第五十一話
「山岸さん、その通りだ。いや、山口君の緊急登板の影響で、今、茜君の甲子園即席横浜ラーメンズの発売が決まった。」
「本当に?・・あっ今代わるわ。」
「あっもしもし。」
「そんな暗い声をするな。今は最新科学で故障しても治る世の中だ。まっ本人は今そんなこと考えていないだろうけど。見守るしかない。」
解説は言った。
「そして、山口緊急登板です。今日は決勝でも話題になった、ミュージカル俳優の子役いとこの山口君も見に来ています。そんな中で一年生山口、マウンドへ向かいます。」
「演奏者。」
相手のチームは応援歌を演奏するのをためらっていた。
「15秒だけ応援歌流せ。」
校長が言った。
「しかし、校長。」
坂下高校の音楽部顧問が指揮を取る。
「なんと、甲子園では異例、守りの投手側が緊急登板の山口に応援歌でエールを行います。」
テレビには山口のいとこが写る。
「15秒の坂下高校卒業生の制作曲の披露でした。この曲、公式に披露されるのは初めてだそうですね。」
「異例のマウンドを象徴しています。」
解説は言った。
アルプススタンドから拍手が沸く。
マウンドでオーロラビジョンを見る、山口・・。
この大舞台の初戦で、一年でも、投げるってこと・・だよな。
「声出してこー。」
先輩キャッチャーはマウンドで言った。
「おー。」
野手も答える。




