68/270
第六十八話
「茜のお父さんが監督と話していたけど、元々実家でバイトをしていた女性の前で失神したとか。」
「女性?」
「とにかく、茜くんだけではなく山岸さんのケアも重要だわ。例えば、甲子園で買ったグッズを力を込めて握らせるとか。」
「それいいですね。」
「さっき彼女にそう電話しておいたわ。」
「そうですか・・。」
「今年の甲子園、山岸さんだけが恐怖の甲子園大会にするのには、茜くんの軽い症状だったとしても避けたい。」
「早く、彼女の顔も見ておきたいわね。」
「そうだ、ユニホームを着た茜の写真、山岸さんに送っておこ。」
「大会が終わるまで秘密にしようと思ったんだけどね。」
「山口君。」




