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VS生徒達


 彼女達、シュリとカナは俺の本当の親子じゃない。血は一応?がってるが、遠いな。

 小さい頃に遊んだり勉強みてやったりしていたせいか2人とも俺を父と呼ぶようになった。父親が…国王陛下が亡くなっていたせいもある。


今この国はシュリの母親、女王が治めている。そして女王陛下、クレイアは、よーく俺に厄介ごとを押し付けてくる。この学園に来たのもそのせいなんだが…。



「センセ~そんな顔で生徒を見たらダメだぞー?」

「そうです、マス…先生。見守るべき生徒にその目は駄目です」

「ゴミを見る目になってんぞ?」

「ふむ…私はよく見る目な気がするが…」



 なんでコイツ等ここにいるんだ?


「しかもご丁寧に制服まで…ビビは人型サイズにまでなって…」

「アタシだけ仲間はずれ禁止ー!」

「クレイア女王陛下に許可は頂いています。マスターのサポートをするようにと」

「面白がってたなぁあの女王様。あ、流石にアカとクロは置いてきたぞ」

「手伝うぞ!困った時はお互い様だとコータはいつも言っているだろう。私の好きな言葉だ」


 駄目だ。このメンバー面白がってる…そして目立つ。俺はコッソリと厄介ごと終わらせて適当に先生やって帰る予定だったのに…。


「マス…先生はお気になさらず。交流生ということで他国からの客人のような扱いになっています。ですからどの授業も選択可能です。自分達で行動し役立つ情報を仕入れてくる予定です」

「いや、うん…ありがとう。ナナやビビはいいんだが…ヤシャとキューは学生に見えないから駄目だろ」


 教師側だろお前らは。

 ヤシャとキューはお互い顔を見合わせるとニッと笑って…姿をドロンと切り替えた。ちゃんと学生に見える年齢に。まぁ…だよな。悪魔とドラゴンなら人型の外見変えるのなんか楽勝だわな…。


「問題のなくなった所でコータの授業は何処でやるんだ?」

「どこって…4年のAクラスだけど…ってまさか」

「よし、4年のAクラスだな」

「何処だっけ~?」

「手前の階段を上がって右です」


 おいっ!情報を手分けして入手してくるんじゃなかったのかよ?!完全に面白がって来ただけじゃねーか!!

 そう叫びたかったが、近づいてくる気配に口を閉じるしかなかった。


「…ホードラーン先生。授業が始まりますよ。今日は初日ということもありますし、自由にしてくださって結構です。私は後ろで控えています」


 ミリス先生。訓練場の出来事などなかったかのように顔合わせた瞬間、ツラツラとそう述べた。…よかった。あの4人とのやり取りは見えていなかったようだ。

 対決したことで少し敵意は少なくなっているが目は挑戦的だ。自由に、ね。うーん。教師なんてしたことないし、何より貴族の子供相手となると面倒ごとの予感しかしない。やるだけやってみるけどさ。




 そしてやってきました4年生Aクラス。見知った顔が6つもあるけど気にしない。生徒は全員で20人+4人。あらかじめ俺の説明はしてあるんだろう。興味深そうな顔、無関心な顔、侮蔑をこめた顔…大体この3つか。


「初めまして。ホードラーンだ。本日からひと月の間こちらでミリス先生と同じ魔術式の授業を担当させてもらう。よろしく頼む」


 本の作者として来ているのでそっちの名で通す。ニコニコと俺を見ているシュリと胡散臭そうな顔をしたカナがこっちを見ているのが印象的だ。さて……


「俺は君達のことを知らない。だから自分が一番得意とする魔術を見せてほしい。そこから魔術式の話や改善方法などの将来役立つ事を教えたいと思う」


 なんせ短期間の先生だ。やるんだったら子供のためになることを教えたい。

 ほとんどの者が貴族や王族である為実戦に出るのは極僅かだろう。だが、魔術の扱いが上手くなればもし何かあった時でも役立つはずだ。


 俺の発言にざわめき始める。作家で来たんだから講義かと思いきや実戦形式。そりゃ混乱するだろう。


「少しいいだろうか」


 そう言って声をかけてきたのは、金髪に碧眼。いかにも王子ルックの顔立ちの少年だ。確か…隣国の第一王子で、オヴァール・ロウ・スティーブ・フルスワだったかな。


「はい、なにかな?オヴァール王子」

「…貴方は我々の実力を見せてほしいと言った。僕達は将来国を動かす者がほとんどだ。魔術は代々受け継がれ、血も絶やさず魔力も濃くしていき、この学園でもAクラスという実力者ばかり。貴方の本は読ませてもらったが、少し魔力効率が良くなる程度だろう。我々の実力を見て貴方が改善策を投じるなど、到底出来るとは思えない」


 …なるほど?

 彼は…いや、同意してる奴がほとんどか。このクラスは相当自身の魔術に自信があるらしい。国のお抱え魔術師とか特有の魔術とか、きっと幼少の頃から学んでいるんだろう。だが……


 チラリと他のメンバーを見る。シュリは驚いた顔で、カナは呆れた顔でオヴァール王子を見ている。そしてヤシャとビビは面白そうに。ナナとキューは…怒ってる?怒ってるな?頼むからじっとしててくれ。

 隠蔽の指輪をしているので俺の魔力は人並みに見えているせいもあるだろう。…作家が権力者達に偉そうに実力見せてみろと言ったのだ。反発は必然だろう。俺も一応覚悟はしてたんだぞ?だから抑えてくれ。


「そうだな。出来るかは分からない。ただ君達の実力を知れば俺も今後どういった姿勢・・で講義が出来るか分かる…どうだろうか?」


「おいおい、先生泣いて帰るんじゃないか?」

「ぬるい授業ばかりだったし、たまにはいいかも」

「作家って魔術上手いの?」


 ザワザワクスクスといった声が聞こえてくる。特にミリス先生からのツッコミは入らない。自由にやっていいという言葉は嘘ではないんだろう。…って、ナナ!キュー!殺気は抑えろ!!


