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第五十九話
「勝利を呼び込むための合法な作戦だろう。」
(BIOか。)
汗を拭きながら山口は思っていた。
「でもだとしても康太君はまだ一年生でしょ。ひじや肩に負担がかかる。プロも注目の一年生にここまで学校が投げさせていいの?」
「その通り。」
(今ごろ、俺を心配してくれてるかな)
汗を拭い。BIOの練習をした中学時代が蘇る。
いつもと同じ暑い夏なのだ。
(やっぱりスポーツには様々なプレーとそれに含めた消費だな。)
中村は思っていた。テレビでやるのだ、お金が動かないはずがない・・。
「やはり、暑さと負担様々な状況が出ている。」
茜はそう分析した。
「一年生にやらせる球じゃない。」
「今日のピッチングを見たからわかるけど。」山岸は言う。
「山口は抑えに通じる投手要員だ。」
「ここで怪我をしたら・・・・。」
「一回戦ではこんな感じじゃなかったものね。」
「そうだった、いや、視野が狭いな。こんな試合を見せられ、目視のみの山口で甘く、彼を信じるどころか、追い詰めてしようなことを考えて。」




