第六十話
「茜君、・・それを心配というのよ。」山岸は言った。
「ああ、そうだね。」
「4回の裏、坂下高校逆転。」
結局、山口は6回まで投げチームは3回戦を突破した。
全国大会のバック裏はこのような結果で彼らは日本で一番の決勝の舞台を描き勝ちに行くのだ。
挑戦は続くために支え続ける。
「全力投球ということでしょ。」
山岸は山口に言った。
「まあね。」
「次の回で逆転してくれたからよかったけどこのままだと怪我に繋がる・・。」
「監督だって分かってくれる。でもこの2回戦まで来れた。一年生の登板した僕からすれば目標する全国での投球を導いた先輩達に返しができたんじゃないかと。」
「俺だって無理してるのはわかってるよ。」
「今度は3回までと監督は言ってくれた。川中先輩と飯田先輩の両重ねで勝ちに行く。もし、4回戦まで行ったら僕を先発に使う気でいるけど、僕にはその準備ができている。」
「康太君・・。」
「怪我をしなず勝ちに行く方法は監督やチームに関わった選手なら理解してくれる、そんな選手を家族や、もちろん選手自身が・・自身がわかっているはずだ。」
「社会への1歩だわ。アルプスの応援は来年も続いてほしい・・。」
「それが私の意見です・・。」
山岸は言った・・。
「茜、この甲子園明るいことばかり言ってきたようだけど、本当は茜を本当に尊敬して、茜の考えに感動して、茜の仲間の想いにひかれて、その真の笑顔に周りは何度もこいつと甲子園に行きたいと思っていた・・。」
「どう試合結果があっても、ホームランを打たれれば負けるし・・、ストライクからボールが外れれば、マウンドは、やはり、仲間の一つになる・・。」
「俺は、マウンドをパワーの源と思っていた・・。でも、守備位置が移動すれば、マウンドは仲間だと思う・・。」
「それがずっと変わらない・・。」
「でも、本当に仲間になってしまう時期を俺は知らないし、わからない・・。」
「でもね、誰だってマウンドに行けば笑顔なんだよ・・。」
「無理してるのはわかってる・・。」
「でもね、投げなきゃ、負けちゃうんだよ。」
「投手はね、全員そうなんだよぜったい・・。」
全国を何度も経験していた康太の野球人生に返す言葉はなかった・・。本当になかったのだ・・。茜は思った・・。




