第四十六話
「甲子園を迎えられなかった千葉ライアンの出身選手のためにも、いやそれ以上のデート観戦を楽しみにしてるぞ。一時間の開会式で差がどこまで狭まるでしょうか。」
「監督。」
「山口、アイシングの時間だ。」
「はい。」
「相堂、期待しているぞ、ヒーローインタビュー並みの気持ちが最後は勝つんだからな。」山口は笑った。リラックスをしている身体だった。理論を共有し、時間を過ごすのだ。この人物はきっとすごいプロになるだろう。
「今、俺は見守るだけ。」
「どうしたんだいきなり、茜君。」
「いいや、康太のマウンドが見えたんです。イメージで。」
「康太には去年好きな彼女を目の前でとられた一幕がありまして。」
「それ昨日友達から聞いた。」
「茜君はどこまで気づいて話してるんだ。」
「うわさは聞くが引き込むな。うちの店の教訓です。」
(かっこいい)
山岸のハートは夏と共に夏の甲子園のセンター沿いに飛んでいった。
茜は言った。
「康太は?」
「友達んとこ。」
会っていたのは中学時代の同級生で元チームメイトだった。
「さて、ハーブアイシングか。」
開会式の前日に練習をしチームの熱の確認はできた。
いよいよ、一年生の全国大会に去年の全国を制した珠玉の才能ある力ある運のある甲子園大会が幕を開ける。
高校生として全国に登る姿を実はあまり得意ではないモニターでの研究をしいた。全ては学校、チーム、もう自信は挑戦に変わっていた。全ては学校、チーム、そして甲子園を目指し、夢を見る野球少年のため。




