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第六十七話
「監督。」
「私は選手と共には行けないが茜くんに見舞いに行く。太田、頼んだぞ。」
「はい。」
太田は答える。
「康太。」
「はい。」
「今、茜に必要なのは言葉だ。」
「私も手紙を用意している。携帯に送っておくから読んでそれをもとに手紙をつくって渡すようにしてくれ、太田、康太の手紙を読み返すようにしてくれ。」
「わかりました。」
涙をハンカチで拭く太田。
「すみません、泣いてはいけないのに。」
「そんなことはないよ。」
山口は言った。
「そうだ。」
監督は言った。
「茜。」
山口は心配そうにそう呟いた。
「やはり、無理がたたったのよ。」
「はい。」
「山岸さんにも連絡した。彼女悲しんでたわ。健康上問題なかった甲子園観戦であったけど、責任を感じているみたいよ。」




