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第六十四話
投球術において、無理をしない範囲でのマニュアル通り投げれば怪我はしない。アマチュアならきっと・・。
しかし、俺はプロを目指しているんじゃないか・・。
山口は思っていた。
茜、山岸に次もスタンドで応援してもらいたい。山口はそう思い寄宿舎で思っていた。
東京に応援団と共に帰った茜。山口の助言の元、実家に帰ることになった。
「じゃあ、山岸さん。気をつけて。」
茜は笑顔で言う。
「茜くん・・。」
「無理をしてはダメよ。今の茜くんは開会式の後の姿じゃない。茜くんのことも考えて山口くんのことも話し、観戦もしたけど。」
「とても一人で任せられる仕事じゃないわ。本当は私も先生に無理をしないように言いたいけど。」
「茜くんも山口くんの体力とは違うわよ。」
「ねっ。」
山岸は笑って言った。
「山岸さんありがとう。」
「実家で少し休んでいくよ。康太のいとこも出演するミュージカルを見てほしいって言うし。」
「じゃあ、気をつけて。」
「わかった・・。」




