第四十二話
「山岸さん。どうも。」
開会式前日の予行練習の日だった。
それから30分一年生の会と称し保護者、部員、一年生の応援隊が食事会を行った。
「それはすごい。」
「山口君も、ストレート以上に、球威のある体してるのね。」
「よく言われるんです。北海道男児の未知の魅力にほめたたえられるほんの少しの間の冗談といつも考えています。」
「山口君。」
「ああ、大田マネージャー。」
「これ、この冬にも野球部の会で甲子園見学を予定しているんだけれども。」
「多いですね。」
「部活は決して魅力だけで、球場を見に行くわけではない。学校のため・・。」
「そうですよね。」
山口も答える・・。
・・割と丁寧な言い方だ。一体全体、バイトとはどこへ行ってしまったのか、まあ、雑誌に載るくらいだ。そんなものでもあるのも学生・・。
まだ、それを超える時期ではない。もちろん、それはこの野球部の熱い気持ちからくる不思議な、不安だったのかもしれない・・。
茜は思った。
「開会式宣言って毎回、夏に坂下高校が行っているあの会でしょ。」
「そして、8月31日の夏休みの終わりの時、翌年のため卒部会を行うんだ。」
「そして、これも部の恒例で夏の全国大会の初戦は2年生が先発をする。」
茜はそこを聞いていた。まったく驚き・・。
「2年生の先発、全国大会の初戦・・。」
山口は考えていた。
「どうした。」
「いや違うんだよ、いくら130キロ後半のボールを投げ、全国大会の進んだ、野球部員でさえ慣例のやり方で試合を臨む。」
「俺達は乗せられた枠の中で戦っているんだなって。」
「何言ってるんだよ。」
堀は言った。
「俺達はこのボールを乗せることしか考えてはいないのさ。きっと。きっとね。」
「いくらが自然にご飯に乗っていくのと同じですよ。山口君だったら・・。」
「さすが、茜君、上手い。」




