第五十二話
そして振り返り、甲子園のプレートからきれいにして、捕手の方を見た。
「おっと山口ここで投球練習をする前にはにかみました。」
「山口君らしくない、緊張感のあるはにかみの表情ですね。」
千葉ライアンの同期相馬はテレビを見ながら言った。
「いや、これが康太のやり方だ。」
「一球目、何と146キロを計測しました。」
「頼もしいですね。」
解説者が言う。
「ほらね、山口君なら大丈夫よ。」
「そうだ、そうだよね。」
「はいっ、アイスノンで体冷やして。」
「戦ってるのは選手だけではないのよ。」
「暑さと人の道を耐えるのは違うのよ。」
「確かに、暑さと人の道を耐えるのは違う。」
茜は笑顔を見せた。
「ありがとう。」
「山口、わずか4球で、飯田と同じコースを投げ三振を奪いました。」
「まさに自由自在といったところですね。」
解説は言う。
しかし、この試合は接戦が続いた。そうながら不利な状況でも山口は投げチームは6回と8回に得点を奪い勝利した。
「やった、やったー。」
茜は喜ぶ。
「やったね!」
山岸は微笑んだ。
しかし、ベンチにいるマネージャーの大田は顔が曇っていた。
「・・。」
試合を見つめる山口康太の元チームメート相馬。
「・・これは。」
ストレッチ本の最新号を見ながら試合を見ていた中村は試合の勝利に沸くベンチに2回戦の課題を見抜いていた。




