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第六十五話 茜と山口の試練
アイスノンの首枕と氷を持って実家へ向かった。
「ただいま。」
2時間後。
「茜君、」
店にいたのは元アルバイトの鷲井さんだった。
「鷲井さん、どうして。」
「いや、たまたま、横浜に用があって。」
「わ、しい、さん。」
店の入り口で倒れこむ茜。
「茜君!」
(おれ、水もアイスノンも使ったのに、、なんで。)
十二分後、救急車のなかで茜は目を覚ました。
「どうやら熱中症ではないらしい。つもり積もった疲労とバスと電車の乗り継ぎで体調を壊し、店に入った途端疲れが出た。軽いかもしれないが入院が必要だ。」
病院にいる茜に父は訪れた親戚や同じ学校の駆けつけた生徒に言っているのがわかった。
「軽い失神と軽い脱水状態にある。」
「何より、倒れてから十分前後で目が覚めたんだ。入院治療が必要だが後遺症も無さそうだ。血圧、体温も大分安定してきていますが、お父さん。」
「はい、先生。」
「彼には甲子園を見せてあげないでください。」
「はい。」




