第七十四話 私の中の甲子園
太田が山岸から茜君が笑顔で病院を出てきたのを聞いた。
「よかったと彼女は言った。」
「茜君は一切、試合の結果を知らなかったのに・・。よくここまで書けたわね。まるで信じて勝利を呼び込んで、彼女に知ってほしい一言や状況を考えて退院日を先生と相談したみたい。」
「康太、腕と右足のしびれがあったらすぐ言うのよ。」
「自分に負けちゃだめよ。」
「仕事の中で、自らを見つける・・でも学生は学生・・夏からの成長があってのチームであり・・いや、それが学校だと私は思うの・・。」
太田は言った。
「太田さんは日本一できるマネージャーですね。」
グローブを手に持つ康太。
「行ってきます。」
山口はマウンドへ登った。
「7回まで152球・・。」
新聞を見る山岸。
「甲子園、お前、茜君の分も見て行ってくれ。監督はもう見に行くなとは言ったが、俺はそうは思わない。甲子園で茜君の分も見てこい。それが父親の当たり前としてのお前への言葉だ。」
「最悪の甲子園にしないでほしい。」
「先生からは言うなって言ったが茜君はそう言ってたそうだ。今はマウンドに登る投手をただ応援してやれ。」
「・・・甲子園行ってくる。」




