばまずは瞬にはこの世界に慣れてもらおうと思うのじゃ。さすがに初めからワシと共におることを質問攻めにされるのも嫌じゃろうし、【王都リーフィス】や【神都クレア】は追々行くことにするとして、気楽に街を楽しめるじゃろう【フェリス】辺りがいいかのう」


 うん、どんな場所かさっぱり見当がつかない。お任せしてしまおう!


「うん、ティエラのオススメに従うよ」


「おおそうか、では張り切って行こうかのう、【色街フェリス】へ!≪水面が映すは月、揺らぐ月はそこにありてそこになし、其はそこへと繋ぐ道となる≫」


「えっ、ちょっと何そ――」


 視界が、白く――




 †††††††††††††††††††




 なってはいないな。


「待て待て、待ってくれティエラ。色街、だと?」


「うむ、男ならそういったものは好きじゃろう?それにそういった場所はできることも多いぞ?」


 ナニができるのかさっぱりです。


「まあ色街だからといってそういうことを致す時にはワシにも一言言ってから行って欲しくはあるが、羞恥の都合なら目を瞑ろうて」


 にまにまと笑うティエラをひっ叩きたくなるが、ぐっとこらえて問う。


「今気にするところはそこじゃないだろ、ボクたちの旅立ちが色街からというのは気にはなるけどそこまででもない。色々試してみたいことはあるし、それに取り掛かりたいんだが……」


「うむうむ、一応街から多少は距離のある場所じゃから問題はないじゃろう。お主の希望に合わせてこの場を選んでおるよ」


 やはり先ほどは冗談が強かったようだ。真面目な顔でこちらに向かうティエラにどきどきしつつも、聞きたいことを先に聞いていく。


「いくつか聞きたいんだが、まずはさっきの呪文みたいなものは何だ?」


「ああ、あれは圧文と言っての、圧力を行使して力の顕現をやりやすくする為に唱えるのじゃ。恐らくは瞬の言うじゅもんとやらと同じものじゃろう」


「やりやすくする、ということはなくても問題ないのか」


「そうじゃの、まずはわかりやすく実践してみようかの?」


「ああ、頼む。ボクもやってみたいからね」


「≪猛き火は司りし炎の神【ラン】の御業なり、燃やし、燃えよ≫」


 ティエラがそう圧文を唱えると焚き火くらいの炎が生まれた。


「まずは神の力を借りて現象を起こす圧文を使ってみたのがこれじゃ。圧文は旋律が二律以上で消費する圧力が減少するのじゃが、神の名と力を借りることでさらに減少するのじゃ」


 ふむふむ、旋律とは呪文の詠唱のことで、一律二律と数えると。

 短縮や無詠唱もできるけど、圧力の消費を減らすなら長い律数を増やせば増やすほど減少して、現象に応じた神の名と力を最初の旋律に含めるとさらに少ない力で発動できるようだ。

 説明をしながらティエラは神の力を借りた場合、長い旋律を使った場合、一律の短縮旋律の場合、無詠唱の場合の4パターンで焚き火を生み出した。


「そしてこれを使ってこんなこともできるのじゃ。≪火を四方へ、炎はさらに猛威を奮い脈動す、燃えよ、喰らい尽くす炎の顕現≫!」


 唱え終わると同時に4つの焚き火が消え、その場に炎の龍が現れた。意思はないようだが、膨大な熱量と圧倒的な存在感を持つ龍は、


「≪炎の化身たる炎龍よ、この者に加護を、焼き尽くす力による暴虐からの守護を≫」


 ボク目掛けて龍が降りてきた。慌てるボクをティエラはウィンク一つで押し留め、龍はボクを少しも焦がすことなく消失した。


「な、何だ今のは……」


 呆然と呟くボクに、くくくと笑いながらティエラが答える。


「ついでなので炎の加護でも与えておこうかと思ってのう、これでお主はワシか炎の神が解除せぬ限り加護の力により炎の被害に遭わぬ。喜んでいいのじゃぞ?加護は神に属する者からしか授けることはできぬものでの、滅多に加護持ちはおらぬ」


 ありがたい、けれど……


「せめて何か一言くらい先に言ってくれないかな、結構あれ怖かったぞ……」


 少々顔が青ざめていたと思う。


「む、すまなんだ、そうじゃの、お主はまだ来たばかりであったな……」


 しゅんとするティエラが可愛いので許した。




 †††††††††††††††††††




「それで、聞きたいことが加速度的に増えていくんだが」


 加護についてもだが、何故他の神の加護も与えられるのかとか、龍の召喚についてや、圧文はボクが使う場合どうすればいいのかとか……


「いくらでも答えはするが、ずっとここで留まってるのも嫌じゃろう?せっかくじゃから瞬も圧文を使ってみるとよいじゃろう」


「そうだな、聞きたいことの上位だよ、それは」


 もうさっきからワクワクしっぱなしだからね!


「圧文に決まりは少ない。行使する内容の属性が自分の意識の中で不和がないか、保持する圧力が足りるかの二つじゃ。足りねば発動しないので不足分を律数を増やして消耗を減らすが、適当すぎる圧文じゃと発動内容に影響が出るのじゃ」


「ずっと同じ圧文で旋律の数を増やしてもダメってことか?」


 うむ、と頷くティエラ。


「今のお主なら圧力が足りぬことはないじゃろうが、属性の問題だけは理解がどれだけ同じかによるからのう。一応こちらに来てもらった時にワシから世界の言語と意識の把握を繋げる加護は与えておいたのじゃが……」


「待って」


 首を傾げてこちらを見るティエラ。うん、美人がやると映えるね。じゃなくて、


「世界の言語と、意識の把握、って何?」


「おお、そういえば何も話しておらんかったな」


 ふふふ、と笑いながらティエラが説明してくれた。

 世界の言語とはボクの使ってた言語、つまり日本語と、この世界の言語【ファル語】を関連づけてボクが理解できるようにしてくれたらしい。だからファルテイナ特有の言い回しでも理解できるようになったようだ。もちろん逆にボクが話すこともファルテイナの人には問題なく伝わるようだ。

 意識の把握とは、この世界にある属性、つまり神や圧力に関する力への理解力を与えてくれたらしい。これがあれば問題なく圧文を使える、らしいが。


「それチートじゃない?」


「いやいや、何も理解できねばこの世界で何もできないようなものじゃからのう。せっかくワシに応えてくれたのじゃからそれぐらいは小さな加護じゃよ」


「あれ、でもたまに微妙に単語が不安定な時なかったか?」


 厨二病とか呪文とか、微妙にニュアンスが伝わってなかったような気がする。


「ああ、それはこちらの世界にある言葉に置き換えずに使ったからじゃの。同じものは置き換えねばこちらの言葉に変換されてしまうからのう。まあ誤差の範囲じゃし、ワシが手を貸すので大したことにはならんじゃろう」


「そういうものなのか……確かに理解できるのはすごくありがたいから感謝するよ、ありがとう」


「ふふふ、ワシが見込んだ者なのじゃから多少はのう?さあ、圧文を試してみようかの?」


 ああ、異世界に来た実感がふつふつと沸き上がってくる。

 今からボク、いや我は力を行使するのだ!

次回、厨二病主人公、念願叶う!

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