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第五十五話
いや、彼の投球術はその後の甲子園に残るデータ、ファン、勝ち負け、ひとつも譲らない緊急登板を演じよう勝利を願うようにボールを握った。大歓声の中で自らが輝けるようにと。
「このピッチャー、打たれるだろうな。」
中村は言った。
「なんで?」
中村の妹は尋ねた。
「山口が登板して次の打者の立ち位置を見てわかったよ。」
「これはうちらがいたときの、投手が倒れ、二番手になった時に使うBIOという、攻撃方法だ。」
「山口の投球内容がよかったから二回戦に来れた。」
相馬は弟に言う。
「BIO?」
「BIO?」
相馬の弟と、中村の妹は言う。
「そう、BIO。」
相馬と中村は言った。
「ベースインアウト。」
「一回の表の攻撃、試合の一番打者から4番まで、2、5センチいつもの打者の位置より遠く立っている。そこでどう打てるか、2回戦の第一試合で皆気づいていないが。この勝負は千葉ライアンの練習試合で緊急登板の投手をした試合作りを作った・・。」
「甲子園でベースインアウト(BIO)が見れるとはな。」