「…いいだろう」


 オヴァール王子はそう頷いてみせた。






**






 そしてやってきました。再びの訓練場。ちゃんと許可はとったぞ。

 皆それぞれ杖を持ってきているが数人変り種もいる。少し楽しみだ。的を用意すると生徒達に向き直る。


「交流生は見学するように」


 そう言うと4人が4人ショックを受けた顔をした。…あのな。お前達が実力出したら学園ごと吹っ飛ぶからな?自重してくれ。


「じゃあオヴァール王子から…」

「オレからやるぜ」


 ズイっと一歩前に出てきたのは青い髪を上げるようにセットした目つきの悪い赤い目が特徴な勝気そうな少年だ。えーと…確かこの国の公爵の息子さんだな。名前はギルベルト・コクルド。



「オレの家は炎を得意とする魔術師の出が多くてな。歴代の中でもオレが最高のデキだって言われている。その実力見せてやるよ!炎よ!全てを焼き尽くせ!」



 そう言った瞬間、式もなく彼の目の前に赤い魔術陣が浮き上がる。そして巨大な炎はまるでビームのように真っ直ぐ俺に向かって発射された。




 ゴォオオオオオオオオ!!!!!




 視界が炎に包まれる。同時に何人かの悲鳴が聞こえた。そして暫くすると炎が途切れた。


「はん、ご立派な作家か学者だか知らねーけど、大したこと、な…い…」

「発動は早くて問題なし。ただ粗さが目立つな…もう少し丁寧に魔力を端から端まで流せば維持も威力も上がるだろ」


 魔術式も改良出来る所はあるが、どうも代々伝わるものっぽさから口を出さない方がいいだろう。きっといつか誰かの代で改良されるだろうし。彼が気づけばいいだろうが…うーん、難しそうだな。

 さて次は…と思ったら生徒達が唖然としていた。あれ?


「お…ま…お前っ!イカサマしただろ?!魔導具つけてたんだろどうせ?!あの炎の中無傷なんてありえねぇ!」

「魔導具?ああ、ギルベルト君杖の代わりに腕輪を媒介にしてるな。補助の作用もあるから大事にするといいぞ」


 何か見たことあると思ったら俺がクレイアに渡したやつだった。臣下に渡すって言ってたし、息子が受け継いだようだ。

 顔を真っ赤にしたギルベルトがまだ何か言おうとしたが、それより先にシュリが前に出た。


「次はわたくしがやります」


 すると周りが「シュリーヌ様が…?」「魔術で上級生で負かしただろ?確か」「今日も麗しい」「あの男終わったぞ」となかなか高評価の声が聞こえる。うん、流石はシュリ。お父さんは鼻が高いぞ。



「行きます!」



 そして彼女は杖を取り出し俺に向かってダッシュ…って、何でみんな俺に攻撃してくるんだよ?!的狙えよ!


「風よっ!」


 あと距離が3メートルほどの所でシュリは魔術を発動させ足元に風を叩きつけると宙へ舞った。クルリと回転しながら今度は言語ではなく指先で密かに書かれた術式を発動。氷の魔術が頭上から降り注ぐ。防御壁を張り、それを防いだ。

 その間に着地した彼女がステップを踏み術式をまた発動。今度は土か。ボコっと足元に穴が開くが気づけていたので難なく後退して避ける。…あの、戦闘訓練じゃなく魔術の威力を…


「やぁぁ!」

「っお」


 バチバチよ紫色の稲妻が走る。それを杖に圧縮させ剣のように形を作り上げ斬りかかる。シュリの得意の稲妻剣である魔術だ。以前よりも形が綺麗で威力も上だな。触れれば丸焦げ。斬られても黒焦げ。余波でも麻痺するという結構えげつない技だったりする。ので、当たりたくないです。


「きゃっ?!」


 彼女がしたように瞬時に片足の所に穴を作る。踏み込んできたシュリは一気に体勢を崩され維持していた魔力が乱れ、剣が消える。倒れこみそうになる所を腕を引っつかんで庇った。


「威力と型は申し分ない。あとは集中力と周りの確認な」

「…はい」


 しょんぼりとしたシュリに思わず頭を撫でそうになるが先生だったことを思い出し抑えた。よし次、とする前にシュリが勢いよく生徒達へ向き直り、告げる。



「彼は…ホードラーン先生はわたくしの魔術の先生をしている恩師なの。だから、これ以上先生を侮辱するのならわたくしに勝ってから言いなさい」



「いやあの、勝負じゃなくて授業で実力を見せてほしいだけなんだが…」


 なんでバトルロワイヤル形式にするんだ?

 生徒達はシュリの言葉に動揺を隠せないようだ。おい見物者4人、音なし拍手しない。


「あ、なたが…シュリーヌ王女の…魔術の師、なの、か…?」


 そして何故かオヴァール王子が恐る恐る尋ねてきた。


「一応」


 魔術の使い方やコツなど小さい頃よく教えたな。魔力も多いし筋も良かったから楽しかった。肯定の頷きを返した瞬間、オヴァール王子は膝を折った。え?



「生意気申して申し訳ありませんでしたっ!!!」

「ええぇぇぇえ?!」



 まさかの土下座だった。どうしてそうなった?!


「アホらし…」

「チッ…」


 カナは呆れて、ギルベルトは舌打ちし、他の生徒は固まったままその日の授業は終了した。



読んでくださりありがとうございます。

シュリちゃんはちゃんとスカートの下にスパッツ履いてますよ。

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