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第九十六話 山口の同期生 中村・・・
どうか、無理せず、マウンドにあがるときは歴代選手の姿を感じてその甲子園というマウンドで9回を勝利に何回も目指すことは・・やはり、この投手力の厚みに答えがあるのだと秋の中村の投球を見ながらキャプテンは思っていた。
「今日も投球お疲れ様・・。」
「ありがとうございます。」
水分補給をしながら中村がベンチに座る。
「山口、直伝のフォークがさえるな。」
「はい・・。北海道で山口が学んだボールで三振を取りに行くと北海道の野球が見える・・。あいつ、今北海道に帰りたいと思っているんじゃないんですか?」
7回の投球で中村は投げきった、ベンチに座る時間をできるだけ短くしてテレビの映りにもスカウトにもいいように意識をしていた。同じ年で日本一を取ったのも甲子園に出場したのも、独特の仕草で収める中村の考えは本音を出す、いい投球であり機会だった・・。
中村は信じていた。マウンドへ登る前に山口の怪我は必ず治ると。




